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県内経済(3月号)

概況県内経済は、持ち直しの動きが足踏みしている

 機械金属の生産は高水準を維持しているが、電子部品が再び前年割れとなり、木材も低調に推移している。一方、建設は、公共工事が前年を上回り、住宅着工も持ち直しの動きが続いている。個人消費は持ち直しの動きが足踏みしている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種で人手不足感の強い状況が続いている。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、中国向けのスマートフォン受注が伸び悩み、2か月ぶりに前年を下回った。機械金属の生産額は、公共工事関連で弱めの動きがみられるものの、輸送機械で国内向けが堅調に推移し、9か月連続で前年を上回った。木材は、需要減退期に入り、普通合板、製材の生産、出荷とも低調に推移している。公共工事請負額は2か月連続で増加したが、年度累計では前年度を下回って推移している。地元大手(12社)の建設受注額は、民間工事が振るわず、5か月連続で減少した。住宅着工は持ち直しの動きが続いている。個人消費は、大型小売店販売額(12月)が3か月ぶりに前年を下回り、新車販売台数も前年を下回ったほか、家電販売(12月)も低調となり、全体として持ち直しの動きが足踏みしている。
 有効求人倍率は前月比0.03ポイント上昇し、過去最高の1.29倍となった。新規求人数は前年比4.9%増となり、2か月ぶりに増加した。事業主都合離職者数は2か月ぶりに前年を下回った。
 企業倒産件数は9件、負債総額は11億1,600万円であった。負債総額は3か月連続で10億円を超えた。

電子部品生産額、再び前年実績下回る

 1月の生産額は前年比1.2%減と、前月、一昨年3月以来17か月ぶりに前年実績を上回ったが、再び前年割れとなった。電装化が進む車載向けが引き続き堅調に推移したものの、中国の春節(旧正月)の影響などからこのところ好調だった同国スマートフォンメーカー向けが伸び悩み、前月対比で大きく落ち込み失速した。
 車載向け主体の半導体素子で大幅な増加が続いているが、主力のセラミック・コンデンサや、インダクタでは生産水準を一段引き下げている。また、産業機器などのハイエンド向けの液晶パネルも大幅な減少が続いている。

機械金属生産額、9か月連続で前年実績を上回る

 1月の生産額は前年比15.1%増と9か月連続で前年実績を上回った。ウエイトの高い輸送機械では北米向け自動車部品の増勢に頭打ち感がみられるものの、国内向けは昨秋から相次いだ新型車モデル向けで比較的高い水準の生産を維持している。
 輸送機械以外の民需関連では、製鋼品は減少傾向が続いているが、金型が増加に転じたほか、建機部品も国内外ともに受注が上向いており引き続き堅調に推移している。一方、公共工事関連は、橋梁・鉄骨が低水準で横這い圏内の動きとなっているほか、水道部品では減少傾向が続いている。

木材業普通合板、製材品とも大幅前年割れ

 降雪等の影響から需要が減退する冬期に入り、全国的にも普通合板、製材品とも生産量、出荷量は減少傾向にあるが、県内では、普通合板、製材品の生産量、出荷量いずれも前年実績対比二桁の減少率となり、落ち込みが顕著となっている。
 12月の普通合板は、出荷量が前年比11.5%減と10か月連続で前年を下回った。生産量も同11.6%減と2か月連続で前年を下回った。出荷量が生産量を上回ったことから、在庫量は同42.1%減とさらに縮減され、28年中最少となった。
 1月の製材品は、出荷量が前年比18.2%減、生産量が同19.0%減と、ともに前年実績を大きく下回った。

酒造業出荷量、2か月連続で前年比減少

 1月の清酒出荷量は、前年比2.1%減と2か月連続で前年を下回った。出荷先別では、県内向けは同7.0%増となったが、県外向けが同5.4%減と振るわなかった。県外の主な出荷先の内訳では、東北5県は同4.0%増となったが、東京が同15.2%減と大きく落ち込み、北海道も同3.6%減となった。  
 清酒の種類別では、普通酒は前年比1.2%増となったものの、特定名称酒が同6.4%減と前年を下回った。特定名称酒の内訳では、吟醸酒が同1.9%減、純米酒も同6.3%減となり、本醸造酒は同20.1%減と二桁の減少率となった。

