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「東北六魂祭2015秋田」開催における経済波及効果~経済波及効果は約31億円~

 当研究所では、5月30日(土)、31日(日)の2日間、秋田市で開催された「東北六魂祭2015秋田」の経済波及効果を推計した。その結果、事業費支出による効果(1億7,200万円)と、来場者の消費支出による効果(29億7,100万円)を合わせると、合計で31億4,300万円となった。本稿では、「東北六魂祭2015秋田」開催における経済波及効果について推計した結果をまとめた。

1 はじめに

 東北六魂祭は、東日本大震災の犠牲者の鎮魂と早期復興を願い、東北各県の代表的な夏祭りが集結する一大イベントで、平成23年に仙台市で第1回目が開催され、以降は東北の県庁所在都市で順番に開催されている。5回目となる秋田市開催では、初日に夕方パレードが開催され、初めて竿燈まつりの提灯に火が灯された。
 「東北六魂祭2015秋田」では、各県の夏祭りのほかにも、ブルーインパルスの展示飛行、音楽イベント、郷土芸能など様々な関連イベントが開催され、多くの観光客で賑わった。東北六魂祭実行委員会によると、来場者数は26万人(初日15万人、最終日11万人)となり、予想していた22万5千人を大きく上回った。
多くの観光客で賑わった「東北六魂祭2015秋田」
 経済波及効果の推計では、東北六魂祭開催にかかる事業費支出による効果と、来場者の消費支出による効果を対象とし、東北六魂祭実行委員会より提供を受けた資料に基づき、平成17年秋田県産業連関表(36部門)を用いて計算を行った。

2 事業費支出による効果

(1)直接効果
 東北六魂祭実行委員会によると、実行委員会による六魂祭運営にかかる事業費は1億8,300万円の見込みであり、これに各産業部門の県内自給率を乗じて算出した県内最終需要増加額(直接効果)は1億1,400万円となる。

(2)一次波及効果
 この直接効果が県内で支出されると関連する産業に次々に生産が波及していく。これを一次波及効果といい、これが3,400万円となった。

(3)二次波及効果
 直接効果、一次波及効果によって生産が増加すると、雇用者の所得増加に結び付き、その増加分の一部が消費支出に回ることによって、さらに生産が誘発されていく。これを二次波及効果といい、これが2,400万円となった。

(4)総合効果
 以上の直接効果、一次波及効果、二次波及効果の合計は1億7,200万円となり、これが事業費支出による総合効果となる。また、直接効果に対する経済波及効果全体(総合効果)に示す波及効果倍率は1.51倍となった。

3 来場者の消費支出による効果

(1)直接効果
 東北六魂祭への来場者が県内で支出した観光消費額について、観光庁「共通基準による観光入込客統計(26年4-6月期)」の観光消費額単価に基づき推計すると、30億4,600万円と算出された。この観光消費額に各産業部門の県内自給率を乗じて算出した県内最終需要増加額(直接効果)は18億2,400万円となる。

(2)一次・二次波及効果、総合効果
 この直接効果が県内で支出されることによる一次波及効果は7億6,500万円、二次波及効果は3億8,200万円、総合効果は29億7,100万円と推計される。また、波及効果倍率は1.63倍となった。

4 全体の経済波及効果

(1)「東北六魂祭2015秋田」開催による全体の効果
 東北六魂祭開催にかかる事業費支出による効果と来場者の消費支出による効果を合計すると、「東北六魂祭2015秋田」開催による全体の直接効果は19億3,800万円、一次波及効果は7億9,800万円、二次波及効果は4億600万円と推計され、これらを合計した全体の総合効果は31億4,300万円となった。また、波及効果倍率は1.62倍となった。

(2)産業別による経済波及効果
 「東北六魂祭2015秋田」開催による全体の経済波及効果を産業別にみると、運輸における効果が8億9,800万円(構成比28.6%)と最も大きく、次いで宿泊業、飲食業などの対個人サービスが6億4,300万円(同20.5%)、商業が3億6,600万円(同11.7%)となり、消費による波及効果が大きい業種に多額の生産誘発効果がもたらされている。
(山崎 要)
あきた経済

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