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県内経済(5月号)

概況県内経済は、全体として足踏み状態にある

 機械金属は高水準の生産を維持しているが、電子部品が弱含み基調にあるほか、木材も低調に推移している。建設は、公共工事が前年を上回ったが、住宅着工は持ち直しの動きが一服した。個人消費は弱含みの動きとなっている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種で人手不足感の強い状況が続いている。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、中国スマートフォンメーカー向けの受注が落ち込み、3か月連続で前年を下回った。機械金属の生産額は、輸送機械で北米向け自動車部品の生産が増勢を一段と強めたほか、国内向けも堅調に推移し、11か月連続で前年を上回った。木材は、普通合板、製材の生産、出荷とも低調に推移している。公共工事請負額は4か月連続で増加したが、年度累計では前年度を下回った。地元大手(12社)の建設受注額は、官公庁工事が前年実績には及ばず、2か月ぶりに減少した。住宅着工は5か月ぶりに前年を下回り、持ち直しの動きが一服した。個人消費は、新車販売台数が僅かに前年を上回ったものの、大型小売店販売額(2月)と家電販売(2月)が前年を下回り、全体として弱含みの動きとなっている。
 有効求人倍率は前月比0.04ポイント上昇し1.29倍となった。新規求人数は前年比3.8%増となり、3か月連続で増加した。事業主都合離職者数は3か月ぶりに前年を上回った。
 企業倒産件数は6件、負債総額は2億9,200万円であった。倒産件数は一桁台で推移し、小康状態を保っている。

電子部品弱含み基調

 3月の生産額は前年比9.2%減と、3か月連続で前年実績を下回った。電装化が進む車載向けの部品需要は底堅さを保ち生産を下支えしているものの、年明け後、昨年末にかけて好調だった中国のスマートフォンメーカー向けを中心に受注が落ち込み、弱含み基調が続いている。ただし、前月対比では、セラミック・コンデンサやインダクタでは生産水準を幾分引き上げ、半導体素子も僅かながら増加に転じた。一方、産業機器向けの液晶パネルでは減少幅が拡大傾向にある。
 なお、1?3月期では前年同期比5.1%、平成28年度通期では同7.4%、それぞれ減少した。

機械金属生産額、前月比急伸

 3月の生産額は前年比30.2%増と11か月連続で前年実績を上回り、前月対比でも大きく伸びた。とくにウエイトの高い輸送機械は、北米向け自動車部品の生産が増勢を一段と強めたほか、国内においても相次ぐ新型車モデル向けなどで増産の動きが続き、高い水準でさらに急伸した。輸送機械以外の民需関連では、金型が増加に転じたほか、建機部品も引き続き堅調に推移している。一方、公共工事関連は、橋梁・鉄骨で減少基調が続いているが、水道部品は増加に転じた。
 なお、1?3月期では前年同期比20.5%、平成28年度通期では同11.3%、それぞれ増加した。

木材業普通合板、製材品とも依然前年割れ続く

 春需要向けの動きから、全国的には普通合板、製材品の生産量、出荷量には回復傾向が窺えるが、県内では依然として前年割れの低調な推移が続いている。
 2月の普通合板は、出荷量が前年比28.8%減と12か月連続、生産量も同28.1%減と4か月連続で、ともに前年を下回った。在庫量は同42.9%減で、前月比微増にとどまった。なお、火災により昨年4月以降操業を停止した合板大手の第二工場が3月から再稼働しており、今後の生産増が期待される。
 3月の製材品は、出荷量が前年比20.0%減と3か月連続、生産量は同22.2%減と4か月連続で、前年実績を下回った。

酒造業出荷量、2か月連続で前年比増加

 3月の清酒出荷量は、前年比3.0%増と2か月連続で前年を上回った。出荷先別では、県外向けは同1.1%減と振るわなかったが、県内向けが同14.0%増と大幅に増加した。県外の主な出荷先別では、北海道が同6.7%増と伸びたものの、東北5県が同5.9%減、東京も同1.1%減となった。種類別では、特定名称酒が同5.7%増、普通酒も同1.5%増となった。
 復興庁は4月、外国人旅行者を東北へ誘客し、観光で復興を図る本年度の「『新しい東北』交流拡大モデル事業」の一つに、「東北七新聞社協議会」が提案した醸造文化体験ツアー「東北ブリューイング・ツーリズム」を選定した。