県内向け出荷量 333kl
県外向け出荷量 801kl
合計出荷量前年比 △2.1%

建設業公共工事請負額 国、県等が増加し2か月連続で前年比増加

 1月の公共工事請負金額は、市町村が減少した傍ら国や県等が増加し、前年比50.6%増と2か月連続で増加した。ただし、年度累計では前年同期比10.7%減と前年を下回る。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の1月の新規受注額は、前年比22.2%減の718百万円と5か月連続で前年を下回った。官公庁工事は、河川改修や橋梁補修、漁港整備等の土木の増加により、同470.6%増と大幅に伸びたが、民間工事は、土木、建築とも振るわず同88.2%減と2か月ぶりに前年を下回った。なお、年度累計の受注実績は、前年同期比2.7%増と引き続き前年を上回っている。

金融預金、4か月ぶりに前年比減少

 1月末の県内銀行の預金は、前月末比540億円減少し、前年比でも0.1%減と4か月ぶりに減少した。貸出金は、前月末比60億円減少したが、前年比では1.6%増と引き続き前年を上回って推移している。
 1月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は9件(前年比4件増)、負債総額は11億1,600万円(同520.0%増)となった。倒産件数は依然一桁台と小康状態を保っているが、うち負債額1億円以上の倒産が5件(前年の1件から4件増加)と過半を占めたため、負債総額は前年比で大幅に増加した。

住宅着工着工戸数、3か月連続で前年比増加

 1月の県内新設住宅着工戸数は、275戸(前年比66戸増、31.6%増)であった。主力の持家をはじめ、貸家、分譲住宅、給与住宅の全てが前年を上回り、3か月連続で前年比増加となった。
 利用関係別では、持家が127戸(前年比16戸増)、貸家が117戸(同39戸増)、分譲住宅が29戸(同9戸増)、給与住宅が2戸(同2戸増)となっている。
 持家は、2か月ぶりに前年を上回った。貸家は秋田市と大館市で一般向け賃貸住宅が増加したほか、湯沢市で公営住宅の着工があり、6か月連続で前年を上回った。
 地域別では、県北・県央・県南の全地域とも前年を上回り、特に県北は100%超の増加率となった。県央は持家、貸家、給与住宅、県北は貸家と分譲住宅、県南は分譲住宅の着工がそれぞれ増加した。

商況持ち直しの動きが足踏み

 大型小売店販売額と新車販売台数が3か月ぶりに前年を下回ったほか、家電販売も2か月連続で前年を下回り、全体としては持ち直しの動きが足踏みしている。
 12月の大型小売店販売額は、前年比2.7%減となった。衣料品は、気温が高めの日が多かったことから、冬物の販売が振るわず、2か月ぶりに前年を下回った。飲食料品も、青果、精肉などに動きがみられたものの、年末年始向けの鮮魚や総菜などが振るわず、前年をわずかに下回った。
 1月の新車販売台数は、前年比0.5%減となり、3か月ぶりに前年を下回った。内訳では、登録車は小型乗用車の販売が好調となり、同9.5%増と、3か月連続で前年を上回った。一方、軽自動車は、軽自動車税引き上げや燃費不正問題等の影響から低迷が長引き、同9.1%減となった。
 12月の家電販売は、テレビ、洗濯機、エアコンなどの大型家電が増加したが、パソコンや、ブルーレイなどの録画機が振るわず、前年を下回った。

衣類・繊維受注、生産ともに前年比減少

 1月の生産額は前年比6.3%減となり、2か月ぶりに前年を下回った。国内移管の動きが強まっていた前年に比べ、受注ロットが減少傾向にあり、前年を下回った。
 受注も、天候不順の影響から追加受注がみられなかったほか、消費低迷の影響から春物の動きが鈍く、前年比減少となった。

雇用有効求人倍率は1.29倍、3か月連続で過去最高を更新

 1月の有効求人倍率は1.29倍となり、3か月連続で過去最高を更新した。昨年12月までの季節調整値を再調整した結果、25か月連続で1倍台となった。常用の内訳では、一般は前月比横這いの1.10倍、パートは同0.01ポイント上昇の1.51倍となった。
 新規求人数は前年比4.9%増となり、2か月ぶりに前年を上回った。産業別にみると、製造業では同10.9%増となった。「繊維」、「食料品」で二桁の減少率となったものの、「情報通信機械」、「電気機械器具」、「電子部品・デバイス・電子回路」、「木材・木製品」で増加した。非製造業でも同4.2%増となった。「情報通信」、「医療,福祉」、「卸売,小売」で減少したものの、慢性的な人手不足が続く「建設」で二桁の増加率となったほか、「運輸,郵便」、「サービス」でも増加した。
 新規求職者数は前年比7.5%減と、42か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比35.2%減となり、2か月ぶりに前年を下回った。
 地域別雇用状況をみると、新規求人数(パートを含む常用)は、県北で減少したが、県央、県南で増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.44倍、県南が1.20倍、県央が1.16倍となった。

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