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県内経済(5月号)

概況県内経済は、一部に持ち直しの動きがみられるが、
      総じて足踏み状態が続いている

 電子部品の生産は前月対比で大幅に増加したほか、木材も堅調な動きとなっているが、機械金属は横這い圏内の動きとなっている。建設は、住宅着工が前年を上回ったが、公共工事は減少基調で推移している。一方、個人消費は持ち直しの動きが続く。雇用情勢は改善基調にあるものの、一部業種で逼迫感が強まっている。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、8か月連続で前年を下回ったものの、車載向けの部品需要が堅調に推移し、前月対比では大幅に増加した。機械金属の生産額は、2か月ぶりに前年を下回ったが、前月対比では横這い圏内の動き。木材は、普通合板(2月)で荷動きが堅調に推移していることから、生産量は4か月連続で前年を上回った。公共工事請負額は、2か月ぶりに増加したものの、年度累計では前年度をわずかに下回った。地元大手(12社)の建設受注額は、民間工事で大口受注があり、2か月ぶりに増加した。住宅着工は5か月ぶりに前年を上回った。個人消費は、自動車販売台数が前年実績を下回ったものの、大型小売店販売額(2月)と家電販売額(2月)が前年を上回り、全体として持ち直しの動きが続いている。
 有効求人倍率は前月比0.03ポイント低下し1.05倍となった。新規求人数は前年比4.8%減となり、11か月ぶりに減少した。事業主都合離職者数は4か月連続で前年を上回った。
 企業倒産件数は4件、負債総額は6億500万円であった。倒産件数は一桁台で推移し、小康状態を保っている。

電子部品液晶パネル、増勢強まる

 3月の生産額は前年比9.7%減と8か月連続で前年実績を下回ったものの、前月対比では大きく伸びた。年明け後、中華圏の春節(旧正月)の影響などにより受注が大きく落ち込んでいたことの反動に加え、車載向けの部品需要が堅調に推移した。ただし、前年、スマートフォンの新製品向けが急拡大したこともあり、前年比減少幅は拡大した。セラミック・コンデンサでは生産水準をやや引き上げたほか、産業機器向けを中心とする液晶パネルは増勢を強めている。
 なお、1-3月期では前年同期比8.0%、平成27年度通期では同4.7%、それぞれ減少した。

機械金属生産額、前月対比ほぼ横這い

 3月の生産額は前年比9.6%減と2か月ぶりに前年実績を下回り、減少幅も二桁近くの落ち込みとなった。前月対比ではほぼ横這い圏内の動きとなったものの、前年、軽自動車税増税に伴う駆け込み需要などにより、ウエイトの高い輸送機械が高止まりした反動の影響が出た。ただし、輸送機械はこのところの持ち直しの動きを維持している。公共工事関連で弱い動きが続くなか、輸送機械以外の民需関連でも、製鋼品や金型、建機部品は減少傾向が続いている。
 なお、1-3月期では前年同期比4.9%、平成27年度通期では同6.2%、それぞれ減少した。

木材業普通合板、製材品とも出荷量は堅調推移

 全国的には、住宅着工の緩やかな回復等を背景に、普通合板の荷動きは堅調を持続、製材品も幾分持ち直しの動きがみられる。県内も基本的にはほぼ同様の動きとなっているが、4月に合板大手の工場火災が発生、先行き影響が懸念される。
 2月の普通合板の出荷量は前年比45.8%増と11か月連続で前年を上回り、生産量も同7.4%増と4か月連続で前年を上回った。出荷量は9か月連続で生産量を上回り、これにより、在庫量は同69.4%減とさらに圧縮が進んだ。
 3月の製材品は、出荷量が前年比4.2%増と4か月連続で前年を上回ったが、生産量は同3.7%減と前年を割り込んだ。

酒造業出荷量、前年比減少幅が拡大

 3月の清酒出荷量は、県内向けが前年比19.6%減、県外向けは同4.7%増となり、全体では同3.3%減と5か月連続で前年を下回った。主力である普通酒が県内向けを中心に落ち込んだため、減少幅は前月よりも拡大した。県外向けの内訳では、東京が同5.6%増、東北5県も同1.9%増、北海道は同3.5%減となった。
 県産酒の人気が全国的に高まるなか、県酒造組合は、販路拡大に向け、酒販店・飲食店など業界関係者を対象とした試飲商談会「秋田の酒きき酒会」を、6月に大阪で初めて開催する。県内24蔵元が参加する予定である。

