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県内経済(6月号)

概況県内経済は、全体として持ち直しつつある

 機械金属の生産が高水準を継続しているほか、電子部品、木材にも持ち直しの動きがみられる。建設は、住宅着工が弱含みの動きとなっているが、公共工事は前年を上回って推移している。個人消費は持ち直しの兆しがみられる。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種で人手不足感の強い状況が続いている。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、4か月連続で前年を下回ったものの、前月対比では2か月連続で増加するなど、緩やかな持ち直しの動きがみられる。機械金属の生産額は、輸送機械で北米向け自動車部品の生産の増勢が続き、12か月連続で前年を上回った。木材は普通合板(3月)で工場火災の影響により停止していた生産が再開し、持ち直しの動きがみられる。公共工事請負額は5か月連続で増加した。地元大手(12社)の建設受注額は、官公庁工事、民間工事とも振るわず、2か月連続で減少した。住宅着工は2か月連続で前年を下回り、弱含みの動きとなっている。個人消費は、大型小売店販売額(3月)が4か月連続で前年を下回ったものの、新車販売台数と家電販売(3月)が前年を上回り、全体として持ち直しの兆しがみられる。
 有効求人倍率は前月比0.04ポイント上昇し、過去最高の1.33倍となった。新規求人数は前年比3.0%増となり、4か月連続で増加した。事業主都合離職者数は2か月ぶりに前年を下回った。
 企業倒産件数は4件、負債総額は2億700万円であった。倒産件数は一桁台で推移し、小康状態を保っている。

電子部品緩やかな持ち直しの動き

 4月の生産額は前年比2.1%減と、4か月連続で前年実績を下回ったものの、減少幅は大幅に縮小した。年明け後、昨年末にかけて好調だった中国のスマートフォンメーカー向けを中心に受注が落ち込み、弱含み基調が続いていたが、このところ前月対比では2か月連続で増加するなど、緩やかな持ち直しの動きがみられている。
 主力のセラミック・コンデンサや、インダクタでは生産水準を徐々に引き上げているほか、車載向けの半導体素子も増加基調が続いている。一方、産業機器向けを中心とするハイエンドの液晶パネルでは減少幅が拡大傾向にある。

機械金属輸送機械、高水準を維持

 4月の生産額は前年比21.3%増と12か月連続で前年実績を上回り、昨年11月以降は二桁台の大幅な増加傾向が続いている。とくにウエイトの高い輸送機械では、前月、特殊要因もあり急伸したが、北米向け自動車部品の生産の増勢が続いているほか、国内においても昨年末以降、相次いだ新型車モデル向けなどで増産の動きが続き、高水準を維持している。
 輸送機械以外の民需関連では、建機部品が国内外とも好調な需要を背景に引き続き堅調に推移しているが、金型は再び減少に転じた。一方、公共工事関連は、水道部品は増加基調にあるが、橋梁・鉄骨では一進一退の動きとなっている。

木材業普通合板は改善も製材品は依然低調

 全国的に、普通合板の生産量、出荷量に持ち直しの動きが窺える一方で、製材品は生産量、出荷量とも依然低調な推移にとどまっており、県内でもほぼ同様の動きとなっている。
 3月の普通合板は、出荷量が前年比4.5%減と13か月連続、生産量も同3.1%減と5か月連続で、ともに前年を下回ったものの、大手の工場再稼働もあり、減少幅は前月までの二桁台から大幅に縮減され持ち直しの動きが窺える。在庫量も同35.4%減と前年を下回ったが、前月対比では3割増となった。
 4月の製材品は、出荷量が前年比12.5%減と4か月連続、生産量は同25.0%減と5か月連続で、前年実績を下回った。

酒造業出荷量、3か月ぶりに前年比減少

 4月の清酒出荷量は、前年比6.3%減と3か月ぶりに前年を下回った。出荷先別では、県内向けが同5.2%減、県外向けも同6.8%減と、ともに振るわなかった。県外の主な出荷先別では、北海道は同0.4%増となったものの、東北5県が同7.1%減、東京も同8.2%減と落ち込んだ。種類別では、普通酒が同9.8%減、特定名称酒も同0.2%減と低調だった。
 平成28年度全国新酒鑑評会で、本県から出品された清酒31点のうち、21点が入賞した。このうち、金賞数は前年より2点多い16点で、福島県の22点、宮城県の20点に次いで全国3位となり、前年の6位から順位を上げた。

