機関誌「あきた経済」
県内経済(1月号)
県内経済は、全体として持ち直しの動きが続く中、一部に弱い動きがみられる
電子部品は、海外経済の減速や円高の長期化を背景に需要の低迷が続いている。一方、機械金属、木材は堅調に推移したほか、公共工事も増加した。雇用情勢は、厳しさは残るものの、改善基調にある。個人消費は、弱めの動きとなっている。県内経済は、全体として持ち直しの動きが続く中、一部に弱い動きがみられる。
産業別の動向では、電子部品の生産額は、デジタル家電向け需要の低迷が続き、6か月連続で前年を下回った。機械金属の生産額は、輸送機械が堅調に推移し、5か月連続で前年を上回った。製材の生産は、堅調な動きが続く。合板の生産(10月)は、被災地の工場で生産が再開され生産調整を行っているが、高水準を維持。清酒出荷量は県外向けが減少に転じ、4か月ぶりに前年を下回った。公共工事請負額は2か月ぶりに増加。民間建設受注額は、前年を上回ったものの低水準。住宅着工は2か月連続で前年割れ。個人消費は、新車販売台数は前年を大幅に上回ったものの、大型小売店販売額(10月)が前年を下回ったほか、家電販売も低調となるなど、弱めの動き。
新規求人数は前年比5.2%増と、22か月連続で増加した。有効求人倍率は前月比0.01ポイント上昇して0.58倍となった。事業主都合離職者数は6か月連続で前年を下回った。
企業倒産件数は2件、負債総額は3,000万円であった。企業倒産は5か月連続一桁台で推移し、抑制傾向が続いている。
弱含み
11月の生産額は前年比9.5%減と6か月連続で前年を下回り、前月対比でも減少に転じた。国内外で在庫調整圧力が強く残る中、欧米を中心とした海外経済の減速や歴史的な円高の長期化などを背景に、自動車、スマートフォン向けを除き、薄型テレビやパソコンなどデジタル家電向け需要の低迷が続いており、足許弱含んでいる。
主力のセラミック・コンデンサはここにきて生産水準を一段引き下げたほか、半導体も依然として前年実績を下回ったままで推移している。また、これまで好調だった液晶画面も減少に転じた。
持ち直し傾向が続く
11月の生産額は前年比16.3%増(※)と5か月連続で前年を上回り、前月に続き二桁台の大幅な伸びとなった。公共工事関連の一部が減少に転じたが、民需関連が輸送機械を中心として堅調に推移するなど、持ち直し傾向が続いている。
民需関連では、金型が再び増加に転じたほか、製鋼品や建機部品などでも増加傾向が続いている。一方、公共工事関連では、橋梁・鉄骨が減少に転じたものの、水道部品は震災後の復興需要などもあり、このところ好伸している。
合板の出荷、7か月ぶりに前年割れ
製材品は、11月の生産量は22千立方メートルで、前年比4.8%の増加となった。全国の分譲住宅向けや、被災地の新築・補修向け需要などにより、堅調な動きが続いた。
普通合板は、10月の出荷量は52,384立方メートルで、前年比0.4%の減少となった。被災した工場の生産再開で品不足が解消に向かいつつあり、7か月ぶりに前年を下回った。一方、生産量は57,434立方メートルの前年比0.8%増と、夏以降、緩やかな生産調整が行われているものの高水準を維持している。
製材の輸入額(11月)は、906百万円(前年比35.5%減)と、前年比二桁減となった (秋田船川税関支署調べ)。
出荷量、4か月ぶりに前年割れ
11月の清酒出荷量は、県内向けは前年比2.0%増と前月に続いて増加となったが、県外向けが同6.0%減と落ち込み、全体で同3.2%の減少と、4か月ぶりに前年を下回った。
県外向けの内訳では、東北5県が前年比3.4%減となったほか、北海道は同4.5%減、東京も同6.6%減と、いずれも振るわなかった。震災発生以降、首都圏を中心として、東北の清酒の「応援消費」が続いてきたが、やや落ち着き始めた。
1~3月上旬にかけて、「第34回酒蔵開放キャンペーン」が開催され、参加する県内21の蔵元では、蔵内の見学や試飲、杜氏による製造工程の説明など各種イベントが行われる。
| 県内向け出荷量 | 850kl |
|---|---|
| 県外向け出荷量 | 1,438kl |
| 合計出荷量前年比 | -3.2% |
地元大手、前年大幅減の反動から2か月連続で増加するも低水準
11月の公共工事請負金額は市町村等で減少したものの、国、県などが増加したことから、前年比2.9%増と2か月ぶりに増加した。