県内向け出荷量 494kl
県外向け出荷量 1,319kl
合計出荷量前年比 -3.3%

建設業公共工事請負額、国、県、市町村が増加し2か月ぶりに前年比増加

 3月の公共工事請負金額は、国、県、市町村がいずれも増加し、前年比130.0%増と2か月ぶりに増加した。年度累計では前年度比1.0%減と前年度をわずかに下回った。
 当研究所調査による地元大手12社の3月の新規受注額も、前年比11.5%増の5,581百万円と2か月ぶりに増加した。うち官公庁工事は、建築が減少したが、道路関連や河川工事等の大口受注により土木が増加し、同5.8%増となった。民間工事は、土木が減少したが、建築がエネルギー関連等で大幅に増加し、全体で同61.4%増となった。年度累計では、前年度比15.9%減の水準にとどまった。

金融預金、貸出金ともに前年比増加が続く

 3月末の県内銀行の預金は、前月末比598億円増加し、前年比でも1.1%の増加となった。貸出金は、前月末比92億円増加し、前年比でも1.3%の増加となった。預金、貸出金ともに前年を上回って推移しているが、預金の伸び率はこのところ鈍化傾向にある。
 3月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は4件(前年比1件減)、負債総額は6億500万円(同48.6%増)となった。

住宅着工着工戸数、5か月ぶりに前年比増加

 3月の県内新設住宅着工戸数は、391戸(前年比50戸増、14.7%増)であった。主力である持家に加え、貸家と分譲住宅も前年を上回り、5か月ぶりに前年比増加となった。
 利用関係別では、持家が258戸(前年比20戸増)、貸家が104戸(同28戸増)、分譲住宅が28戸(同2戸増)、給与住宅が1戸(同横這い)となっている。
 持家は需要が伸び悩んでいるものの、2か月ぶりに前年を上回った。貸家は秋田市で一般向け賃貸住宅の着工が増加したほか、北秋田市で公営住宅の着工があり、6か月ぶりに前年を上回った。
 地域別では、県央は持家、貸家、分譲住宅の着工が増加、県北は持家と貸家の着工が増加し、前年を上回った。県南は、持家と貸家の着工が減少し、前年を下回った。

商況持ち直しの動きが続く

 新車販売が2か月連続で前年を下回ったものの、大型小売店販売と家電販売が、いずれも3か月連続で前年を上回り、全体としては持ち直しの動きが続いている。
 2月の大型小売店販売額は、前年比4.6%増となり、3か月連続で前年を上回った。うるう年で営業日数が前年より1日多かったことが影響したほか、飲食料品は、鮮魚や野菜、総菜などの販売が堅調で、前年を上回った。衣料品も、セーターやコート類など冬物の販売に動きがみられ、前年を上回った。
 3月の新車販売台数は前年比11.3%減と、2か月連続で前年を下回った。内訳では、登録車は同6.8%減と、4か月ぶりに前年を下回ったほか、軽自動車も同15.7%減となり、消費税増税や軽自動車税引き上げ等の影響から、24か月連続の減少となった。
 2月の家電販売は、パソコンが振るわなかったものの、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が増加した。前月に比べ増加幅は縮小したが、3か月連続で前年を上回った。

衣類・繊維生産額、8か月ぶりに前年比減少

 3月の生産額は前年比10.8%減となり、8か月ぶりに前年を下回った。
 生産は、暖冬の影響から例年に比べ春物への切り替えが早まっていたため、生産調整が進み、前年を下回った。受注も、国内生産への回帰の動きが強まり、前年比増加傾向が続いていたが、アイテムによりばらつきがみられ、2か月ぶりに前年を下回った。

雇用有効求人倍率、16か月連続で1倍台

 3月の有効求人倍率は、全数は1.05倍となり、前月比0.03ポイント低下したものの、16か月連続で1倍台となった。内訳では、一般は同0.08ポイント低下の0.83倍、パートは同0.01ポイント低下の1.32倍となった。ただし、業種別では「建築関係技術者」、「福祉関連職業」などで高止まりしている。
 新規求人数は前年比4.8%減と、11か月ぶりに前年を下回った。産業別にみると、製造業では同12.3%減となった。「繊維」で増加したものの、「食料品」では、前年に食品加工工場で求人が増加した反動から二桁の減少率となった。非製造業では同4.1%減となった。「宿泊,飲食サービス」では、前年に大規模な求人があった反動から二桁の減少率となったほか、「サービス」でも減少した。
 新規求職者数は前年比8.2%減と、32か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比7.8%増となった。前月に比べ増加幅は縮小したが、4か月連続で前年を上回った。
 地域別雇用状況をみると、新規求人数(パートを含む常用)は、県北で増加したが、県央、県南で減少した。臨時・季節を除く有効求人倍率は県北が最も高く1.16倍、県央が0.93倍、県南が0.90倍であった。

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