機関誌「あきた経済」
県内経済(2月号)
県内経済は、全体として持ち直しの動きにやや足踏み感がみられる
電子部品は、家電向け需要の低迷が続いたほか、建設も減少した。機械金属は増勢鈍化の兆し。一方、木材は概ね堅調に推移した。雇用情勢は、厳しさは残るものの、改善基調にある。個人消費は、持ち直しの動き。県内経済は、全体として持ち直しの動きにやや足踏み感がみられる。
産業別の動向では、電子部品の生産額は、デジタル家電向け需要の低迷が続き、7か月連続で前年を下回った。機械金属の生産額は、6か月連続で前年を上回ったものの、好調だった輸送機械の伸びが鈍化した。製材の生産は、堅調な動き。合板の生産(11月)は、震災前の水準まで引き下げたが、前年比では増加が続く。清酒出荷量は、2か月連続で前年を下回った。公共工事請負額は2か月ぶりに減少。大手建設受注額は、官公庁・民間工事ともに振るわず、3か月ぶりに減少。住宅着工は3か月連続で前年割れ。個人消費は、家電販売が低調となったが、新車販売台数は前年を大幅に上回り、大型小売店販売額(11月)も4か月ぶりに前年を上回るなど、持ち直しの動き。
新規求人数は前年比19.9%増と、23か月連続で増加した。有効求人倍率は前月比0.04ポイント上昇し0.62倍となった。事業主都合離職者数は7か月連続で前年を下回った。
企業倒産件数は3件、負債総額は30億1,900万円であった。負債総額は大型倒産の発生で8か月ぶりに30億円を超えた。
生産額、震災直後の3月に次ぐ大幅な落ち込み
12月の生産額は前年比19.7%減と7か月連続で前年を下回り、平成23年で震災直後の昨年3月(同24.5%減)に次ぐ大幅な落ち込みとなった。国内外で在庫調整圧力が残る中、欧米を中心とした海外経済の減速やタイの洪水被害の影響、地デジ移行前の駆け込み需要の反動などから、薄型テレビやパソコンなどデジタル家電向け需要の低迷が続いている。こうしたなか、主力のセラミック・コンデンサはここにきて一段と生産水準を引き下げている。
なお、10-12月は前年同期比13.7%、平成23年通年では同9.8%それぞれ減少した。
持ち直しの動きが一服
12月の生産額は前年比8.0%増(※)と6か月連続で前年を上回ったものの、増加幅は前月までに比べ大幅に縮小した。民需関連では、製鋼品や建機部品は増加傾向が続いているが、好調だった輸送機械の伸びが鈍化したほか、金型が再び減少に転じた。一方、公共工事関連は復旧・復興需要の遅れ等から橋梁・鉄骨、水道部品ともに振るわなかった。
なお、10-12月は前年同期比13.4%、平成23年通年では同13.3%それぞれ増加した。
合板の生産、震災前の水準まで引き下げ
製材品は、12月の生産量は20千立方メートルで、前年比5.3%の増加となった。被災地の新築向け需要などに支えられているが、秋以降は住宅着工の減速により増加幅は縮小傾向にある。
普通合板は、11月の生産量は54,035立方メートルで、出荷の減少に対応するため震災前の水準まで引き下げた。前年比では11.6%増と、増加が続いている。震災の影響による品不足が解消されつつあり、出荷量は49,072立方メートルとなった。前年比では5.4%の減少と、前月よりも減少幅が拡大した。
製材の輸入額(12月)は849百万円(前年比37.2%減)と、前年比二桁減となった(秋田船川税関支署調べ)。
出荷量、前年比減少幅が縮小
12月の清酒出荷量は、県外向けが前年比1.8%増となった一方、県内向けが同4.1%減と3か月ぶりに減少に転じたため、全体で同0.5%の減少となった。前月に続いて前年を下回ったものの、前月よりも減少幅は縮小した。
県外向けの内訳では北海道が前年比4.0%減と前年割れが続いた反面、東京は同7.3%増、東北5県も同2.3%増と、堅調な動きとなった。
平成23年通年の清酒出荷量は前年比0.3%減と、僅かに前年を下回った。減少幅は前年(同4.6%減)よりも縮小しており、震災発生以降の東北への「応援消費」が寄与した。
| 県内向け出荷量 | 1,310kl |
|---|---|
| 県外向け出荷量 | 2,236kl |
| 合計出荷量前年比 | -0.5% |
地元大手、官公庁・民間ともに振るわず、3か月ぶりに前年比減
12月の公共工事請負金額は国、県、市町村など全ての発注者で減少したことから、前年比59.7%減と2か月ぶりに大幅減となった。
当研究所調査による地元大手12社の新規受注実績も、前年比58.2%減と3か月ぶりに減少した。当月における1億円以上の受注は官公庁工事、民間工事をあわせても1件のみと、不振の際立つ月となった。なお、前年比が50%を超える大幅な減少となったのは、当月同様に官公庁工事、民間工事がともに減少した23年4月(同52.1%減)以来、8か月ぶりである。
