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県内経済(1月号)

概況県内経済は、緩やかに持ち直している

 電子部品の生産は緩やかな持ち直しの動きが続いているほか、機械金属も高水準の生産を維持している。建設は、公共工事が前年を下回ったが、住宅着工は持ち直しの動きが続いている。個人消費は全体として持ち直しの動きとなっている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種で人出不足感の強い状況が続いている。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、16か月連続で前年を下回ったものの、前月対比では緩やかな持ち直しの動きが続いている。機械金属の生産額は、公共工事関連や輸送機械で堅調な動きが続き、7か月連続で前年を上回った。木材は、普通合板(10月)で生産量が5か月連続で前年を上回ったが、荷動きは低調に推移している。公共工事請負額は2か月連続で減少し、年度累計でも前年度を下回って推移している。地元大手(12社)の建設受注額は、官公庁工事、民間工事とも振るわず、3か月連続で減少した。住宅着工は持ち直しの動きが続いている。個人消費は、大型小売店販売額(10月)が前年比横這いとなったが、新車販売台数が10か月ぶりに前年を上回ったほか、家電販売(10月)も前年を上回り、全体として持ち直しの動きとなっている。
 有効求人倍率は前月比0.04ポイント上昇し、過去最高の1.23倍となった。新規求人数は前年比20.0%増となり、3か月ぶりに増加した。事業主都合離職者数は2か月連続で前年を下回った。
 企業倒産件数は7件、負債総額は22億8,400万円であった。負債総額は大型倒産の発生で4か月ぶりに10億円を超えた。

電子部品緩やかな持ち直しの動きが続く

 11月の生産額は前年比5.9%減と16か月連続で前年実績を下回ったものの、前月対比ではこのところ緩やかな持ち直しの動きが続いている。電装化が進む車載向けが引き続き堅調に推移したほか、新型スマートフォンの関連需要や、年末・春節商戦を控えた薄型テレビ・パソコンのデジタル家電向けなどで国内外からの受注がやや上向いている。
 車載向け主体の半導体素子が大幅な増加となったほか、主力のセラミック・コンデンサやインダクタでも生産水準を幾分引き上げている。一方、産業機器向けを中心とするハイエンドの液晶パネルは大幅な減少が続いている。

機械金属輸送機械、好伸

 11月の生産額は前年比23.1%増と7か月連続で前年実績を上回り、増加幅も前月に比べ急拡大した。公共工事関連で堅調な動きが続いているほか、ウエイトの高い輸送機械は国内外の需要動向や納入先・品目等によりバラツキがみられるものの、一部事業先で新型車効果などから生産が急伸した。
 輸送機械以外の民需関連では、製鋼品で減少傾向が続いているが、建機部品で堅調な動きがみられているほか、金型も大幅な増加に転じた。一方、公共工事関連では、水道部品で持ち直しの動きがやや弱まったものの、橋梁・鉄骨は増加傾向が続いている。

木材業普通合板、製材品とも出荷量は前年割れ

 全国的には、住宅着工の回復等を背景に、普通合板、製材品とも生産量、出荷量いずれも前年を上回っているが、県内では、普通合板、製材品とも出荷量は前年割れが続いている。
 10月の普通合板は、出荷量が前年比9.5%減と8か月連続で前年を下回ったが、前月対比では2か月連続漸増傾向にて推移した。一方、生産量は同1.7%増と5か月連続で前年を上回っている。在庫量は同47.9%減と、引き続き低水準。
 11月の製材品は、出荷量が前年比8.0%減、生産量は同横這いとなった。前月対比でも出荷量、生産量とも3か月連続同水準にとどまり、秋需の盛り上がりもなく低調に推移した。

酒造業出荷量、3か月ぶりに前年比増加

 11月の清酒出荷量は、前年比0.9%増と3か月ぶりに前年を上回った。出荷先別では、県内向けが同0.8%増、県外向けも同0.9%増となった。県外の主な出荷先の内訳では、東北5県が同7.5%減、北海道も同4.8%減となったが、東京が同5.0%増と伸びた。種類別では、普通酒は同2.3%減と低調に推移したが、特定名称酒が同6.3%増と前年を上回った。
 ㈱秋田県酒類卸は、平成28年12月、県酒造組合の協力の下、県内全37蔵元の清酒を扱う飲食店「美酒王国Sake-Navi」を秋田市に開いた。立ち飲み形式で、収容人数は約70人。県産酒の情報を発信し、県内外へのアピールや消費拡大を図る。

