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県内経済(7月号)

概況県内経済は、緩やかに持ち直している

 機械金属の生産が高水準を維持しているほか、電子部品、木材にも持ち直しの動きがみられる。建設は、住宅着工が前年を上回ったほか、公共工事も堅調に推移している。個人消費は持ち直している。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種で人手不足感の強い状況が続いている。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、中国スマートフォンメーカー向けを中心に受注の回復傾向が強まり、5か月ぶりに前年を上回った。機械金属の生産額は高水準を維持しているが、輸送機械で北米向け自動車部品の生産の増勢が弱まっている。木材は普通合板(4月)で大手メーカーの工場再稼働もあり、生産が6か月ぶりに前年を上回った。公共工事請負額は6か月連続で増加し、年度累計でも前年度を上回って推移している。地元大手(12社)の建設受注額は、民間工事で大口受注があり、3か月ぶりに増加した。住宅着工は持家と貸家が増加し、3か月ぶりに前年を上回った。個人消費は、大型小売店販売額が低調に推移しているものの、新車販売台数と家電販売額(4月)は前年を上回り、全体として持ち直している。
 有効求人倍率は前月比0.03ポイント上昇し、過去最高の1.36倍となった。新規求人数は前年比17.1%増となり、5か月連続で増加した。事業主都合離職者数は2か月ぶりに前年を上回った。
 企業倒産件数は5件、負債総額は1億9,500万円であった。倒産件数は一桁台で推移し、小康状態を保っている。

電子部品生産額、5か月ぶりに前年を上回る

 5月の生産額は前年比6.1%増と5か月ぶりに前年実績を上回った。年明け後、昨年末にかけて好調だった中国のスマートフォンメーカー向けを中心に受注が落ち込み、弱含み基調が続いていたが、ここのところ受注の回復傾向が強まり、前月対比では3か月連続で増加するなど、持ち直しの動きが続いている。
 主力のセラミック・コンデンサや、インダクタでは生産水準を徐々に引き上げているほか、車載向けの半導体素子も増加傾向にある。一方、産業機器向けを中心とするハイエンドの液晶パネルでは減少傾向が続いている。

機械金属生産額、高めの水準ながら前々月急伸の反動減が続く

 5月の生産額は前年比13.9%増と13か月連続で前年実績を上回ったものの、増加幅は前月に続き大幅に縮小した。ウエイトの高い輸送機械で前々月、特殊要因により急伸したが、その反動もあり北米向け自動車部品の生産の増勢が弱まっているほか、国内においても昨年末以降、相次いだ新型車モデル向けの増産の動きが一巡した。
 輸送機械以外の民需関連では、建機部品が国内外とも好調な需要を背景に引き続き堅調に推移しているほか、金型も再び増加に転じた。一方、公共工事関連は、水道部品で増勢を保っているが、橋梁・鉄骨では一進一退の動きが続いている。

木材業普通合板は持ち直すも製材品は依然低調

 全国的に、普通合板の生産量、出荷量に持ち直しの動きが続く一方で、製材品は生産量、出荷量とも依然低調な推移にとどまっており、県内でもほぼ同様の動きとなっている。
 4月の普通合板は、昨年4月に火災で焼失した大手メーカーの工場再稼働もあり、出荷量が前年比3.4%増と14か月ぶりに、生産量が同28.5%増と6か月ぶりに、ともに前年を上回った。在庫量は前月より減少したが、前年に落ち込んだ反動から、前年比では1.2%増と22か月ぶりに前年を上回った。
 5月の製材品は、出荷量が前年比19.2%減と5か月連続、生産量は同16.0%減と6か月連続で、前年実績を下回った。

酒造業出荷量、2か月ぶりに前年比増加

 5月の清酒出荷量は、前年比10.4%増と2か月ぶりに前年を上回った。出荷先別では、県内向けが同23.4%増と大幅に伸び、県外向けも同4.1%増となった。県外の主な出荷先別では、北海道と東北5県はともに同4.2%減と振るわなかったが、東京が同4.4%増と前年を上回った。種類別では、普通酒が同11.4%増、特定名称酒も同9.0%増と、いずれも好調だった。
 平成28年度の本県清酒輸出量は、前年比21.6%増の312klと、初めて300klを突破した。

