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県内経済(9月号)

概況県内経済は、生産面に持ち直しの動きがみられるが、
      総じて足踏み状態が続いている
 

 電子部品の生産に持ち直しの兆しがみられるほか、機械金属も高水準を維持している。一方、建設は、公共工事が減少基調にあるほか、住宅着工も持ち直しの動きが一服した。個人消費は持ち直しの動きが足踏みしている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種で逼迫感が強い状況が続いている。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、スマートフォンの生産調整が一巡したほか、新製品向けの受注も増え、持ち直しの兆しがみられる。機械金属の生産額は、輸送機械で小型・普通車向けが大幅に増加し、3か月連続で前年を上回った。木材は、普通合板(6月)で県内大手企業の工場火災の影響が一段落し、生産量は3か月ぶりに前年を上回ったが、荷動きは鈍化している。公共工事請負額は、2か月ぶりに減少し、年度累計でも前年度を下回って推移している。地元大手(12社)の建設受注額は、民間工事で大口受注があり、2か月連続で増加した。住宅着工は持ち直しの動きが一服した。個人消費は、家電販売(6月)が前年実績を上回ったものの、大型小売店販売額(6月)が前年を下回ったほか、新車販売台数も前年を下回り、全体として持ち直しの動きが足踏みしている。
 有効求人倍率は前月比0.04ポイント上昇し、過去最高の1.22倍となった。新規求人数は前年比2.4%増となり、2か月ぶりに増加した。事業主都合離職者数は2か月ぶりに前年を下回った。
 企業倒産件数は5件、負債総額は10億300万円であった。

電子部品持ち直しの兆し

 7月の生産額は前年比14.0%減と12か月連続で前年実績を下回ったものの、前月対比では増加に転じるなど、持ち直しの兆しがみられる。これまで中国をはじめとする新興国経済減速の影響などからスマートフォン(スマホ)向けを中心に弱含んでいたが、スマホの生産調整が一巡したことに加え、北米メーカーの新製品向けなどの受注が増えてきている。
 主力のセラミック・コンデンサやインダクタでは生産水準をやや引き上げているほか、車載向けが主体の半導体素子も持ち直している。一方、産業機器向けを中心とするハイエンドの液晶パネルは大幅な減少が続いている。

機械金属生産額、前月に続き高水準を維持

 7月の生産額は前年比2.2%増と3か月連続で前年実績を上回り、前月に引き続き高水準を維持した。公共工事関連は横這い圏内の動きとなっているものの、民需関連のうちウエイトの高い輸送機械は、国内の軽乗用車向けが燃費不正データ問題などにより低調ながら、小型・普通車向けは北米を中心に海外向けで大幅な増加傾向が続いている。
 輸送機械以外の民需関連では、製鋼品や建機部品は減少傾向にあるが、金型は再び大幅な増加に転じている。一方、公共工事関連では、橋梁・鉄骨は堅調に推移したものの、水道部品は伸び悩んだ。

木材業普通合板、製材品とも依然低調

 全国的に、住宅着工は依然緩やかに回復しているものの、消費増税延期による駆け込み需要の消失に、梅雨の影響も重なり、普通合板、製材品の荷動きは鈍化している。県内でも、普通合板、製材品とも総じて低調な動きとなっている。
 6月の普通合板は、出荷量が前年比19.5%減と4か月連続で減少した。4月に発生した県内最大手の工場火災の影響が一段落し、生産量は同1.7%増と3か月ぶりに前年を上回ったが、在庫量は同74.0%減と依然大幅に圧縮されている。
 7月の製材品は、出荷量、生産量とも前年比横這いにとどまった。いずれも4月以降前年実績以下の推移が続いている。

酒造業出荷量、2か月連続で前年比減少

 7月の清酒出荷量は、前年比5.0%減と2か月連続で前年を下回った。出荷先別では、県内向けは同1.5%増となったが、県外向けが同8.4%減となった。県外の主な出荷先の内訳では、東京が同7.3%減、東北5県は同13.5%減、北海道も同4.8%減と、いずれも落ち込んだ。種類別では、特定名称酒が同2.1%減、普通酒も同6.9%減と振るわなかった。
 県酒造組合は、県産酒の消費拡大を図るため、「日本酒の日」である10月1日に県民が一斉に県産の日本酒で乾杯する「秋田の日本酒で乾杯!プロジェクト」を推し進めており、同日、秋田市内で「秋田の酒を楽しむ会」を開催する。

