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県内経済(10月号)

概況県内経済は、全体として緩やかに持ち直しつつある
 

 電子部品の生産が上向きつつあるほか、機械金属も高水準を維持している。建設は、公共工事が減少基調で推移している一方、住宅着工は持ち直しの動きにある。個人消費も弱いながらも持ち直しの動きがみられる。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種で逼迫感が強い状況が続いている。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、スマートフォンの生産調整が一巡し、北米メーカーの新製品向けの受注が上向きつつある。機械金属の生産額は、輸送機械のうち小型・普通車向けで大幅な増加傾向が続き、4か月連続で前年を上回った。木材は、普通合板(7月)で県内大手企業の工場火災の影響が一段落し、生産量は2か月連続で前年を上回ったが、荷動きは鈍化している。公共工事請負額は、2か月連続で減少し、年度累計でも前年度を下回って推移している。地元大手(12社)の建設受注額は、民間工事で大口受注があり、3か月連続で増加した。住宅着工は持ち直しの動きにある。個人消費は、新車販売の低迷が続くものの、大型小売店販売額(7月)が3か月ぶりに前年を上回ったほか、家電販売(7月)も前年を上回り、全体として弱いながらも持ち直しの動きがみられる

 有効求人倍率は前月比0.05ポイント低下し1.17倍となった。新規求人数は前年比3.0%増となり、2か月連続で増加した。事業主都合離職者数は2か月ぶりに前年を上回った。
 企業倒産件数は4件、負債総額は7億3,500万円であった。

電子部品生産額、前月対比でほぼ横這い圏内の動き

 8月の生産額は前年比9.9%減と13か月連続で前年実績を下回ったものの、前月対比ではほぼ横這い圏内の動きが続いている。中国をはじめとする新興国経済減速の影響などからスマートフォン(スマホ)向けを中心に弱含んできていたが、スマホの生産調整が一巡したことに加え、このところ北米メーカーの新製品向けなどの受注が上向きつつある。
 主力のセラミック・コンデンサやインダクタでは生産水準を幾分引き上げたほか、車載向けが主体の半導体素子も持ち直している。一方、産業機器向けを中心とするハイエンドの液晶パネルは大幅な減少が続いている。

機械金属公共工事関連が堅調

 8月の生産額は前年比19.9%増と4か月連続で前年実績を上回ったものの、前月対比では夏季休業の影響などもあり稼働率が低下し落ち込んだ。公共工事関連で堅調な動きが続いているほか、民需関連のうちウエイトの高い輸送機械も、国内の軽乗用車向けが低調ながら、小型・普通車向けは北米を中心に海外向けで大幅な増加傾向が続いている。
 輸送機械以外の民需関連では、製鋼品や建機部品で減少傾向が続いているほか、金型も再び減少に転じている。一方、公共工事関連では、橋梁・鉄骨で堅調な動きが続いているほか、水道部品も持ち直している。

木材業普通合板の荷動きが低調

 全国的には、住宅着工の緩やかな回復等を背景に、普通合板、製材品とも荷動きは上向きつつあるが、県内では需要の高揚感乏しく、普通合板の荷動きは前年割れが続いている。
 7月の普通合板は、出荷量が前年比7.1%減と5か月連続で減少した。4月に発生した県内最大手の工場火災の影響も一段落し、生産量は同22.4%増と2か月連続で前年を上回ったが、前月に続き出荷量が生産量を上回ったことにより、在庫量は同68.9%減と圧縮が進み、品薄感を一層強めている。
 8月の製材品は、出荷量が前年比4.2%増、生産量が同8.7%増といずれも前年を上回り、堅調に推移した。

酒造業出荷量、3か月ぶりに前年比増加

 8月の清酒出荷量は、前年同月の落ち込みの反動などから前年比9.5%増と3か月ぶりに前年を上回った。出荷先別では、県内向けが同10.2%増、県外向けも同9.0%増と、ともに前年比大幅増となった。県外の主な出荷先の内訳では、東京が同4.4%増、東北5県も同5.0%増と堅調で、北海道は同13.5%増と二桁の増加率となった。
 清酒の種類別では、特定名称酒が同10.4%増、普通酒も同8.8%増と、いずれも前年を大きく上回った。特定名称酒の内訳では、吟醸酒が同19.6%増、純米酒は同4.5%増と増加傾向を維持し、本醸造酒も同2.1%増と前年比増加に転じた。