県内向け出荷量 529kl
県外向け出荷量 907kl
合計出荷量前年比 +10.4%

建設業公共工事 県や市町村等が増加し、6か月連続で前年比増加

 5月の公共工事請負金額は、国が減少したものの、県や市町村等が増加し、前年比32.5%増と6か月連続で前年を上回った。年度累計でも前年同期比10.5%増となった。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の5月の新規受注額も、前年比32.6%増の3,095百万円と3か月ぶりに前年を上回った。うち官公庁工事は、土木、建築とも振るわず同31.6%減と前年を下回ったが、民間工事は、老健施設建設等の大口受注があり、同85.3%増と前年を大きく上回った。なお、年度累計の受注実績でも、前年同期比3.6%増と前年実績を上回っている。

金融企業倒産、小康状態続く

 5月末の県内銀行の預金は、前月末比183億円減少したが、前年比では2.1%増と4か月連続で増加した。貸出金も、前月末比11億円減少したが、前年比では1.0%増と57か月連続で増加した。預金、貸出金とも引き続き前年を上回って推移しており、伸び率も前月に比べ拡大した。
 5月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は5件(前年比2件減)、負債総額は1億9,500万円(同84.9%減)となった。倒産件数は、平成24年11月以降55か月連続一桁台で推移しており、小康状態が続いている。

住宅着工着工戸数、3か月ぶりに前年比増加

 5月の県内新設住宅着工戸数は、416戸(前年比13戸増、3.2%増)であった。前月に続いて分譲は減少したものの、主力の持家が増加したほか、貸家も前年を大きく上回り、3か月ぶりに前年実績を上回った。
 利用関係別では、持家が270戸(前年比12戸増)、貸家が101戸(同24戸増)、分譲住宅が44戸(同23戸減)、給与住宅が1戸(同横這い)となっている。
 持家の前年比増加は3か月ぶり。貸家も由利本荘市、にかほ市などで一般向け賃貸住宅が増加し、3か月ぶりに前年を上回った。分譲住宅は前年同月にマンション着工(56戸)があったため、減少した。
 地域別では、持家と貸家の着工が減少した県北のみが、前年を下回った。県央は持家と貸家、県南は分譲住宅の着工がそれぞれ増加し、前年を上回った。

商況持ち直している

 大型小売店販売額が5か月連続で前年を下回ったものの、新車販売台数が3か月連続で前年を上回ったほか、家電販売も前年を上回り、全体としては持ち直している。
 4月の大型小売店販売額は、前年比0.5%減となった。衣料品は春物の販売が振るわず、飲食料品も精肉、青果などに動きがみられたものの、総菜などが振るわず、いずれも5か月連続で前年を下回った。
 5月の新車販売台数は、前年比16.6%増となり、3か月連続で前年を上回った。登録車は小型乗用車の販売が好調となり、同2.2%増と7か月連続で前年を上回った。軽自動車は、軽自動車税引き上げや燃費不正問題等の影響から26年4月以降、低迷が長引いていたが、前年に大きく落ち込んだ反動や新車投入効果などから同35.3%増となり、2か月連続で二桁の増加率となった。
 4月の家電販売は、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が増加したほか、エアコンなどの季節商品にも動きがみられ、前年を上回った。

衣類・繊維生産、受注ともに2か月連続の前年比減少

 5月の生産額は前年比2.4%減となった。前月に比べ減少幅は縮小したものの、夏物の追加生産が減少し、2か月連続で前年を下回った。
 受注は、夏物から秋冬物への切り替えが進んでいるが、消費低迷の影響から小ロット化が進み、2か月連続で前年を下回った。

雇用有効求人倍率は過去最高の1.36倍

 5月の有効求人倍率は前月比0.03ポイント上昇の1.36倍で、過去最高を更新した。1倍台は29か月連続となり過去最長となった。常用の内訳では、一般は前月比0.09ポイント上昇の1.06倍、パートも同0.04ポイント上昇の1.33倍となった。
 新規求人数は前年比17.1%増となり、5か月連続で前年を上回った。産業別にみると、製造業は同18.1%増となった。「木材・木製品」で減少したが、「食料品」で増加したほか、「繊維」、「電子部品・デバイス・電子回路」、「電気機械器具」、「情報通信機械」で二桁の増加率となった。非製造業も同17.0%増となった。「建設」、「情報通信」で減少したが、「宿泊,飲食サービス」で大幅に増加したほか、「運輸,郵便」、「生活関連サービス,娯楽」でも二桁の増加率となった。
 新規求職者数は前年比2.0%減と、46か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比19.5%増となり、2か月ぶりに前年を上回った。
 地域別雇用状況(パートを含む常用)をみると、新規求人数は県央、県南で二桁の増加率となったほか、県北でも増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.35倍、県南が1.12倍、県央は1.01倍となった。

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