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県内経済(8月号)

概況県内経済は、緩やかに持ち直している

 機械金属の生産は堅調に推移しているほか、電子部品、木材も持ち直しの動きとなっている。建設は、住宅着工が一進一退の動きとなっているが、公共工事は底堅く推移している。個人消費は持ち直しの動きが続いている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種で人手不足感の強い状況が続いている。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、車載向けの増勢が続いているほか、スマートフォン向けも持ち直し基調を維持し、2か月連続で前年を上回った。機械金属の生産額は、輸送機械で北米向け自動車部品の生産の増勢が強まるなど、14か月連続で前年を上回った。木材は普通合板(5月)で大手メーカーの工場復旧・再稼働もあり、生産が2か月連続で前年を上回った。公共工事請負額は7か月ぶりに減少したものの、年度累計で前年度比5.0%減と底堅く推移している。地元大手(12社)の建設受注額は、官公庁工事、民間工事とも増加し、2か月連続で増加した。住宅着工は一進一退の動きとなっている。個人消費は、大型小売店販売額が低調に推移しているものの、新車販売台数と家電販売額(5月)は前年を上回り、全体として持ち直しの動きが続いている。
 有効求人倍率は前月比0.01ポイント上昇し、過去最高の1.37倍となった。新規求人数は前年比3.6%増となり、6か月連続で増加した。事業主都合離職者数は2か月ぶりに前年を下回った。
 企業倒産件数は5件、負債総額は4億6,800万円であった。

電子部品生産額、2か月連続で前年を上回る

 6月の生産額は前年比7.1%増と2か月連続で前年実績を上回った。車載向けの増勢が続いているほか、スマートフォン向けも持ち直し基調を維持している。主力のセラミック・コンデンサや、インダクタでは高めの生産水準を保っているほか、車載向けの半導体素子も増加傾向が続いている。また、医療用や放送用モニタなどの産業機器向けを中心とするハイエンドの液晶パネルでは、これまで減少傾向が続いていたが、足許で下げ止まり持ち直しに転じつつある。
 なお、4―6月期は前年同期比3.6%の増加、今年上半期は同0.8%の減少であった。

機械金属貸出金、5か月ぶりに前年比増加率で預金を上回る

 7月末の県内銀行の預金は、前月末比522億円減少したが、前年比では1.1%の増加となった。貸出金も、前月末比13億円減少したが、前年比では1.4%の増加となった。預金、貸出金とも引き続き前年を上回って推移しているものの、伸び率は鈍化傾向にある。
 7月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は6件(前年比1件増)、負債総額は8億3,200万円(同17.0%減)となった。倒産件数は、平成24年11月以降57か月連続一桁台で推移しており、小康状態が続いている。

木材業製材品は前年割れ続く

 全国的に、普通合板の生産量、出荷量は回復傾向にあるものの、製材品の生産量、出荷量は依然として前年割れの推移が続いており、県内でもほぼ同様の動きとなっている。
 5月の普通合板は、出荷量が前年比24.2%増、生産量も同25.9%増と、いずれも2か月連続で前年を上回った。前年に大手メーカーの工場火災により大きく落ち込んだものが、本年3月に同工場が復旧・再稼働したこともあり、前年比二桁の増加率となった。在庫量も、同5.4%増と前年を上回った。
 6月の製材品は、出荷量が前年比14.8%減と6か月連続、生産量も同14.8%減と7か月連続で、前年実績を下回った。

酒造業出荷量、前年比減少幅が拡大

 7月の清酒出荷量は、前年比13.5%減と2か月連続で前年を下回った。改正酒税法施行により低価格帯商品を中心に価格が引き上げとなった影響が続き、減少幅は前月よりも拡大した。出荷先別では、県内向けが同14.1%減、県外向けも同13.1%減となった。県外の主な出荷先別では、北海道が同0.6%減、東北5県が同20.3%減、東京も同17.8%減と、いずれも前年を下回った。種類別では、普通酒が同18.7%減、特定名称酒も同6.3%減となった。
 山内杜氏組合が本年8月に実施した杜氏試験で、昭和34年の試験開始以来、初めて女性の合格者が誕生した。

