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県内経済(2月号)

概況県内経済は、緩やかに持ち直している

 電子部品の生産は緩やかな持ち直しの動きが続いているほか、機械金属も高水準の生産を維持している。建設は、公共工事が前年を上回ったほか、住宅着工も持ち直しの動きが続いている。個人消費は全体として持ち直しの動きとなっている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種で人手不足感の強い状況が続いている。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、スマートフォンやデジタル家電向けの受注が上向き、17か月ぶりに前年を上回った。機械金属の生産額は、公共工事関連で弱めの動きがみられるものの、8か月連続で前年を上回った。木材は、普通合板(11月)で生産量が6か月ぶりに前年を下回ったほか、荷動きも低調に推移している。公共工事請負額は3か月ぶりに増加したが、年度累計では前年度を下回って推移している。地元大手(12社)の建設受注額は、官公庁工事が振るわず、4か月連続で減少した。住宅着工は持ち直しの動きが続いている。個人消費は、家電販売(11月)が前年を下回ったものの、大型小売店販売額(11月)が前年を上回ったほか、新車販売台数も2か月連続で前年を上回り、全体として持ち直しの動きとなっている。
 有効求人倍率は前月比0.04ポイント上昇し、過去最高の1.27倍となった。新規求人数は前年比6.0%減となり、2か月ぶりに減少した。事業主都合離職者数は3か月ぶりに前年を上回った。
 企業倒産件数は6件、負債総額は11億9,500万円であった。負債総額は2か月連続で10億円を超えた。

電子部品生産額、17か月ぶりに前年実績を上回る

 12月の生産額は前年比0.7%増と17か月ぶりに前年実績を上回った。車載向けが引き続き堅調に推移したほか、スマートフォン向けや薄型テレビ・パソコンのデジタル家電向けなどでも国内外からの受注が上向いている。加えて、為替円安も受注の伸びに繋がった。車載向け主体の半導体素子で大幅な増加が続いているほか、主力のセラミック・コンデンサや、インダクタでも生産水準を幾分引き上げている。一方、液晶パネルは大幅な減少が続いている。
 なお、10-12月は前年同期比4.1%、平成28年通年では同8.1%、それぞれ減少した。

機械金属生産額、8か月連続で前年実績を上回る

 12月の生産額は前年比11.2%増と8か月連続で前年実績を上回ったものの、増加幅は前月に比べ大幅に縮小した。公共工事関連が弱めの動きとなったほか、ウエイトの高い輸送機械が一部事業先で前月特殊要因により生産が急伸した反動から大きく落ち込んだ。輸送機械以外の民需関連では、製鋼品で減少傾向が続いているほか、金型も減少に転じたが、建機部品で堅調な動きがみられている。一方、公共工事関連では、橋梁・鉄骨が減少に転じたほか、水道部品も減少基調が続いている。
 なお、10-12月は前年同期比13.7%、平成28年通年では同4.9%、それぞれ増加した。

木材業普通合板、製材品とも低調

 全国的には、住宅着工の回復等にともない、普通合板は生産量、出荷量とも前年を上回る推移が続いているが、製材品は低調な動きとなっている。一方、県内では、普通合板、製材品とも、生産量、出荷量は前年実績を下回っている。
 11月の普通合板は、出荷量が前年比17.3%減と9か月連続で前年を下回り、前月対比でも大きく減少した。生産量も同11.6%減と6か月ぶりに前年を下回った。在庫量は同41.1%減と、引き続き低水準の推移となっている。
 12月の製材品は、需要が減退する冬期に入り、出荷量、生産量ともに前年比16.0%減と大きく落ち込んだ。

酒造業出荷量、2か月ぶりに前年比減少

 12月の清酒出荷量は、前年比3.8%減と2か月ぶりに前年を下回った。出荷先別では、県内向けが同6.5%減、県外向けも同2.3%減となった。県外の主な出荷先の内訳では、東京が同3.5%減、東北5県は同3.0%減、北海道も同1.5%減と、いずれも振るわなかった。種類別では、特定名称酒は同0.2%増と前年を上回ったものの、普通酒が同6.3%減と落ち込んだ。
 平成28年累計の清酒出荷量は、前年比3.1%の減少となった。特定名称酒は同1.7%増と6年連続で前年を上回ったが、普通酒が同6.0%減と低調に推移したことが響いた。

