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県内経済(9月号)

概況県内経済は、緩やかな持ち直しの動きが続いている

 機械金属の生産は堅調に推移しているほか、電子部品、木材も持ち直しの動きが続いている。建設は、住宅着工が弱含みの動きとなっているが、公共工事は堅調に推移している。個人消費は持ち直しの動きが足踏みしている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種で人手不足感の強い状況が続いている。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、車載向けの増勢が続いているほか、スマートフォン向けの受注も増加し、3か月連続で前年を上回った。機械金属の生産額は、輸送機械で北米向け自動車部品の生産が増勢を保つなど、15か月連続で前年を上回った。木材は普通合板(6月)で大手メーカーの工場復旧・再稼働もあり、生産が3か月連続で前年を上回った。公共工事請負額は2か月ぶりに増加し、年度累計でも前年度を上回って推移している。地元大手(12社)の建設受注額は、民間工事が振るわず、3か月ぶりに減少した。住宅着工は2か月連続で前年を下回り、弱含みの動きとなっている。個人消費は、新車販売台数が5か月連続で前年を上回ったものの、大型小売店販売額が低調に推移しているほか、家電販売額(6月)も前年を下回り、全体として持ち直しの動きが足踏みしている。
 有効求人倍率は前月比0.03ポイント低下し1.34倍となった。新規求人数は前年比9.5%減となり、7か月ぶりに減少した。事業主都合離職者数は2か月ぶりに前年を上回った。
企業倒産件数は6件、負債総額は8億3,200万円であった。

電子部品生産額、前月比好伸

 7月の生産額は前年比12.1%増と3か月連続で前年実績を上回り、前月比でも好伸した。車載向けの増勢が続いているほか、今秋の発売が見込まれる北米大手スマートフォンメーカーの新モデル向けの受注などが大幅に増加した。
 主力のセラミック・コンデンサや、インダクタでは生産水準を大きく引き上げたほか、車載向けの半導体素子も増加傾向が続いている。また、医療用や放送用モニタなどの産業機器向けを中心とするハイエンドの液晶パネルでも、これまで減少傾向が続いていたが、このところ下げ止まり持ち直しに転じている。

機械金属生産額、前月対比で持ち直しが続く

 7月の生産額は前年比9.4%増と15か月連続で前年実績を上回り、前月対比でも持ち直している。ウエイトの高い輸送機械で北米向け自動車部品の生産が増勢を保っているほか、国内においても新型車等を中心に底堅い動きがみられている。輸送機械以外の民需関連では、製鋼品で低調な生産が続いているものの、金型が設備投資の持ち直し傾向を受けて再び増加に転じたほか、建機部品も国内外における好調な需要を背景に引き続き堅調に推移している。一方、公共工事関連では、水道部品が伸び悩んでいるほか、橋梁・鉄骨は減少傾向が続いている。

木材業普通合板は堅調、製材品は前年割れ続く

 全国的に、新築需要の増加にともない、普通合板の生産量、出荷量は回復傾向にあるが、製材品は生産量、出荷量とも前年割れの推移が続いており、県内も同様の動きとなっている。
 6月の普通合板は、出荷量が前年比12.1%増、生産量も同9.5%増と、いずれも3か月連続で前年を大きく上回った。昨年4月に火災により焼失した大手メーカーの第二工場が、本年3月に復旧・再稼働したことも寄与した。一方、在庫量は、出荷増にともない同1.4%減と3か月ぶりに減少した。
 7月の製材品は、出荷量が前年比15.4%減と7か月連続、生産量も同15.4%減と8か月連続で、前年実績を下回った。

酒造業出荷量、前年比減少幅が拡大

 7月の清酒出荷量は、前年比13.5%減と2か月連続で前年を下回った。改正酒税法施行により低価格帯商品を中心に価格が引き上げとなった影響が続き、減少幅は前月よりも拡大した。出荷先別では、県内向けが同14.1%減、県外向けも同13.1%減となった。県外の主な出荷先別では、北海道が同0.6%減、東北5県が同20.3%減、東京も同17.8%減と、いずれも前年を下回った。種類別では、普通酒が同18.7%減、特定名称酒も同6.3%減となった。
 山内杜氏組合が本年8月に実施した杜氏試験で、昭和34年の試験開始以来、初めて女性の合格者が誕生した。