県内向け出荷量 522kl
県外向け出荷量 898kl
合計出荷量前年比 △5.0%

建設業公共工事請負額、県、市町村が減少し2か月ぶりに前年比減少

 7月の公共工事請負金額は、国等が増加したものの、県、市町村が減少し、前年比45.1%減と2か月ぶりに前年を下回った。年度累計でも、前年同期比18.4%減となった。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の7月の新規受注額は、前年比31.3%増の3,666百万円と2か月連続で増加した。うち官公庁工事は、建築が減少したものの土木が増加し、同2.7%増と前年を上回った。民間工事は、土木、建築とも大幅に増加し、同314.8%増となった。特養老人ホーム関連等の大口受注が全体を押し上げた。地元12社は、年度累計でも前年同期比29.9%増となっている。

金融預金、貸出金とも前年比増加が続く

 7月末の県内銀行の預金は、前月末比239億円減少したが、前年比では1.3%の増加となった。貸出金は、前月末比63億円増加し、前年比でも1.4%の増加となった。預金、貸出金ともに前年を上回って推移している。
 7月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は5件(前年比2件増)、負債総額は10億300万円(同96.7%増)となった。倒産件数は平成24年11月以降45か月連続一桁台で推移しており小康状態が続いているが、負債総額は横手市のホテル業者の約5億円が押し上げた。

住宅着工着工戸数、5か月ぶりに前年比減少

 7月の県内新設住宅着工戸数は、367戸(前年比35戸減、8.7%減)であった。主力の持家をはじめ、貸家、分譲住宅、給与住宅の全てが前年を下回り、5か月ぶりに前年比減少となった。
 利用関係別では、持家が255戸(前年比11戸減)、貸家が93戸(同9戸減)、分譲住宅が17戸(同14戸減)、給与住宅が2戸(同1戸減)となっている。
 持家は需要が伸び悩み、2か月ぶりに前年を下回った。貸家は大仙市や横手市などで一般向け賃貸住宅の着工が減少したため、2か月連続で前年を下回った。
 地域別では、県北・県央・県南の全地域で前年を下回り、特に県央は二桁の減少率となった。県央は持家と分譲住宅の着工が、県北は持家の着工が、県南は貸家と分譲住宅の着工が、それぞれ減少した。

商況持ち直しの動きが足踏み

 家電販売が前年を上回ったものの、大型小売店販売額が2か月連続で前年を下回ったほか、新車販売台数も6か月連続で前年を下回り、全体としては持ち直しの動きが足踏みしている。
 6月の大型小売店販売額は、前年比3.1%減となり、2か月連続で前年を下回った。飲食料品は精肉、鮮魚、総菜に加えお中元も振るわず、前年を下回った。衣料品も、夏物の販売が振るわず前年を大幅に下回った。
 7月の新車販売台数は、前年比2.7%減となり、前月に比べ減少幅は縮小したものの、6か月連続で前年を下回った。内訳では、登録車は同7.3%増となり、4か月連続で前年を上回った一方、軽自動車は同14.5%減となり、軽自動車税引き上げや燃費不正問題等の影響を受け、28か月連続の減少となった。
 6月の家電販売は、パソコンが振るわなかったものの、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電に加え、エアコンなどの季節商品も増加し、前年を上回った。

衣類・繊維生産額、5か月連続の前年比減少

 7月の生産額は前年比5.0%減となった。前月に比べ減少幅が縮小したものの、5か月連続で前年を下回った。
 生産は、国内移管の動きが強まっていた前年に比べ、受注ロットが減少し、前年を下回った。受注も、夏物から秋冬物への切り替えが進んでいるものの、消費低迷の影響を受け、5か月連続で前年を下回った。

雇用有効求人倍率は0.04ポイント上昇の1.22倍、過去最高を更新

 7月の有効求人倍率は、前月比0.04ポイント上昇の1.22倍となり、過去最高を更新した。1倍台は20か月連続。常用の内訳では、一般は同0.06ポイント上昇の0.97倍、パートは同0.18ポイント上昇の1.36倍となった。
 新規求人数は前年比2.4%増となり、2か月ぶりに前年を上回った。産業別にみると、製造業では同0.3%減となった。「木材・木製品」、「食料品」、「繊維」で増加したものの、「電気機械器具」、「情報通信機械」、「電子部品・デバイス・電子回路」で二桁の減少となった。非製造業では同2.7%増となった。「生活関連サービス,娯楽」、「医療,福祉」、「サービス」で減少したものの、人手不足の影響から「運輸,郵便」、「情報通信」で二桁の増加となったほか、その他の業種でも増加した。
 新規求職者数は前年比18.3%減と、36か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比31.3%減と、再び二桁の減少となった。
 地域別雇用状況をみると、新規求人数(パートを含む常用)は、県南で減少したものの、県北、県央で増加した。臨時・季節を除く有効求人倍率は県北が最も高く1.31倍、県央が1.05倍、県南が1.02倍であった。

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