県内向け出荷量 1,101kl
県外向け出荷量 2,164kl
合計出荷量前年比 △3.8%

建設業公共工事請負額 国、県、市町村とも増加し3か月ぶりに前年比増加

 12月の公共工事請負金額は、国、県、市町村とも増加し、前年比88.1%増と3か月ぶりに前年を上回った。ただし、年度累計では前年同期比12.5%減と依然前年割れが続く。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の12月の新規受注額は、官公庁工事が振るわず、前年比32.0%減の777百万円と4か月連続で前年を下回った。官公庁工事は、土木が落ち込み同58.4%減となった。民間工事は、遊戯施設の改装やオフィスビルの維持修繕等の大口受注があり、同71.2%増と4か月ぶりに前年を上回った。なお、年度累計の受注実績は、前年同期比3.9%増と前年を上回る。

金融預金、3か月連続で前年比増加

 12月末の県内銀行の預金は、前月末比655億円増加し、前年比でも0.7%増と3か月連続で増加した。貸出金は、前月末比365億円増加し、前年比でも1.3%増と引き続き前年を上回って推移している。
 12月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は6件(前年比2件増)、負債総額は11億9,500万円(同160.9%増)となった。倒産件数は小康状態が続いているが、負債総額は倒産6件のうち5件が負債額1億円以上(前年は1件)となり前年比で大幅に増加した。平成28年累計の倒産件数は56件(前年比8件増)、負債総額は92億6,700万円(同11.5%減)となった。

住宅着工着工戸数、2か月連続で前年比増加

 12月の県内新設住宅着工戸数は、304戸(前年比19戸増、6.7%増)であった。持家と分譲住宅は前年を下回ったものの、貸家が前年を大きく上回り、2か月連続で前年比増加となった。
 利用関係別では、持家が127戸(前年比12戸減)、貸家が148戸(同40戸増)、分譲住宅が28戸(同10戸減)、給与住宅が1戸(同1戸増)となっている。
 平成28年累計の県内新設住宅着工戸数は、4,184戸(前年比331戸増、8.6%増)となり、2年連続で前年を上回った。
 利用関係別では、持家が2年連続で前年を上回ったほか、貸家も相続税対策などから4年連続で前年を上回った。分譲住宅も6年ぶりにマンション着工があり、前年を上回った。低金利も着工戸数増加に寄与した。一方、給与住宅は前年を下回った。

商況持ち直しの動き

 家電販売が前年を下回ったものの、大型小売店販売額が前年を上回ったほか、新車販売台数も2か月連続で前年を上回り、全体としては持ち直しの動きとなった。
 11月の大型小売店販売額は、前年比0.4%増となった。衣料品は、急な冷え込みから冬物の販売に動きがみられ、9か月ぶりに前年を上回った。飲食料品もお歳暮が好調だったほか、青果、精肉などに動きがみられ、前年を上回った。
 12月の新車販売台数は、前年比4.6%増となり、2か月連続で前年を上回った。内訳では、登録車は普通乗用車および小型乗用車の販売が好調となり、同9.2%増と、2か月連続で前年を上回った。一方、軽自動車は、減少幅は縮小したものの、軽自動車税引き上げや燃費不正問題等の影響から低迷が長引き、同0.6%減となった。
 11月の家電販売は、テレビ、洗濯機などの大型家電やエアコンが増加したが、パソコンや、ブルーレイなどの録画機が振るわず、前年を下回った。

衣類・繊維生産額、4か月ぶりに前年比増加

 12月の生産額は前年比4.5%増となり、4か月ぶりに前年を上回った。冬物から春物への切り替えが進み、紳士服、婦人服ともに前年を上回った。
 また受注も、アイテムによりばらつきがみられるものの、冬物の追加があり、2か月連続で前年を上回った。

雇用有効求人倍率は1.27倍 過去最高を更新

 12月の有効求人倍率は、前月比0.04ポイント上昇の1.27倍となり、過去最高を更新した。常用の内訳では、一般は同0.05ポイント上昇の1.10倍、パートは同0.02ポイント低下の1.50倍となった。
 新規求人数は前年比6.0%減となり、2か月ぶりに前年を下回った。産業別にみると、製造業では同5.1%減となった。「情報通信機械」、「木材・木製品」、「電子部品・デバイス・電子回路」、「電気機械器具」で増加したものの、「食料品」、「繊維」で二桁の減少率となった。非製造業でも同6.1%減となった。「卸売,小売」では、県内全域でスーパーマーケットの求人が増加したほか、「情報通信」、「建設」でも二桁の増加率となったが、「宿泊,飲食サービス」、「サービス」、「運輸,郵便」で減少した。
 新規求職者数は前年比12.2%減と、41か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比1.6%増となり、3か月ぶりに前年を上回った。
 地域別雇用状況をみると、新規求人数(パートを含む常用)は、県南で増加したが、県央、県北で減少した。有効求人倍率は県北が最も高く1.46倍、県南が1.20倍、県央が1.15倍となった。

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