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県内経済(12月号)

概況県内経済は、持ち直しの動きが足踏みしている

 電子部品の生産に緩やかな持ち直しの動きがみられるほか、機械金属も高水準の生産を維持している。一方、建設は、公共工事が前年を下回ったほか、住宅着工も持ち直しの動きが一服した。個人消費は持ち直しの動きが足踏みしている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種で不足感の強い状況が続いている。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、15か月連続で前年を下回ったものの、前月対比では緩やかな持ち直しの動きがみられる。機械金属の生産額は、公共工事関連や輸送機械で堅調な動きが続き、6か月連続で前年を上回った。木材は、普通合板(9月)で生産量が4か月連続で前年を上回ったが、荷動きは低調に推移している。公共工事請負額は、2か月ぶりに減少し、年度累計でも前年度を下回っている。地元大手(12社)の建設受注額は、官公庁工事、民間工事とも振るわず、2か月連続で減少した。住宅着工は3か月ぶりに前年を下回り、持ち直しの動きが一服した。個人消費は、家電販売(9月)が前年を上回ったものの、大型小売店販売額(9月)が2か月連続で前年を下回ったほか、新車販売台数も前年を下回り、全体として持ち直しの動きが足踏みしている。
 有効求人倍率は前月比0.01ポイント低下し1.19倍となった。新規求人数は前年比1.3%減となり、2か月連続で減少した。事業主都合離職者数は3か月ぶりに前年を下回った。
 企業倒産件数は3件、負債総額は7,300万円であった。

電子部品緩やかな持ち直しの動き

 10月の生産額は前年比7.1%減と15か月連続で前年実績を下回ったものの、前月対比ではこのところ緩やかな持ち直しの動きがみられている。電装化が進む車載向けが引き続き堅調となっているほか、新型スマートフォンの関連需要や、年末商戦を控えた薄型テレビ・パソコンのデジタル家電向けなどで国内外からの受注が上向いている。
 主力のセラミック・コンデンサやインダクタでは生産水準をやや引き上げているほか、車載向けが主体の半導体素子も持ち直している。一方、産業機器向けを中心とするハイエンドの液晶パネルは大幅な減少が続いている。

機械金属高めの生産水準を維持

 10月の生産額は前年比7.1%増と6か月連続で前年実績を上回り、前月対比でも高めの水準を維持した。公共工事関連で堅調な動きが続いているほか、ウエイトの高い輸送機械では国内外の需要動向や納入先・品目等により大幅な増加となる事業先と減少が続く事業先に明暗が分かれる状況となっているが、総じて高い生産水準を保っている。
 輸送機械以外の民需関連では、製鋼品や建機部品で減少傾向が続いているほか、金型も大幅な減少となった。一方、公共工事関連では、橋梁・鉄骨で増加傾向が続いているほか、水道部品も持ち直しの動きがみられている。

木材業普通合板、製材品とも荷動き前年割れ

 全国的には、住宅着工の回復等を背景に、普通合板の荷動きは堅調を維持したが、製材品の荷動きは低調であった。一方、県内は、普通合板、製材品とも荷動きは前年を下回った。
 9月の普通合板は、出荷量が前年比9.2%減と7か月連続で減少した一方、生産量は同7.3%増と4か月連続で前年を上回った。2か月ぶりに出荷量が生産量を上回ったことにより、在庫量は同52.9%減となり、前月対比でもやや減少した。
 10月の製材品は、出荷量が前年比8.0%減、生産量も同12.0%減となった。前月対比でも、出荷、生産いずれも横這い水準にとどまり、秋需の盛り上がりに乏しい推移となった。

酒造業出荷量、2か月連続で前年比減少

 10月の清酒出荷量は、普通酒が前年比2.6%減、特定名称酒も同7.0%減となり、全体では同4.3%減となった。前月と比べて減少幅は縮小したものの、高価格帯商品が振るわず、2か月連続で前年を下回った。出荷先別では、県内向けが同3.2%増と伸びた一方、県外向けは同7.6%減となった。県外の主な出荷先の内訳では、東京が同13.4%減、北海道は同14.6%減、東北5県も同5.8%減と、いずれも落ち込んだ。
 仙台国税局が10月に開催した平成28年東北清酒鑑評会で、本県から出品された83点のうち30点が優等賞を受賞(前年比5点増)し、2年ぶりに東北6県で最多となった。

