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県内経済(8月号)

概況県内経済は、一部に持ち直しの動きがみられるが、
      総じて足踏み状態が続いている
 

 電子部品の生産は新興国経済減速の影響から弱含みの動きが強まっているほか、木材も低調な動きとなっている。建設は、住宅着工は持ち直しの動きが続いているが、公共工事は減少基調にある。個人消費は持ち直しの動きに足踏みがみられる。雇用情勢は改善基調にあるものの、一部業種で逼迫感が強い状況が続いている。
 産業別の動向では、電子部品の生産額は、新興国経済減速の影響からスマートフォン向けを中心に受注が減少するなど、弱含みの動きが強まっている。機械金属の生産額は、公共工事関連が増加し、2か月連続で前年を上回った。木材は、普通合板(5月)で県内大手企業の工場火災が影響し、生産量、出荷量ともに前年を下回った。公共工事請負額は、2か月ぶりに増加したが、年度累計では前年度を下回って推移している。地元大手(12社)の建設受注額は、民間工事で大口受注があり、2か月ぶりに増加した。住宅着工は持ち直しの動きが続いている。個人消費は、大型小売店販売額(5月)が前年実績を下回り、新車販売台数も前年を下回ったほか、家電販売額も低調となるなど、全体として持ち直しの動きに足踏みがみられる。
有効求人倍率は過去最高を更新した前月と同じ1.18倍であった。新規求人数は前年比2.7%減となり、3か月ぶりに減少した。事業主都合離職者数は3か月ぶりに前年を上回った。
企業倒産件数は4件、負債総額は2億900万円であった。倒産件数は一桁台で推移し、小康状態を保っている。

電子部品弱含みの動きが続く

 6月の生産額は前年比12.5%減と11か月連続で前年実績を下回り、前月対比でも減少が続くなど、弱含み傾向が強まっている。中国など新興国経済減速の影響などから、スマートフォン向けを中心に受注が減少している。
 主力のセラミック・コンデンサやインダクタでは引き続き生産水準をやや引き下げているほか、産業機器向けを中心とするハイエンドの液晶パネルも大幅な減少が続いている。一方、車載向けが主体の半導体素子は持ち直している。
 なお、4-6月期は前年同期比8.5%、今年上半期は同8.2%、それぞれ減少した。

機械金属生産額、前月対比急伸

 6月の生産額は前年比4.4%増と2か月連続で前年実績を上回り、前月対比でも急伸した。公共工事関連が増加したほか、民需関連のうち、ウエイトの高い輸送機械は軽乗用車向けが落ち込んだものの、小型・普通車向けが海外向けを中心に大幅に増加した。輸送機械以外の民需関連では、金型が再び減少に転じたほか、製鋼品も大幅な減少が続いている。一方、公共工事関連では、橋梁・鉄骨が大幅な増加となったほか、水道部品も持ち直している。
 なお、4-6月期は前年同期比1.4%の増加、今年上半期は同1.8%の減少であった。

木材業普通合板、製材品とも依然低調

 全国的には、住宅着工の緩やかな回復等にともない、普通合板、製材品とも出荷、生産は前年を上回り堅調に推移しているが、県内では、いずれも低調な動きとなっている。
 5月の普通合板は、4月に発生した県内最大手の工場火災が大きく影響し、出荷量は前年比11.2%減と3か月連続で減少し、生産量も同14.9%減と前月に引き続き前年を下回った。また、在庫量は、減産による在庫調整の進展に火災による消失が加わり、同77.6%減の水準まで落ち込んだ。
 6月の製材品は、梅雨入りも影響し、出荷量は前年比横這いにとどまり、生産量は同3.6%減と2か月連続で減少した。

酒造業出荷量、3か月ぶりに前年比減少

 6月の清酒出荷量は、前年比1.0%減と3か月ぶりに前年を下回った。出荷先別では、県外向けは同2.8%増となったが、県内向けが同7.3%減と落ち込んだ。県外の主な出荷先の内訳では、東京が同0.5%増、東北5県も同9.7%増と増加したものの、北海道が同10.5%減と二桁の減少率となった。
 清酒の種類別では、特定名称酒は前年比7.0%増と堅調に推移したが、主力の普通酒が同5.5%減と振るわなかった。特定名称酒の内訳では、吟醸酒が同14.0%増と好調に推移し、純米酒も同1.4%増と堅調であったが、本醸造酒が同0.3%減と前年を僅かに下回った。