当研究所調査による地元大手12社の新規受注実績は、前年比12.6%増と2か月連続で増加した。民間工事が介護福祉関連施設の受注などから2か月連続で前年比倍増し、建築部門・土木部門ともに前年比減少した官公庁工事の落ち込みをカバーした。しかし、前年の大幅減(43.1%減)の反動増ともいえ、受注総額11億円は20年11月、21年11月実績(ともに約17億円)の65%弱と低水準にとどまっている。
企業倒産、抑制傾向続く
11月末の県内銀行の預金は、前月末比25億円減少したが、前年比では2.9%増加し、前年を上回る水準で推移している。貸出金も、前月末比521億円減少したが、前年比では3.2%増加し、11か月連続で前年を上回った。
11月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は2件、負債総額は3,000万円であった。負債総額は、平成年代で最少となった前月の5,700万円を更に下回り、最少ラインを更新した。引き続き、県内企業倒産は、抑制傾向にある。
金融庁は、中小企業金融円滑化法の期限を1年延長(平成25年3月末まで)する方針を発表した。
2か月連続前年割れ
11月の県内新設住宅着工戸数は、275戸(前年比176戸減、39.0%減)であった。主力の持家は増加が続いたものの、貸家の減少が大きく、全体では2か月連続で前年を下回った。
利用関係別では、持家が205戸(前年比9戸増)、貸家が61戸(同164戸減)、分譲住宅が8戸(同21戸減)、給与住宅が1戸(同横這い)となっている。
昨年、県北地域において大型公営住宅の着工があり、貸家が大きく押し上げられていたことによる反動から、減少率が大幅に拡大した。ただし、前月比では7.0%増と、持家を中心に持ち直している。
地域別では、県内3区分ともに前年比減少となった。また、6月以降前年を上回って推移してきた本年累計着工戸数も、6か月ぶりに減少に転じた。
弱めの動き
商況は、新車販売が大幅増となったものの、大型小売店販売額が前年割れとなり、家電販売も低調となるなど、全体としては弱めの動きとなっている。
10月の大型小売店販売額は前年比1.7%減と3か月連続で前年を下回った。衣料品が秋物の不振などから前年割れとなったほか、飲食料品も来店客数の落ち込みなどから前年を下回った。
11月の新車総販売台数(軽自動車を含む)は前年比26.5%増と3か月連続で前年実績を上回った。昨年はエコカー補助金終了の影響などから、販売が大きく落ち込んでおり、その反動により大幅増となった。
家電販売は、低調な推移となった。製品別には、主力の薄型テレビが地デジ特需および昨年の家電エコポイント半減に伴う駆け込み需要の反動などにより著しく落ち込んだほか、デジタルカメラやパソコンもやや落ち込んだ。
有効求人倍率、前月比0.01ポイント上昇の0.58倍
11月の新規求人数は、前年比5.2%増となり、前月に比べ増加幅は縮小したものの、平成22年2月以降、22か月連続の増加となった。製造業では前年比24.8%増、非製造業でも同3.2%の増加となった。
業種別にみると、製造業では、「電気機械器具」で大幅に増加したほか、その他の業種でも二桁の増加となった。
非製造業では、「サービス」、「卸売,小売」、「運輸,郵便」、「宿泊,飲食サービス」で減少に転じたものの、「建設」、「情報通信」、「医療,福祉」で二桁の増加となった。
有効求人倍率は一般が0.48倍、パートタイムは0.88倍となった。季節調整値は0.58倍で、前月比0.01ポイントの上昇となった。都道府県別では福井(1.10倍)が最も高く、香川(1.04倍)でも1倍を上回った。一方、沖縄(0.32倍)が最も低く、本県は、全国平均(0.69倍)を下回り、沖縄、青森(0.48倍)、神奈川(0.50倍)、埼玉、北海道(0.52倍)、千葉(0.57倍)に次いで、全国で7番目に低い倍率となった。
事業主都合離職者数は275人(前年比51.2%減)で、6か月連続で前年を下回った。
地域別雇用状況をハローワーク管内別にみると、新規求人数は鹿角、秋田を除く地域で増加した。有効求人倍率は県北が最も高く0.64倍、県央でも0.61倍となった。県南は0.50倍。
秋田労働局がまとめた平成23年「高年齢者の雇用状況」についてみると、希望者が定年後65歳以上まで働ける制度を設けている県内企業の割合は58.8%で、全国平均(47.9%)を10.9ポイント上回った。大企業の集中する大都市圏よりも、中小企業が多い地方で高い水準となっており、トップは岐阜の60.0%。本県は三重と同率で、全国で2番目に高くなった。