県内向け出荷量 563kl
県外向け出荷量 1,305kl
合計出荷量前年比 +3.0%

建設業公共工事請負額 国、県、市町村とも増加し、4か月連続で前年比増加

 3月の公共工事請負金額は、国、県、市町村とも増加し、前年比17.5%増と4か月連続で前年を上回った。しかし、28年度計では前年度比5.0%減と前年度実績を下回った。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の3月の新規受注額は、5,496百万円と1年ぶりに50億円を超えたものの、前年比1.5%減と2か月ぶりに前年を下回った。民間工事は、老健施設やエネルギー関連等の大口受注があり、同67.6%増と前年を上回った。官公庁工事は、土木主体に大きく伸びたが前年実績には及ばず、同13.5%減となった。28年度計は前年度比4.7%増と3年ぶりに増加した。

金融預金、2か月連続で前年比増加

 3月末の県内銀行の預金は、前月末比859億円増加し、前年比でも1.8%増と2か月連続で増加した。貸出金は、前月末比69億円減少したが、前年比では1.3%増と引き続き前年を上回って推移している。
 3月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は6件(前年比2件増)、負債総額は2億9,200万円(同51.7%減)となった。倒産件数は平成24年11月以降53か月連続一桁台の推移と小康状態が続き、負債額も1億円未満の小口倒産のみであったことから前年同月との対比で減少した。

住宅着工着工戸数、5か月ぶりに前年比減少

 3月の県内新設住宅着工戸数は、322戸(前年比69戸減、17.6%減)であった。主力の持家が減少したほか、相続税対策等から増勢が続いていた貸家も大幅に前年を下回り、5か月ぶりに前年比減少となった。
 利用関係別では、持家が243戸(前年比15戸減)、貸家が53戸(同51戸減)、分譲住宅が25戸(同3戸減)、給与住宅が1戸(同横這い)となっている。
 持家は需要が伸び悩み、3か月ぶりに前年を下回った。貸家は一般向け賃貸住宅の増加が一服したほか公営住宅の着工も減少し、8か月ぶりに前年を下回った。
 地域別では、貸家と分譲住宅の着工が増加した県南のみが、前年を上回った。県央は貸家と分譲住宅、県北は持家、貸家、分譲住宅の着工がそれぞれ減少し、前年を下回った。

商況弱含みの動き

 新車販売台数がわずかに前年を上回ったものの、大型小売店販売額が3か月連続で前年を下回ったほか、家電販売も4か月連続で前年を下回り、全体としては弱含みの動きとなっている。
 2月の大型小売店販売額は、前年比5.4%減となった。衣料品は、冬物の販売が振るわず、3か月連続で二桁の減少率となった。飲食料品も、青果、精肉などに動きがみられたものの、鮮魚や総菜などが振るわず、3か月連続で前年を下回った。
 3月の新車販売台数は、前年比0.3%増となり、3か月ぶりに前年を上回った。登録車は小型乗用車の販売が好調となり、同9.6%増と5か月連続で前年を上回った。一方、軽自動車は、軽自動車税引き上げや燃費不正問題等の影響から低迷が長引き、同9.8%減となった。
 2月の家電販売は、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が増加したものの、スマートフォンやタブレット端末の普及によりパソコンが振るわず、前年を下回った。

衣類・繊維受注、生産ともに前年比増加

 3月の生産額は前年比8.1%増となり、2か月連続で前年を上回った。春物から夏物への切り替えが進み、紳士服、婦人服ともに前年を上回った。
 受注は、消費低迷が続き小ロット化が進んでいるものの、高価格帯商品の受注が増加し、3か月ぶりに前年を上回った。

雇用有効求人倍率は1.29倍、高水準続く

 3月の有効求人倍率は前月比0.04ポイント上昇の1.29倍となった。27か月連続で1倍台となり高水準が続いている。常用の内訳では、一般は前月比0.05ポイント低下の1.00倍、パートも同0.05ポイント低下の1.47倍となった。
 新規求人数は前年比3.8%増となり、3か月連続で前年を上回った。産業別にみると、製造業は同37.4%増となった。企業の採用意欲が高まり、「電気機械器具」、「情報通信機械」で大幅に増加したほか、「繊維」、「食料品」、「木材・木製品」、「電子部品・デバイス・電子回路」でも二桁の増加率となった。非製造業も同0.7%増となった。「医療,福祉」、「サービス」で減少したが、公共工事が増加した「建設」と、「情報通信」で二桁の増加率となったほか、その他の業種でも増加した。
 新規求職者数は前年比5.8%減と、44か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比1.6%増となり、3か月ぶりに前年を上回った。
 地域別雇用状況をみると、新規求人数(パートを含む常用)は県北、県央、県南の全地域で増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.39倍、県央が1.09倍、県南が1.07倍となった。

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