機関誌「あきた経済」
県内経済(12月号)
県内経済は、東日本大震災による影響が解消に向う中、全体として持ち直しの動きが続いている
電子部品は、海外経済の減速を背景に家電向け需要が低迷し、停滞色が強まっているほか、公共工事も減少した。一方、機械金属、木材、酒造は堅調に推移したほか、雇用情勢も、厳しさは残るものの、改善基調にある。個人消費は、やや弱い動きとなっている。県内経済は、東日本大震災(以下、「震災」という)による影響が解消に向う中、全体として持ち直しの動きが続いている。
産業別の動向では、電子部品の生産額は、薄型テレビやパソコンなど家電向けの需要が低迷し、5か月連続で前年を下回った。機械金属の生産額は、公共工事・民需関連とも好調に推移し、4か月連続で前年を上回った。製材は被災地の新築・補修需要などから堅調な動き。合板の生産は高水準が続いたものの、被災地工場の生産再開で供給力が高まり、出荷は落ち着いた。清酒出荷量は3か月連続で前年比増加。建設受注額は民間・官公庁工事ともに前年を上回った。住宅着工は2か月ぶりに前年比減少に転じ、一進一退の動き。個人消費は、新車販売台数は前年を大幅に上回ったものの、大型小売店販売額が前年を下回ったほか、家電販売も低調となるなど、やや弱い動きとなった。
新規求人数は前年比11.3%増と、21か月連続で増加した。有効求人倍率は前月と同水準の0.57倍となった。事業主都合離職者数は5か月連続で前年を下回った。
企業倒産件数は1件、負債総額は5,700万円であった。企業倒産は4か月連続一桁台で推移し、小康状態が続いている。
前年比二桁台の大幅な減少が続く
10月の生産額は前年比12.2%減と5か月連続で前年を下回ったほか、前月(11.7%)に続き二桁台の大幅な減少となった。国内外で在庫調整圧力が強く残る中、欧米を中心とした海外経済の減速を背景に、自動車やスマートフォン向けを除き、薄型テレビやパソコンなどデジタル家電向け需要の低迷が続いている。
主力のセラミック・コンデンサは概ね前月対比横這い圏内の生産となっているが、半導体は依然として前年実績を大幅に下回ったままで推移している。一方、液晶画面ではこのところ持ち直しの動きが続いている。
輸送機械、回復傾向が鮮明
10月の生産額は前年比15.6%増(※)と4か月連続で前年を上回り、二桁台の大幅な伸びとなった。公共工事関連が大幅な増加となったほか、民需関連も輸送機械の回復傾向が鮮明となるなど、好調に推移した。
民需関連では、製鋼品や建機部品などで増加傾向が続いているものの、これまで好調だった金型は減少に転じた。一方、公共工事関連では、震災後の復興需要などもあり、水道部品で増加傾向が続いているほか、橋梁・鉄骨も増加に転じた。
合板の出荷、伸び率鈍化続く
製材品は、10月の生産量は24千立方メートルで、前年比14.3%の増加となった。全国の分譲住宅向け需要や被災地の新築・補修需要などから、堅調な動きとなった。
普通合板は、9月の生産量は58,911立方メートルで、前年比20.5%増と、引き続き高水準となった。出荷量は47,333立方メートルで、同2.0%増と、被災工場の生産再開で国内全体の供給力が高まっており、伸び率は鈍化が続いた。なお、県内メーカーでは、11月から震災前の水準まで生産を引き下げた。
製材の輸入額(10月)は、989百万円(前年比23.8%減)と、前年比二桁減となった (秋田船川税関支署調べ)。
出荷量、3か月連続で前年比増加
10月の清酒出荷量は、県内向けが前年比0.4%増と増加に転じたほか、県外向けも同0.7%増と増加が続き、全体で同0.6%の増加と、3か月連続で前年を上回った。
県外向けの内訳では、東北5県が前年比1.9%増と、増加に転じた。東京は同4.3%増と、3月以降8か月連続で前年を上回り、北海道も同2.0%増と4か月連続で増加した。
10月に開催された平成23年東北清酒鑑評会で、本県出品酒78点のうち30点が優等賞を受賞した。本県の優等賞受賞点数は昨年を3点上回り、福島県(31点)に次いで2番目に多い。
| 県内向け出荷量 | 554kl |
|---|---|
| 県外向け出荷量 | 1,106kl |
| 合計出荷量前年比 | 0.6% |
地元大手、民間・官公庁ともに増加し、3か月ぶりに前年比増加
10月の公共工事請負金額は国、県、市町村など殆どの発注者で減少したことから、前年比28.1%減と2か月ぶりに減少した。