県内向け出荷量 548kl
県外向け出荷量 1,118kl
合計出荷量前年比 △4.3%

建設業公共工事請負額 県、市町村等が減少し2か月ぶりに前年比減少

 10月の公共工事請負金額は、国が増加したものの県や市町村等が減少し、前年比18.3%減と2か月ぶりに減少した。年度累計でも、前年同期比14.4%減と前年を下回る。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の10月の新規受注額も、前年比35.3%減の1,092百万円と2か月連続で前年を下回った。官公庁工事は、治山工事や港湾工事等の大口受注が一部あったものの、土木、建築とも振るわず同13.9%減となった。民間工事も、土木、建築とも前年を大きく下回り、同56.9%減となった。ただし、年度累計では、前年同期比13.5%増と前年を上回っている。

金融預金、3か月ぶりに前年比増加

 10月末の県内銀行の預金は、前月末比114億円増加し、前年比でも0.1%の増加と、3か月ぶりに増加した。貸出金は、前月末比212億円減少したが、前年比では0.9%増と、引き続き前年を上回って推移している。
 10月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は3件(前年比1件減)、負債総額は7,300万円(同94.8%減)となった。倒産件数は平成24年11月以降48か月連続一桁台の推移と小康状態が続き、負債総額も小口倒産のみであったことから大型倒産があった前年同月との対比で大幅減となった。

住宅着工着工戸数、3か月ぶりに前年比減少

 10月の県内新設住宅着工戸数は、353戸(前年比4戸減、1.1%減)であった。貸家は増加したものの、主力の持家、分譲住宅、給与住宅が減少し、3か月ぶりに前年比減少となった。
 利用関係別では、持家が225戸(前年比10戸減)、貸家が111戸(同18戸増)、分譲住宅が17戸(同8戸減)、給与住宅が0戸(同4戸減)となっている。
 持家は需要が伸び悩み、3か月ぶりに前年を下回った。貸家は鹿角市、由利本荘市、秋田市などで一般向け賃貸住宅が増加し、3か月連続で前年を上回った。
 地域別では、貸家と分譲住宅の着工が増加した県北のみが、前年を上回った。県央は分譲住宅と給与住宅の着工が、県南は持家と分譲住宅の着工が減少し、前年を下回った。

商況持ち直しの動きが足踏み

 家電販売が前年を上回ったものの、大型小売店販売額が2か月連続で前年を下回ったほか、新車販売台数も9か月連続で前年を下回り、全体としては持ち直しの動きが足踏みしている。
 9月の大型小売店販売額は、前年比2.9%減となり、2か月連続で前年を下回った。衣料品は、秋物の販売が振るわず前年を大幅に下回ったほか、飲食料品も、台風や豪雨などの影響により価格が高騰した野菜、鮮魚などが振るわず、前年を下回った。
 10月の新車販売台数は、前年比0.2%減となり、9か月連続で前年を下回った。内訳では、登録車は同3.1%減となり、7か月ぶりに前年を下回った。一方、軽自動車はバンやトラックが好調となり、同2.9%増と2年7か月ぶりに前年を上回ったものの、乗用車部門は軽自動車税引き上げや燃費不正問題等の影響から低迷が続いている。
 9月の家電販売は、パソコンや録画機が振るわなかったが、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が増加し、前年を上回った。

衣類・繊維10月の生産額は前年比16.7%減となり、2か月連続で前年を下回った

 生産は、春物への切り替えが進んだが、国内移管の動きが強まっていた前年に比べ受注ロットが減少傾向にあり、紳士服、婦人服ともに前年を下回った。受注も、インバウンド需要の一巡や販売不振が続いていることから追加受注が減少し、前年を下回った。

雇用有効求人倍率は1.19倍 23か月連続で1倍台

 10月の有効求人倍率は1.19倍と、前月比0.01ポイント低下したものの、23か月連続で1倍台となり高水準を維持している。常用の内訳では、一般は同0.03ポイント低下の0.99倍、パートも同0.04ポイント低下の1.45倍となった。
 新規求人数は前年比1.3%減となり、2か月連続で前年を下回った。産業別にみると、製造業では同7.1%増となった。「繊維」、「食料品」、「木材・木製品」で減少したが、「電子部品・デバイス・電子回路」、「電気機械器具」で二桁の増加率となった。一方、非製造業では同2.2%減となった。人手不足が続く「建設」や「卸売,小売」のほか、「情報通信」、「医療,福祉」で増加したものの、「生活関連サービス,娯楽」、「サービス」、「運輸,郵便」で二桁の減少率となった。
 新規求職者数は前年比10.5%減と、39か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比1.8%減となり、3か月ぶりに前年を下回った。
 地域別雇用状況をみると、新規求人数(パートを含む常用)は県央で減少したものの、県北、県南で増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.43倍、県南が1.11倍、県央が1.04倍となった。

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