県内向け出荷量 554kl
県外向け出荷量 1,028kl
合計出荷量前年比 △1.0%

建設業公共工事請負額、県、市町村等が増加し2か月ぶりに前年比増加

 6月の公共工事請負金額は、国が減少したものの県、市町村等が増加し、前年比1.9%増と2か月ぶりに増加した。しかし、年度累計では前年同期比5.3%減と前年を下回る。
 当研究所調査による地元大手12社の6月の新規受注額も、前年比13.6%増の3,552百万円と2か月ぶりに増加した。うち官公庁工事は、土木、建築とも減少し、同17.2%減と前年を下回った。一方、民間工事は、土木が減少したものの、特養施設建設等の大口受注のあった建築の増加により、総体で同147.1%増と前年を大幅に上回った。地元12社は、年度累計でも前年同期比29.3%増となっている。

金融預金、貸出金とも前年比増加

 6月末の県内銀行の預金は、前月末比337億円増加し、前年比でも0.6%の増加となった。貸出金は、前月末比233億円減少したが、前年比では1.4%の増加となった。
 6月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は4件(前年比1件減)、負債総額は2億900万円(同65.6%減)となった。倒産件数は、24年11月以降、一桁台で推移しており、小康状態が続いている。なお、上半期の倒産件数は前年同期比横這いの28件となったが、期間中に大型倒産の発生がなかったため、負債総額は同17.0%減の34億7,400万円となった。

住宅着工着工戸数、前年比増加幅が縮小

 6月の県内新設住宅着工戸数は、461戸(前年比15戸増、3.4%増)であった。主力の持家が増加したため4か月連続で前年を上回ったが、前年比増加幅は前月に比べて縮小した。
 利用関係別では、持家が317戸(前年比33戸増)、貸家が117戸(同14戸減)、分譲住宅が27戸(同4戸減)、給与住宅が0戸(同横這い)となっている。
 持家は2か月ぶりに前年比増加。貸家は能代市、大館市、湯沢市などで一般向け賃貸住宅の着工が減少したため、4か月ぶりに前年を下回った。
 地域別では、県央は持家と貸家の着工が増加、県南は持家と分譲住宅の着工が増加し、前年を上回った。県北は貸家の着工が減少し、前年を下回った。

商況持ち直しの動きが足踏み

 大型小売店販売額は、6か月ぶりに前年を下回ったほか、新車販売台数と家電販売も前年を下回り、全体としては持ち直しの動きに足踏みがみられる。
 5月の大型小売店販売額は、前年比1.2%減となり、6か月ぶりに前年を下回った。飲食料品は、生鮮品や総菜に動きがみられ、前年をわずかに上回ったが、衣料品は、春物の販売が振るわず前年を下回った。
 6月の新車販売台数は、前年比8.5%減となり、5か月連続で前年を下回った。内訳では、登録車は同3.9%増と、3か月連続で前年を上回った。一方、軽自動車は同20.7%減となり、前月に比べ減少幅はわずかに縮小したものの、軽自動車税引き上げや燃費不正問題等の影響を受け、27か月連続の減少となった。
 5月の家電販売は、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が前年並みとなったが、パソコンやテレビが振るわず、低調となった。

衣類・繊維生産額、4か月連続の前年比減少

 6月の生産額は前年比12.4%減となった。前月に比べ減少幅が拡大し、4か月連続で前年を下回った。
 生産は、国内生産移管の動きが強まっていた前年に比べ受注ロットが減少傾向にあることから、前年を下回った。受注も、夏物の販売が振るわず、追加受注が減少したことから、4か月連続で前年を下回った。

雇用有効求人倍率は1.18倍、19か月連続で1倍台

 6月の有効求人倍率は、前月比横這いの1.18倍となり、19か月連続で1倍台となった。常用の内訳では、一般は同0.04ポイント上昇の0.91倍、パートも同0.03ポイント上昇の1.18倍となった。
 新規求人数は前年比2.7%減と、3か月ぶりに前年を下回った。産業別にみると、製造業では同1.3%増となった。「情報通信機械」、「食料品」、「木材・木製品」で減少したものの、受注増や人手不足の影響から、その他の業種で求人が増加した。非製造業では同3.1%減となった。「運輸,郵便」、「卸売,小売」、「情報通信」、「建設」で二桁の増加率となったものの、「宿泊,飲食サービス」で、前年に大規模な求人があった反動から大幅に減少した。
 新規求職者数は前年比11.0%減と、35か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比6.3%増となり、3か月ぶりに前年を上回った。
 地域別雇用状況をみると、新規求人数(パートを含む常用)は、県北で増加したものの、県央、県南で減少した。臨時・季節を除く有効求人倍率は県北が最も高く1.21倍、県南が0.98倍、県央が0.92倍であった。

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