県内向け出荷量 517kl
県外向け出荷量 866kl
合計出荷量前年比 +9.5%

建設業公共工事請負額、市町村が減少し2か月連続で前年比減少

 8月の公共工事請負金額は、国や県等が増加したものの、市町村が減少し、前年比23.0%減と2か月連続で前年を下回った。年度累計でも、前年同期比19.4%減となった。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の8月の新規受注額は、前年比6.6%増の1,907百万円と3か月連続で増加した。うち官公庁工事は、建築が増加したものの土木が減少し、同24.3%減と前年を下回った。民間工事は、土木の減少を建築の増加が補い、同135.2%増となった。製造業の工場や倉庫建築等の大口受注が寄与した。年度累計でも、前年同期比26.1%増と前年を依然上回っている。

金融預金、9年1か月ぶりに前年比減少

 8月末の県内銀行の預金は、前月末比397億円減少し、前年比でも0.1%の減少と、平成19年7月以来、9年1か月ぶりに減少に転じた。貸出金は、前月末比55億円増加し、前年比でも1.6%増と、引き続き前年を上回って推移している。
 8月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は4件(前年比2件増)、負債総額は7億3,500万円(同168.2%増)となった。倒産件数は24年11月以降46か月連続一桁台で推移しており小康状態が続いているが、負債総額は能代市の土木工事業者の約6億円が押し上げた。

住宅着工着工戸数、2か月ぶりに前年比増加

 8月の県内新設住宅着工戸数は、410戸(前年比104戸増、34.0%増)と、2か月ぶりに前年を上回った。主力の持家や、貸家が増加したほか、分譲住宅も秋田市でマンション着工があり大幅増となった。
 利用関係別では、持家が269戸(前年比46戸増)、貸家が62戸(同8戸増)、分譲住宅が78戸(同53戸増)、給与住宅が1戸(同3戸減)となっている。
 持家は2か月ぶりに前年を上回った。貸家は大仙市や仙北市などで一般向け賃貸住宅の着工が増加したため、3か月ぶりに前年を上回った。
 地域別では、県央と県南は持家、貸家、分譲住宅の着工が増加し、前年を上回った。県北は貸家と分譲住宅の着工が減少し、前年を下回った。

商況弱いながらも持ち直しの動き

 新車販売台数が7か月連続で前年を下回ったものの、大型小売店販売額が3か月ぶりに前年を上回ったほか、家電販売も前年を上回り、全体としては弱いながらも持ち直しの動きがみられる。
 7月の大型小売店販売額は、前年比1.1%増と、3か月ぶりに前年を上回った。衣料品は、夏物の販売が振るわず前年を下回ったが、飲食料品は天候不順の影響から野菜、鮮魚等が値上がりしたほか、気温の高い日が多かったことから麺類、アイスなどの涼味商材が好調となり、前年を上回った。
 8月の新車販売台数は、前年比3.6%減となり、7か月連続で前年を下回った。内訳では、登録車は同3.5%増となり、前月に比べ増加幅は縮小したが、5か月連続で前年を上回った。軽自動車は同11.5%減となり、軽自動車税引き上げや燃費不正問題等の影響を受け、29か月連続の減少となった。
 7月の家電販売は、オリンピック効果によりテレビや録画機が好調となったほか、冷蔵庫、洗濯機も増加し、前年を上回った。

衣類・繊維衣服・繊維 受注、生産とも6か月ぶりに前年比増加

 8月の生産額は前年比2.6%増となり、6か月ぶりに前年を上回った。
 秋冬物の生産が本格化し、紳士服、婦人服ともに前年を上回った。受注も、コートやスーツなどの重衣料を中心に好調となり、6か月ぶりに前年を上回った。

雇用有効求人倍率は1.17倍 21か月連続で1倍台

 8月の有効求人倍率は、前月比0.05ポイント低下の1.17倍となった。5か月ぶりに前月比低下したが、21か月連続で1倍台となり、高水準を維持している。常用の内訳では、一般は同0.03ポイント上昇の1.00倍、パートは同0.09ポイント上昇の1.45倍となった。
 新規求人数は前年比3.0%増となり、2か月連続で前年を上回った。産業別にみると、製造業では同2.8%減となった。「食料品」、「木材・木製品」、「情報通信機械」で増加したが、「繊維」で昨年大口求人があった反動から減少したほか、「電子部品・デバイス・電子回路」、「電気機械器具」でも減少した。非製造業では同3.7%増となった。「卸売,小売」では、県北でドラッグストア等の新規出店に伴い増加したほか、「生活関連サービス,娯楽」、「情報通信」でも二桁の増加率となった。
 新規求職者数は前年比4.9%減と、37か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比53.9%増となり、2か月ぶりに前年を上回った。
 地域別雇用状況をみると、新規求人数(パートを含む常用)は県北、県南で前年比二桁の増加率となったほか、県央でも増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.36倍、県央が1.09倍、県南が1.07倍であった。

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