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夏のボーナス支給見通し

 平成29年夏のボーナス支給見通しについて、「支給する」と回答した企業割合は28年夏の調査を3.6ポイント上回る61.0%となり、18年に調査方法を変更して以来、最も割合が高くなった。
 1人当たり支給額については、「変わらない」と答えた企業が7割を超えたが、「増加する」と答えた企業割合が上昇し、「減少する」と答えた企業割合が低下したため、「ボーナスDI」は前回調査比9ポイント上昇の8となり、大幅に改善する見通しとなった。

<調査要領>
調査方法:郵送によるアンケート方式
調査時期:平成29年2月中旬~3月上旬
発送数:県内に事業所のある企業336社
回答企業数:269社(回答率80.1%)

ボーナス支給予定企業の割合は61.0%

 当研究所では、平成29年夏のボーナス支給見通しについて、県内に事業所のある企業336社を対象にアンケート調査を行った。
 回答のあった269社のうち、「支給する」とした企業は、28年夏の調査(以下、「前回調査」)と比べて3.6ポイント上昇し、61.0%(164社)となった。18年に調査方法を変更して以来、「支給する」とした企業割合が最も高くなった。一方、「支給しない」は前回調査比1.7ポイント低下の8.6%(23社)であった。なお、「未定」は30.5%(82社)で、同1.8ポイント低下した。

1人当たりの平均支給額、「変わらない」が74.4%

 夏のボーナスを「支給する」と回答した企業の1人当たり支給額の見通し(前年比増減)は、「変わらない」が74.4%(前回調査比6.2ポイント低下)を占め、前年並みの支給を見込む企業が7割を超えたものの、「増加する」と答えた企業(16.7%)が同7.3ポイント上昇し、「減少する」(9.0%)は同1.0ポイント低下した。
 なお、平成28年夏のボーナス支給実績は、「支給した」が80.4%、「支給しなかった」が18.6%となり、支給前の見通しで「未定」としていた企業(32.3%)の多くが支給していたことが分かった。また、1人当たりの支給額増減については「増加した」が28.6%、「変わらなかった」が58.5%、「減少した」は12.0%となり、見通し段階と比較して、「増加した」と回答した企業が大幅に増加した。

ボーナスDI

 1人当たりの支給額の増減見通しについて、「増加する」と回答した企業の割合から「減少する」とした企業の割合を差し引いた「ボーナスDI」は前回調査に比べて9ポイント上昇し、「8」となった。ボーナスDIは、平成24年以降、4年連続で改善した後、昨年は5年ぶりに悪化する見通しとなっていたが、今回調査では、再び改善がみられた。
 産業別にみると、製造業は前回調査比10ポイント上昇の「11」、非製造業も同7ポイント上昇の「5」と、いずれも改善する結果となり、製造業で、より明るい見通しとなった。

業種別DI

製造業
 製造業の業種別DIでは、「酒造」で付加価値の高い日本酒の販売が堅調となったことから前回調査比23ポイント上昇の「33」と大幅に改善したほか、「機械金属」では受注が増加したことから、同6ポイント上昇の「13」となった。また、「電子部品」で受注が上向き同15ポイント上昇の「0」、4年連続で前年並みの支給見通しが続いていた「木材・木製品」でも同17ポイント上昇の「17」、衣服縫製や食料品などの「その他製造業」は同3ポイント上昇の「6」となり、全ての業種で改善がみられた。

非製造業
 非製造業では、「建設」で公共工事が減少したものの、工事利益率の改善から19ポイント上昇の「10」となったほか、「卸売・小売」でも同6ポイント上昇の「0」となった。「その他非製造業」では、「観光」で外国人観光客の増加が見込まれるものの、「運輸」で荷動きが低迷しているほか、「サービス」では受注競争の激化、人手不足による受注難が続いていることなどから、同横這いの「7」となった。

【参考】

1人当たりの平均支給予定金額および支給月数
 併せて、1人当たりの平均支給予定金額および支給月数、支給人数をうかがい、以下の企業より回答をいただいた。
①1人当たりの平均支給予定金額は25.0万円
 回答いただいた45社(うち、製造業22社、非製造業23社)の1人当たりの支給予定金額(加重平均)は250,400円で、昨年夏(294,800円)と比べて44,400円の減少となった。なお、最高は60.0万円、最低は3.0万円となった。
②1人当たりの支給月数は1.32か月
 回答いただいた52社(うち、製造業26社、非製造業26社)の1人当たりの支給月数(単純平均)は1.32か月となり、昨年夏(1.45か月)と比べて0.13か月の減少となった。なお、最高は2.0か月、最低が0.5か月であった。

まとめ

 平成29年夏のボーナス支給見通しは、「支給する」と回答した企業の割合が前年に比べて上昇し、18年に調査方法を変更して以来、最も高くなった。また、1人当たりのボーナス支給額は、「変わらない」とした企業が7割を超え、前年並みの支給を見込む企業が最も多くなったが、「増加する」とした企業割合が上昇したほか、ボーナスDIも前回調査比9ポイント上昇の8となるなど、大幅に改善する見通しとなった。
 ボーナスDIは、24年以降、4年連続で改善していたが、昨年夏の支給見通しでは、5年ぶりに悪化する厳しい見通しとなっていた。今回調査では、企業側の人手不足感が強まり、賃上げを実施する企業割合が高まるなか、人材確保の必要性から、ボーナス支給にも再び積極的な姿勢がうかがえる結果となった。
(佐藤 由深子)
あきた経済

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