県内向け出荷量 628kl
県外向け出荷量 1,217kl
合計出荷量前年比 △6.3%

建設業公共工事 市町村、地方独立行政法人等が増加し、5か月連続で前年比増加

 4月の公共工事請負金額は、国、県が減少したものの、市町村や地方独立行政法人等が増加し、前年比4.8%増と5か月連続で前年を上回った。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の4月の新規受注額は、官公庁工事、民間工事とも振るわず、前年比24.7%減の1,807百万円と2か月連続で前年を下回った。うち官公庁工事は、同82.9%減と前年を大きく下回った。民間工事も、一部県外物件も含め、物流業の営業所新増築やエネルギー関連、老健施設等の大口受注はあったものの、同6.6%減と2か月ぶりに前年を下回った。

金融預金、3か月連続で前年比増加

 4月末の県内銀行の預金は、前月末比91億円増加し、前年比でも1.3%増と3か月連続で増加した。貸出金は、前月末比17億円増加し、前年比でも0.7%増と56か月連続で増加した。預金、貸出金とも引き続き前年を上回って推移しているものの、伸び率は鈍化傾向にある。
 4月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は4件(前年比横這い)、負債総額は2億700万円(同1.0%増)となった。倒産件数は、平成24年11月以降54か月連続一桁台で推移しており、小康状態が続いている。

住宅着工着工戸数、2か月連続で前年比減少

 4月の県内新設住宅着工戸数は、344戸(前年比48戸減、12.2%減)と、2か月連続で前年を下回った。主力の持家、分譲住宅のほか、貸家も相続税対策としての需要が一服し、いずれも前年比二桁の減少率となった。
 利用関係別では、持家が237戸(前年比33戸減)、貸家が83戸(同10戸減)、分譲住宅が23戸(同6戸減)、給与住宅が1戸 (同1戸増)となっている。
 持家の前年比減少は2か月連続。貸家も秋田市は伸びたものの横手市などで一般向け賃貸住宅が大幅に減少し、2か月連続で前年を下回った。
 地域別では、貸家と分譲住宅の着工が増加した県北のみが、前年を上回った。県央は分譲住宅、県南は持家、貸家、分譲住宅の着工がそれぞれ減少し、前年を下回った。

商況持ち直しの兆し

 大型小売店販売額が4か月連続で前年を下回ったものの、新車販売台数が2か月連続で前年を上回ったほか、家電販売も前年を上回り、全体としては持ち直しの兆しがみられる。
 3月の大型小売店販売額は、前年比4.5%減となった。衣料品は、春物の販売が振るわず、4か月連続で二桁の減少率となった。飲食料品も、青果、精肉などに動きがみられたものの、鮮魚や総菜などが振るわず、4か月連続で前年を下回った。
 4月の新車販売台数は、前年比13.3%増となり、2か月連続で前年を上回った。登録車は小型乗用車の販売が好調となり、同9.6%増と6か月連続で前年を上回った。軽自動車は、軽自動車税引き上げや燃費不正問題等の影響から26年4月以降、低迷が長引いていたが、新車投入効果から6か月ぶりに前年を上回り、同17.6%増となった。
 3月の家電販売は、パソコンが振るわなかったものの、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が増加し、前年を上回った。

衣類・繊維生産、受注ともに前年比減少

 4月の生産額は前年比7.7%減となり、3か月ぶりに前年を下回った。夏物の生産が時期的にピークを迎えているが、追加生産の減少など生産調整が進み、前年を下回った。
 受注も、消費低迷が続き小ロット化が進んでいるほか、アイテムによりばらつきがみられ、2か月ぶりに前年を下回った。

雇用有効求人倍率は過去最高の1.33倍

 4月の有効求人倍率は前月比0.04ポイント上昇の1.33倍で、過去最高となった。1倍台は28か月連続となり高水準が続いている。常用の内訳では、一般は前月比0.03ポイント低下の0.97倍、パートも同0.18ポイント低下の1.29倍となった。
 新規求人数は前年比3.0%増となり、4か月連続で前年を上回った。産業別にみると、製造業は同9.8%増となった。「繊維」で減少したが、「電気機械器具」、「情報通信機械」で二桁の増加率となったほか、「食料品」、「木材・木製品」、「電子部品・デバイス・電子回路」でも増加した。非製造業も同2.3%増となった。「サービス」、「宿泊,飲食サービス」などで減少したが、公共工事が増加した「建設」のほか、「運輸,郵便」、「情報通信」でも二桁の増加率となった。
 新規求職者数は前年比9.4%減と、45か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比23.7%減となり、2か月ぶりに前年を下回った。
 地域別雇用状況(パートを含む常用)をみると、新規求人数は県北で減少したものの、県央、県南で増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.30倍、県南が1.07倍、県央は0.99倍となった。

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