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県内経済(4月号)

概況県内経済は、全体として足踏み状態にある

 機械金属は高水準の生産を維持しているが、電子部品が弱含み傾向にあるほか、木材も低調に推移している。一方、建設は、公共工事が前年を上回り、住宅着工も持ち直しの動きが続いている。個人消費は弱含みの動きとなっている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種で人手不足感の強い状況が続いている。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、中国スマートフォン向けの受注が落ち込み、2か月連続で前年を下回った。機械金属の生産額は、輸送機械で北米向け自動車部品の生産が増勢を強めたほか、国内向けも堅調に推移し、10か月連続で前年を上回った。木材は、需要減退期に入り、普通合板、製材の生産、出荷とも低調に推移している。公共工事請負額は3か月連続で増加したが、年度累計では前年度を下回って推移している。地元大手(12社)の建設受注額は、官公庁工事で大口受注があり、6か月ぶりに増加した。住宅着工は貸家を中心に持ち直しの動きが続いている。個人消費は、大型小売店販売額(1月)と新車販売台数が2か月連続で前年を下回ったほか、家電販売(1月)も低調となり、全体として弱含みの動きとなっている。
 有効求人倍率は前月比0.04ポイント低下し1.25倍となった。新規求人数は前年比2.4%増となり、2か月連続で増加した。事業主都合離職者数は2か月連続で前年を下回った。
 企業倒産件数は2件、負債総額は1億9,800万円であった。倒産件数は一桁台で推移し、小康状態を保っている。

電子部品生産は弱含み傾向

 2月の生産額は前年比4.6%減と、前月に続き前年実績を下回った。電装化が進む車載向けの部品需要は底堅さを保ち生産を下支えしているものの、年明け後、中国での春節(旧正月)の長期休暇の影響などから昨年末にかけて好調だった同国スマートフォンメーカー向けを中心に受注が落ち込み、前月対比でも減少が続くなど弱含み傾向にある。
 主力のセラミック・コンデンサや、インダクタでは生産水準をさらに一段引き下げている。半導体素子も僅かながら前年割れに転じた。また、減少が続く産業機器向けの液晶パネルも減少幅が拡大傾向にある。

機械金属生産額、10か月連続で前年実績を上回る

 2月の生産額は前年比15.8%増と10か月連続で前年実績を上回った。ウエイトの高い輸送機械は、このところ頭打ち感がみられていた北米向け自動車部品の生産が再び増勢を強めたほか、国内向けも昨秋から相次いだ新型車モデル向けなどで増産の動きが続き、高い水準でさらに増加した。
 輸送機械以外の民需関連では、製鋼品は減少傾向が続いているほか、金型も一進一退の動きとなっているが、建機部品は国内外ともに受注が上向いてきており引き続き堅調に推移している。一方、公共工事関連は、橋梁・鉄骨が横這い圏内の動きとなっているが、水道部品では減少傾向が続いている。

木材業普通合板、製材品とも大幅前年割れ続く

 降雪等の影響から需要が減退する冬期に入り、全国的にも普通合板、製材品の生産量、出荷量は前年実績を割り込んでいるが、県内ではいずれも前年比二桁の減少率となり、減少幅も前月より拡大するなど、落ち込みが顕著となっている。
 1月の普通合板は、出荷量が前年比23.5%減と11か月連続で前年を下回り、生産量も同23.7%減と3か月連続で前年を下回った。出荷量が生産量を上回ったことから、在庫量は同44.0%減とさらに縮減が進んだ。
 2月の製材品は、出荷量が前年比21.7%減、生産量が同25.0%減と、前月に続き、ともに前年実績を大きく下回った。

酒造業出荷量、3か月ぶりに前年比増加

 2月の清酒出荷量は、前年比1.3%増と3か月ぶりに前年を上回った。出荷先別では、県外向けは同1.5%減となったが、県内向けが同8.2%増と堅調に推移した。県外の主な出荷先の内訳では、東北5県は同1.9%増、北海道も同28.6%増となったものの、東京が同7.2%減と落ち込んだ。種類別では、特定名称酒が同3.6%増、普通酒も同0.1%増となった。
(株)酒文化研究所がこの2月にインターネットによるアンケートを実施した結果、清酒の名産地としてのイメージのある都道府県ランキングで、新潟県、兵庫県に続き、本県が第3位となった。

