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県内経済(6月号)

概況県内経済は、一部に持ち直しの動きがみられるが、
      総じて足踏み状態が続いている

 電子部品の生産は弱含みの動きとなっているが、機械金属は横這い圏内で推移しているほか、木材も堅調な動きとなっている。建設は、公共工事が前年を上回り、住宅着工も持ち直しつつある。一方、個人消費は持ち直しの動きに足踏みがみられる。雇用情勢は改善基調にあるものの、一部業種で逼迫感が強まっている。
 産業別の動向では、電子部品の生産額は、新興国経済減速の影響からスマートフォン向けを中心に受注が減少するなど、弱含みの動き。機械金属の生産額は、2か月連続で前年を下回ったものの、前月対比では横這い圏内の動き。木材は、普通合板(3月)で出荷量は前年を下回ったが、在庫量が低水準にあることから、生産量は5か月連続で前年を上回った。公共工事請負額は、2か月連続で増加し、持ち直しの兆し。地元大手(12社)の建設受注額も、民間工事で大口受注があり、2か月連続で増加した。住宅着工は持家と貸家を中心に持ち直しつつある。個人消費は、大型小売店販売額(3月)が前年実績を上回ったものの、自動車販売台数が前年を下回ったほか、家電販売額も低調となり、全体として持ち直しの動きに足踏みがみられる。
 有効求人倍率は前月比0.09ポイント上昇し、過去最高の1.14倍となった。新規求人数は前年比6.7%増となり、2か月ぶりに増加した。事業主都合離職者数は5か月ぶりに前年を下回った。
 企業倒産件数は4件、負債総額は2億500万円であった。倒産件数は一桁台で推移し、小康状態を保っている。

電子部品弱含みの動き

 4月の生産額は前年比6.4%減と9か月連続で前年実績を下回り、前月対比でも再び減少に転じるなど、弱含みの動きとなっている。車載向けの部品需要は底固いものの、中国など新興国経済減速の影響などから、スマートフォン向けを中心に受注が減少した。
 主力のセラミック・コンデンサやインダクタでは生産水準をやや引き下げているほか、これまで増勢を保ってきた産業機器向けを中心とするハイエンドの液晶パネルも減少に転じた。一方、車載向けが主体の半導体素子は持ち直しの動きがみられている。

機械金属生産額、前月対比ほぼ横這い圏内の動き

 4月の生産額は前年比1.9%減と2か月連続で前年実績を下回ったものの、前月対比ではこのところほぼ横這い圏内の動きとなっている。公共工事関連で弱い動きが続くなか、民需関連のうち、ウエイトの高い輸送機械が持ち直しの動きを維持している。
 輸送機械以外の民需関連では、建機部品はこれまで比較的好調だった国内向けも減少に転じ低調に推移したほか、金型などでも減少傾向が続いている。一方、公共工事関連では、橋梁・鉄骨で大幅な減少が続いているほか、水道部品も伸び悩んでいる。

木材業普通合板、製材品とも出荷量が前年比減少

 全国的には、住宅着工の緩やかな回復等を背景に、普通合板の生産・出荷は堅調を持続、製材品も出荷の伸びは低水準ながら生産含め前年実績以上で推移しているが、県内ではいずれも出荷量が前年比減少に転じている。
 3月の普通合板の出荷量は前年比1.3%減と12か月ぶりに前年を下回ったが、生産量は同10.0%増と5か月連続で前年を上回った。出荷量が生産量を下回るのは10か月ぶり。在庫量は前月対比やや増加したが、前年比64.5%減と依然低水準。
 4月の製材品は、出荷量が前年比8.0%減と6か月ぶりに前年を下回ったが、生産量は同横這いで推移した。

酒造業出荷量、6か月ぶりに前年比増加

 4月の清酒出荷量は、県内向けが前年比15.4%増、県外向けは同4.0%減となり、全体では同1.7%増と6か月ぶりに前年を上回った。種類別では、主力の普通酒は県内向けが大幅に伸びたため7か月ぶりに前年を上回り、特定名称酒も堅調に推移した。県外向けの内訳では、東京が同3.7%減、東北5県は同7.7%減、北海道も同15.3%減となった。
 平成27酒造年度(27年7月~28年6月)全国新酒鑑評会で、本県から出品された清酒30点のうち、21点が入賞した。このうち金賞点数は14点で、全国6位となった。前年と比べて、全国順位は4位から順位を落としたが、金賞点数は1点増加した。