当研究所調査による地元大手12社の新規受注実績は、前年比28.3%増と3か月ぶりに増加した。民間工事がカントリーエレベーター新築などの大口受注があったことで前年比倍増したほか、官公庁工事も、建築部門が病院関連の受注で前年比増加し、6か月ぶりに前年を下回った土木部門をカバーした。なお、民間工事、官公庁工事がともに前年比増加したのは3か月ぶりである。
倒産件数、負債総額とも平成年代最少
10月末の県内銀行の預金は、前月末比84億円減少したが、前年比では2.5%増加し、前年を上回る水準で推移している。貸出金も、前月末比165億円減少したが、前年比では3.1%増加し、10か月連続で前年を上回った。
10月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は1件、負債総額は5,700万円であった。倒産件数、負債総額ともに平成年代では最少であった。9月を以て終了した県信用保証協会による「災害復旧資金特別枠」の制度融資は、県内に約500億円もの資金が投入され、その効果持続により、県内の企業倒産は抑制されている。
一進一退の動き
10月の県内新設住宅着工戸数は、257戸(前年比71戸減、21.6%減)であった。主力の持家は増加が続いたものの、貸家の減少が大きく、全体では2か月ぶりに前年を下回り、一進一退の動きとなっている。
利用関係別では、持家が199戸(前年比3戸増)、貸家が47戸(同53戸減)、分譲住宅が8戸(同18戸減)、給与住宅が3戸(同3戸減)となっている。
震災の影響により遅れていた住宅着工が一巡したことに加え、景気不透明感により住宅取得マインドが低下していることなどから、県内の新設着工は不安定な動きをみせている。
地域別では、県北は持家の着工が増加したため前年を上回ったが、県央、県南は貸家の着工が大きく減少したため、前年を下回った。
やや弱い動き
商況は、新車販売が大幅増となったものの、大型小売店販売額が前年割れとなったほか、家電販売も低調となるなど、全体としてはやや弱い動きとなっている。
9月の大型小売店販売額は前年比4.2%減と2か月連続で前年を下回った。衣料品は昨年の一部店舗における閉店セールの反動などから大きく落ち込んだほか、飲食料品も前年を下回った。
10月の新車総販売台数(軽自動車を含む)は前年比39.3%増と2か月連続で前年実績を上回った。国のエコカー補助金終了(平成22年9月)の影響等から、前年の販売が落ち込んだこともあり、その反動により大幅増となった。
家電販売は、低調な推移となった。製品別には、主力の薄型テレビが地デジ特需の反動などにより大幅に落ち込んだほか、エアコンや冷蔵庫も伸び悩んでいる。
新規求人数、2か月連続で二桁の増加
10月の新規求人数は、前年比11.3%増となり、22年2月以降、21か月連続の増加となった。製造業では前年比11.0%増、非製造業では同11.3%の増加となった。
業種別にみると、製造業では、「情報通信機械」、「電子部品・デバイス・電子回路」で減少が続いているものの、「電気機械器具」で大幅に増加したほか、被災企業の代替生産が続いている「繊維」と、「木材・木製品」でも二桁の増加となった。
非製造業では、「建設」で被災地のがれき撤去や復興に関わる求人の増加が続いているほか、震災の影響により落ち込んでいた「宿泊,飲食サービス」、「運輸,郵便」で二桁の増加となった。
有効求人倍率は一般が0.48倍、パートタイムは0.88倍となった。季節調整値は0.57倍で、3か月連続で前月比横ばいとなった。都道府県別では福井(1.12倍)が最も高く、香川(1.01倍)でも1倍を上回った。一方、沖縄(0.28倍)が最も低く、本県は、全国平均(0.67倍)を下回り、沖縄、青森(0.47倍)、北海道(0.49倍)、神奈川(0.50倍)、埼玉(0.51倍)、千葉(0.56倍)に次いで、全国で7番目に低い倍率となった。
事業主都合離職者数は443人(前年比8.7%減)。減少幅は縮小したものの、5か月連続で前年を下回った。
地域別雇用状況をハローワーク管内別にみると、新規求人数は、県南で減少したが、県央、県北で二桁増となった。有効求人倍率は県央、県北が0.62倍、県南で0.50倍となり、いずれの地域でも前月比上昇した。
震災後に県外から本県に避難し、10月31日までに県内のハローワークで求職相談を行った583人のうち、34.8%にあたる203人の就職が決定した。このうち、パート・臨時・アルバイト等として就職先が決定したのは62.6%(127人)で、緊急雇用対策事業による短期間の求人が依然として多いものの、正社員も37.4%(76人)と、増加傾向にある。