県内向け出荷量 694kl
県外向け出荷量 1,438kl
合計出荷量前年比 +0.9%

建設業公共工事請負額 国、県、市町村とも減少し2か月連続で前年比減少

 11月の公共工事請負金額は、国、県、市町村がいずれも減少し、前年比28.7%減と2か月連続で前年を下回った。年度累計でも、前年同期比15.1%減と減少幅が拡大した。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の11月の新規受注額も、前年比52.1%減の1,009百万円と3か月連続で前年を下回った。うち官公庁工事は、土木、建築とも大きく落ち込み同48.4%減となった。民間工事も、商業施設のリニューアルや事業所新築等の大口受注があったものの同55.4%減と落ち込んだ。ただし、年度累計の受注実績では、前年同期比6.1%増と依然前年を上回っている。

金融負債総額、4か月ぶり10億円超え

 11月末の県内銀行の預金は、前月末比61億円増加し、前年比でも1.2%増と、2か月連続で増加した。貸出金は、前月末比218億円減少したが、前年比では1.8%増と、引き続き前年を上回って推移している。
 11月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は7件(前年比4件増)、負債総額は22億8,400万円(同34.4%減)となった。倒産件数は、平成24年11月以降49か月連続で一桁台となり、小康状態が続いている。負債総額は、由利本荘市の光学レンズ製造業の負債額20億1,200万円が押し上げたが、大型倒産があった前年同月との対比では大幅に減少した。

住宅着工着工戸数、2か月ぶりに前年比増加

 11月の県内新設住宅着工戸数は、338戸(前年比108戸増、47.0%増)であった。主力の持家をはじめ、貸家、分譲住宅、給与住宅の全てが前年を上回り、2か月ぶりに前年比増加となった。
 利用関係別では、持家が216戸(前年比66戸増)、貸家が96戸(同36戸増)、分譲住宅が24戸(同4戸増)、給与住宅が2戸(同2戸増)となっている。
 持家は2か月ぶりに前年を上回った。貸家は秋田市、大館市などで一般向け賃貸住宅が大幅に増加し、4か月連続で前年を上回った。
 地域別では、貸家と分譲住宅の着工が減少した県南のみが、前年を下回った。県央は持家、貸家、分譲住宅、給与住宅の着工が、県北は持家と貸家の着工が増加し、前年を上回った。

商況持ち直しの動き

 大型小売店販売額が前年比横這いとなり、新車販売台数が10か月ぶりに前年を上回ったほか、家電販売も前年を上回り、全体としては持ち直しの動きとなった。
 10月の大型小売店販売額は、衣料品が、秋冬物の販売が振るわず前年を下回ったものの、飲食料品は、精肉、野菜などに動きがみられたことから前年を上回り、全体では横這いとなった。
 11月の新車販売台数は、前年比6.6%増となり、10か月ぶりに前年を上回った。内訳では、登録車は小型乗用車の販売が好調となり、同24.1%増と、11か月ぶりに二桁の増加率となった。一方、軽自動車は軽自動車税引き上げや燃費不正問題等の影響から低迷が長引き、同8.5%減となった。
 10月の家電販売は、ブルーレイなどの録画機が振るわなかったものの、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が増加し、前年を上回った。

衣類・繊維生産額、3か月連続の前年比減少

 11月の生産額は前年比0.5%減となり、前月に比べ減少幅は縮小したものの、3か月連続で前年を下回った。
 生産は、冬物から春物への切り替えが進んでいるが、国内移管の動きが強まっていた前年に比べ受注ロットが減少傾向にあり、前年を下回った。受注は、冬物重衣料の追加があり、3か月ぶりに前年を上回った。

雇用有効求人倍率は1.23倍 過去最高を更新

 11月の有効求人倍率は、前月比0.04ポイント上昇の1.23倍となり、過去最高を更新した。常用の内訳では、一般は同0.06ポイント上昇の1.05倍、パートも同0.07ポイント上昇の1.52倍となった。
 新規求人数は前年比20.0%増となり、3か月ぶりに前年を上回った。産業別にみると、製造業では同15.9%増となった。「電気機械器具」、「食料品」、「繊維」で減少したが、その他の業種で二桁の増加率となった。非製造業でも同20.5%増となった。「情報通信」、「運輸,郵便」、「建設」で減少したが、「宿泊,飲食サービス」で全国展開する飲食チェーンの求人があったほか、「生活関連サービス,娯楽」でも美容室チェーンからの求人があり、大幅に増加した。また、人手不足が続く「医療,福祉」でも二桁の増加率となった。
 新規求職者数は前年比10.6%減と、40か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比28.4%減となり、2か月連続で前年を下回った。
 地域別雇用状況をみると、新規求人数(パートを含む常用)はすべての地域で増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.45倍、県南が1.14倍、県央が1.13倍となった。

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