県内向け出荷量 662kl
県外向け出荷量 1,306kl
合計出荷量前年比 +1.7%

建設業公共工事請負額、国、市町村が増加し2か月連続で前年比増加

 4月の公共工事請負金額は、県が減少したものの、国、市町村等が増加し、全体で前年比10.5%増と2か月連続で増加した。
 当研究所調査による地元大手12社の4月の新規受注額も、前年比168.0%増の2,399百万円と2か月連続で増加した。うち官公庁工事は、道路補修工事等で土木が増加したものの、建築が落ち込み、全体で同28.6%減と前年を下回った。一方、民間工事は、エネルギー関連や医療・介護関連の大口受注により土木、建築とも大幅に増加し、前年比四桁の伸び率となった。

金融企業倒産、小康状態続く

 4月末の県内銀行の預金は、前月末比245億円増加し、前年比でも2.3%の増加となった。貸出金は、前月末比129億円増加し、前年比でも2.1%の増加となった。預金、貸出金ともに前年を上回って推移しており、伸び率も前月に比べ拡大した。
 4月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は4件(前年比1件増)、負債総額は2億500万円(同91.1%減)となった。倒産件数は小康状態が続き、負債総額は前年同月に大型倒産があったため大幅に減少した。

住宅着工着工戸数、2か月連続で前年比増加

 4月の県内新設住宅着工戸数は、392戸(前年比64戸増、19.5%増)と、2か月連続で前年を上回り、持ち直しの動きがみられる。主力である持家が増加したほか、貸家も前年を大きく上回った。
 利用関係別では、持家が270戸(前年比22戸増)、貸家が93戸(同53戸増)、分譲住宅が29戸(同8戸減)、給与住宅が0戸(同3戸減)となっている。
 持家の前年比増加は2か月連続。貸家も東成瀬村と横手市などで一般向け賃貸住宅の着工が増加したため、2か月連続で前年を上回った。
 地域別では、県北・県央・県南の全地域で前年を上回り、特に県南は二桁の増加率となった。県央は持家と貸家の着工が、県北は持家と分譲住宅の着工が、県南は貸家の着工が、それぞれ増加した。

商況持ち直しの動きに足踏みがみられる

 大型小売店販売が前年を上回ったものの、新車販売が3か月連続で前年を下回ったほか、家電販売も前年を下回り、全体としては持ち直しの動きに足踏みがみられる。
 3月の大型小売店販売額は、前年比0.7%増となり、4か月連続で前年を上回った。衣料品は、春物の販売が振るわず前年を下回ったものの、飲食料品は、催事が好調だったほか、鮮魚や野菜、総菜なども堅調で、前年を上回った。
 4月の新車販売台数は前年比10.0%減と、3か月連続で前年を下回った。内訳では、登録車は同2.5%増と、2か月ぶりに前年を上回ったものの、軽自動車は同21.2%減となり、軽自動車税引き上げ等の影響から、25か月連続の減少となった。
 3月の家電販売は、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が前年並みとなったものの、パソコンやテレビが振るわず、低調となった。

衣類・繊維生産額、2か月連続の前年比減少

 4月の生産額は前年比8.3%減となった。前月に比べ減少幅は縮小したものの、2か月連続で前年を下回った。
 生産は、例年に比べ早めに春夏物が一巡し、秋物への切り替え時期に入ったことから、前年を下回った。受注も、紳士服を中心に伸び悩み、2か月連続で前年を下回った。

雇用有効求人倍率、過去最高の1.14倍

 4月の有効求人倍率は、全数は前月比0.09ポイント上昇の1.14倍となり、昭和38年の統計開始以来、過去最高となった。常用の内訳では、一般は同0.02ポイント低下の0.81倍、パートも同0.17ポイント低下の1.15倍となった。また、求職者が実際に働く都道府県別で集計した「就業地別」求人倍率は、全都道府県で1倍を超え、本県は1.22倍となった。
 新規求人数は前年比6.7%増と、2か月ぶりに前年を上回った。産業別にみると、製造業では同6.5%減となった。「木材・木製品」、「繊維」で増加したが、「食料品」では、前年に食品加工工場の求人が増加した反動から二桁の減少率となった。非製造業では同8.4%増となった。「情報通信」、「宿泊,飲食サービス」、「生活関連サービス,娯楽」で減少したものの、その他の業種で増加した。
 新規求職者数は前年比12.1%減と、33か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比19.4%減となり、5か月ぶりに前年を下回った。
 地域別雇用状況をみると、新規求人数(パートを含む常用)は、県北で増加したが、県央、県南で減少した。臨時・季節を除く有効求人倍率は県北が最も高く1.07倍、県央が0.86倍、県南が0.88倍であった。

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