県内向け出荷量 448kl
県外向け出荷量 780kl
合計出荷量前年比 △13.5%

建設業公共工事 県や市町村等が減少し、7か月ぶりに前年比減少

 6月の公共工事請負金額は、国が増加したものの、県や市町村等が減少し、前年比31.5%減と7か月ぶりに減少した。年度累計でも前年同期比5.0%減と前年を下回った。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の6月の新規受注額は、前年比6.3%増の3,775百万円と2か月連続で前年を上回った。官公庁工事が、同3.3%増と前年実績を上回ったほか、民間工事も、「秋田版CCRC」構想にかかる医療関連施設建設等の大口受注があり、同10.6%増と二桁の増加率となった。なお、年度累計の受注実績でも、前年同期比4.7%増と前年実績を上回っている。

金融預金、貸出金とも前年比増加

 6月末の県内銀行の預金は、前月末比267億円増加し、前年比でも1.9%の増加となった。貸出金は、前月末比86億円減少したが、前年比では1.8%の増加となった。
 6月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は5件(前年比1件増)、負債総額は4億6,800万円(同123.9%増)となった。倒産件数は、平成24年11月以降56か月連続一桁台で推移しており、小康状態が続いている。なお、上半期(1~6月)の倒産件数は前年同期比3件増の31件で、負債総額は平成に入ってから最少の24億7,600万円(同28.7%減)となった。

住宅着工着工戸数、2か月連続で前年比減少

 7月の県内新設住宅着工戸数は、336戸(前年比31戸減、8.4%減)と、2か月連続で前年を下回った。分譲住宅は増加したものの、主力の持家が前年を下回ったほか、貸家も相続税対策としての需要が一服し前年比二桁の減少率となった。
 利用関係別では、持家が232戸(前年比23戸減)、貸家が79戸(同14戸減)、分譲住宅が23戸(同6戸増)、給与住宅が2戸(同横這い)となっている。
 持家の前年比減少は2か月連続。貸家も秋田市は伸びたものの大館市や大仙市などで民間の一般向け賃貸住宅が大幅に減少し、2か月連続で前年を下回った。
 地域別では、持家、貸家、分譲住宅の着工が増加した県央のみが、前年を上回った。県北は持家、貸家、分譲住宅、県南は持家と貸家の着工が減少し、前年を下回った。

商況持ち直しの動きが続いている

 大型小売店販売額が6か月連続で前年を下回ったものの、新車販売台数が4か月連続で前年を上回ったほか、家電販売も前年を上回り、全体としては持ち直しの動きが続いている。
 5月の大型小売店販売額は、前年比2.8%減となった。衣料品は夏物の販売が低調で、飲食料品も鮮魚や青果などが振るわず、いずれも6か月連続で前年を下回った。
 6月の新車販売台数は、前年比21.2%増となり、4か月連続で前年を上回った。登録車は小型乗用車の販売が好調となり、同13.8%増と8か月連続で前年を上回った。軽自動車は、軽自動車税引き上げや燃費不正問題等の影響から26年4月以降、低迷が長引いていたが、前年に大きく落ち込んだ反動や新車投入効果などから同30.7%増となり、3か月連続で二桁の増加率となった。
 5月の家電販売は、パソコンが振るわなかったものの、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が増加したほか、エアコンなどの季節商品にも動きがみられ、前年を上回った。

衣類・繊維生産額、3か月連続の前年比減少

 6月の生産額は前年比4.9%減となった。夏物の追加生産が減少したほか、百貨店向け商品の動きが鈍く、3か月連続で前年を下回った。
 受注は、小ロット化傾向にあるものの、夏物から秋冬物への切り替えが進んでおり、3か月ぶりに前年を上回った。

雇用有効求人倍率は過去最高の1.37倍

 6月の有効求人倍率は前月比0.01ポイント上昇の1.37倍で、過去最高を更新した。1倍台は30か月連続となり過去最長となった。常用の内訳では、一般は前月比0.07ポイント上昇の1.13倍、パートは前月比横這いの1.33倍となった。
 新規求人数は前年比3.6%増となり、6か月連続で前年を上回った。産業別にみると、製造業は同19.9%増となった。「食料品」で減少したが、「情報通信機械」で大幅に増加したほか、「電子部品・デバイス・電子回路」、「電気機械器具」などでも二桁の増加率となった。非製造業も同1.9%増となった。「情報通信」などで減少したが、「生活関連サービス,娯楽」では美容室チェーンからの求人があり大幅に増加したほか、「建設」、「医療・福祉」でも二桁の増加率となった。
 新規求職者数は前年比5.3%減と、47か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比5.5%減となり、2か月ぶりに前年を下回った。
 地域別雇用状況(パートを含む常用)をみると、新規求人数は県南で二桁の増加率となったほか、県北、県央でも増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.45倍、県南が1.20倍、県央は1.11倍となった。

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