負債総額、8か月ぶり30億円超え
12月末の県内銀行の預金は、冬のボーナス支給等により前月末比で578億円増加し、前年比でも2.9%増加となった。貸出金は、前月末比で338億円増加し、前年比でも3.4%増加となり、12か月連続で前年を上回った。
12月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は3件、負債総額は30億1,900万円であった。倒産件数は小康状態が続いたが、負債総額では、平成23年中最大となる大型倒産が発生したため、8か月ぶりに30億円を超えた。
なお、平成23年累計の倒産件数は68件(前年比8.1%減)、負債総額は128億5,500万円(同46.3%増)であった。
3か月連続前年割れ
12月の県内新設住宅着工戸数は、243戸(前年比93戸減、27.7%減)であった。主力の持家が4か月ぶりに前年比減少に転じたほか、貸家、分譲住宅も大きく落ち込み、全体では3か月連続で前年を下回った。
利用関係別では、持家が136戸(前年比10戸減)、貸家が68戸(同61戸減)、分譲住宅が36戸(同25戸減)、給与住宅が3戸(同3戸増)となっている。
平成23年累計の県内新設住宅着工戸数は、3,720戸(前年比261戸減、6.6%減)と5年連続で減少となった。利用関係別では、持家が住宅エコポイント制度の効果等から2年連続で前年を上回ったものの、持家以外の種別については前年を下回る結果となった。特に貸家は公営住宅の落ち込みが大きく、大幅な減少となった。地域別では、県内3区分とも前年比減少となった。
持ち直しの動き
商況は、家電販売が低調となっているものの、新車販売が大幅増となり、大型小売店も前年を上回るなど、全体として持ち直の動きがみられる。
11月の大型小売店販売額は前年比2.0%増と4か月ぶりに前年を上回った。主力の飲食料品が前年の野菜価格高騰の影響で低調だった反動などから好伸したほか、衣料品も月後半の気温の低下に伴い冬物衣料の販売が伸びてほぼ前年並みとなった。
12月の新車総販売台数(軽自動車を含む)は前年比22.0%増と4か月連続で前年実績を上回った。エコカー補助金の終了などから、販売が大きく落ち込んだ前年の反動により、大幅増となった。
家電販売は、低調な推移となった。製品別には、エアコンや冷蔵庫は堅調となっているものの、主力の薄型テレビが地デジ特需の反動などにより販売台数が落ち込んだほか、価格の下落幅も大きくなった。
有効求人倍率、前月比0.04ポイント上昇の0.62倍
12月の新規求人数は、前年比19.9%増と、再び増加幅が拡大し、平成22年2月以降、23か月連続の増加となった。製造業では前年比10.1%増、非製造業でも同20.8%の増加となった。
業種別にみると、製造業では、「電子部品・デバイス・電子回路」、「繊維」で減少に転じたものの、その他の業種で二桁の増加となった。非製造業では、「情報通信」で減少に転じたものの、「建設」、「卸売,小売」、「医療,福祉」、「宿泊,飲食サービス」で二桁の増加となったほか、「運輸,郵便」、「サービス」でも増加した。
有効求人倍率は一般が0.49倍、パートタイムは0.89倍となった。季節調整値は前月比0.04ポイント上昇し、0.62倍となった。0.6倍台となったのは、平成20年1月以来、約4年ぶり。本県は、全国平均(0.71倍)を下回ったが、全国順位は前月の40位から35位に上昇した。
事業主都合離職者数は277人(前年比37.3%減)で、7か月連続で前年を下回った。
地域別雇用状況をハローワーク管内別にみると、新規求人数は角館、大館を除く地域で増加した。有効求人倍率は県北が最も高く0.66倍。県央が0.62倍、県南は0.51倍となった。
県内では、電子部品などの製造業で、歴史的な円高による国際競争力の低下や需要の低迷に対応するため、人員削減や工場閉鎖などの動きが出ており、今後、協力工場や地域の取引先等への影響が懸念される。
平成23年「賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)によると、本県の所定内給与額(税引前の賃金から残業代を引いた基本給)は233,900円と、前年に比べ4,500円増加したものの、最も高かった東京(372,900円)との格差は139,000円となった。都道府県別では、青森、沖縄、山形、宮崎に次いで5番目に低い水準となった。