県内向け出荷量 496kl
県外向け出荷量 1,124kl
合計出荷量前年比 +1.3%

建設業公共工事請負額 国、県、市町村とも増加し、3か月連続で前年比増加

 2月の公共工事請負金額は、国、県、市町村とも増加し、前年比247.5%増と3か月連続で前年を上回った。ただし、年度累計では前年同期比7.5%減と前年割れは変わらず。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の2月の新規受注額は、前年比122.6%増の1,420百万円と6か月ぶりに前年を上回った。民間工事は、土木、建築とも振るわず同84.8%減と2か月連続で前年を下回ったが、官公庁工事は、インフラ整備や地域公共施設建設等の大口受注があり、同490.4%増と前月に続き大幅に増加した。なお、年度累計の受注実績も、前年同期比6.3%増と前年を上回る。

金融企業倒産、小康状態続く

 2月末の県内銀行の預金は、前月末比153億円増加し、前年比でも1.1%増と2か月ぶりに増加した。貸出金は、前月末比98億円増加し、前年比でも2.1%増と引き続き前年を上回って推移している。
 2月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は2件(前年比2件減)、負債総額は1億9,800万円(同79.8%減)となった。倒産件数は、平成24年11月以降52か月連続で一桁台となり、小康状態が続いている。負債額は、5億円超の倒産があった前年同月との対比では大幅に減少した。

住宅着工増加傾向が続く

 2月の県内新設住宅着工戸数は、217戸(前年比24戸増、12.4%増)であった。主力の持家をはじめ、貸家、分譲住宅、給与住宅の全てが前年を上回り、4か月連続で前年比増加となった。
 利用関係別では、持家が145戸(前年比2戸増)、貸家が35戸(同10戸増)、分譲住宅が35戸(同10戸増)、給与住宅が2戸(同2戸増)となっている。
 持家は2か月連続で前年を上回った。貸家は秋田市、大仙市、湯沢市などで一般向け賃貸住宅が増加し、7か月連続で前年を上回った。
 地域別では、持家と貸家の着工が減少した県北のみが、前年を下回った。県央は持家、貸家、分譲住宅、県南は貸家と分譲住宅の着工がそれぞれ増加し、前年を上回った。

商況弱含みの動き

 大型小売店販売額と新車販売台数が2か月連続で前年を下回ったほか、家電販売も3か月連続で前年を下回り、全体としては弱含みの動きとなっている。
 1月の大型小売店販売額は、前年比2.6%減となった。衣料品は、冬物セールが振るわなかったほか、初売りも低調となり、2か月連続で前年を下回った。飲食料品も、青果、精肉などに動きがみられたものの、鮮魚や総菜などが振るわず、2か月連続で前年を下回った。
 2月の新車販売台数は、前年比5.9%減となり、2か月連続で前年を下回った。内訳では、登録車は小型乗用車の販売が好調となり、同6.4%増と4か月連続で前年を上回った。一方、軽自動車は、軽自動車税引き上げや燃費不正問題等の影響から低迷が長引き、同16.4%減となった。
 1月の家電販売は、テレビ、洗濯機、エアコンなどの大型家電が増加したが、スマートフォンやタブレット端末の普及によりパソコンが振るわず、前年を下回った。

衣類・繊維生産、2か月ぶりに前年比増加

 2月の生産額は前年比4.3%増となり、2か月ぶりに前年を上回った。春夏物の生産がピークを迎え、紳士服、婦人服ともに前年を上回った。
 受注は、消費低迷が続いているほか、天候不順の影響から追加受注もみられず、2か月連続で前年比減少となった。

雇用有効求人倍率は1.25倍、高水準続く

 2月の有効求人倍率は1.25倍となり、前月比0.04ポイント低下したものの、26か月連続で1倍台となり高水準が続いている。常用の内訳では、一般は前月比0.05ポイント低下の1.05倍、パートは同0.01ポイント上昇の1.52倍となった。
 新規求人数は前年比2.4%増となり、2か月連続で前年を上回った。産業別にみると、製造業は同15.9%増となった。「電気機械器具」、「情報通信機械」で減少したが、「繊維」で工場増設に伴う求人があり増加したほか、「食料品」、「電子部品・デバイス・電子回路」でも二桁の増加率となった。非製造業も同1.1%増となった。「宿泊,飲食サービス」、「運輸,郵便」などで減少したが、「卸売,小売」でスーパーマーケットやドラッグストアの求人が増加し二桁の増加率となった。
 新規求職者数は前年比15.1%減と、43か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比32.9%減となり、2か月連続で前年を下回った。
 地域別雇用状況をみると、新規求人数(パートを含む常用)は県北、県央、県南の全地域で増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.45倍、県南が1.20倍、県央が1.09倍となった。

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