県内向け出荷量 448kl
県外向け出荷量 780kl
合計出荷量前年比 △13.5%

建設業公共工事 国、県、市町村とも増加し、2か月ぶりに前年比増加

 7月の公共工事請負金額は、国、県、市町村がいずれも増加し、前年比36.5%増と2か月ぶりに前年を上回った。年度累計でも前年同期比4.2%増とプラスに転じた。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の7月の新規受注額は、前年比11.9%減の3,228百万円と3か月ぶりに前年を下回った。うち官公庁工事は、庁舎建設の大口受注等があり同1.3%増と僅かながら前年実績を上回ったが、民間工事は土木、建築とも振るわず同44.4%減と前年実績を大きく下回った。なお、年度累計の受注実績でも、前年同期比0.4%減と僅かだが前年実績を割り込んでいる。

金融貸出金、5か月ぶりに前年比増加率で預金を上回る

 7月末の県内銀行の預金は、前月末比522億円減少したが、前年比では1.1%の増加となった。貸出金も、前月末比13億円減少したが、前年比では1.4%の増加となった。預金、貸出金とも引き続き前年を上回って推移しているものの、伸び率は鈍化傾向にある。
 7月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は6件(前年比1件増)、負債総額は8億3,200万円(同17.0%減)となった。倒産件数は、平成24年11月以降57か月連続一桁台で推移しており、小康状態が続いている。

住宅着工着工戸数、2か月連続で前年比減少

 7月の県内新設住宅着工戸数は、336戸(前年比31戸減、8.4%減)と、2か月連続で前年を下回った。分譲住宅は増加したものの、主力の持家が前年を下回ったほか、貸家も相続税対策としての需要が一服し前年比二桁の減少率となった。
 利用関係別では、持家が232戸(前年比23戸減)、貸家が79戸(同14戸減)、分譲住宅が23戸(同6戸増)、給与住宅が2戸(同横這い)となっている。
 持家の前年比減少は2か月連続。貸家も秋田市は伸びたものの大館市や大仙市などで民間の一般向け賃貸住宅が大幅に減少し、2か月連続で前年を下回った。
 地域別では、持家、貸家、分譲住宅の着工が増加した県央のみが、前年を上回った。県北は持家、貸家、分譲住宅、県南は持家と貸家の着工が減少し、前年を下回った。

商況持ち直しの動きが足踏みしている

 新車販売台数が5か月連続で前年を上回ったものの、大型小売店販売額が7か月連続で前年を下回ったほか、家電販売も前年を下回り、全体としては持ち直しの動きが足踏みしている。
 6月の大型小売店販売額は、前年比3.3%減となった。衣料品は紳士服・婦人服ともに夏物の販売が振るわず、飲食料品も鮮魚や青果などが低調に推移したことから、いずれも7か月連続で前年を下回った。
 7月の新車販売台数は、前年比4.0%増となり、5か月連続で前年を上回った。登録車は、新型車効果の落ち着きなどから、同3.7%減と9か月ぶりに前年を下回った。軽自動車は、乗用車、バン、トラックいずれも前年を上回り、同15.3%増と4か月連続で二桁の増加率となった。
 6月の家電販売は、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が増加したほか、パソコン、携帯電話にも動きがみられたたものの、天候不順の影響により、エアコンなどの季節商品が振るわず、前年を下回った。

衣類・繊維生産額、4か月連続の前年比減少

 7月の生産額は前年比0.3%減となった。前月に比べ減少幅は縮小したものの、百貨店向け商品が減少し、4か月連続で前年を下回った。
 受注は、夏物から秋冬物への切り替えが順調に進んでおり、2か月連続で前年を上回った。

雇用有効求人倍率は1.34倍、高水準続く

 7月の有効求人倍率は1.34倍となり、前月比0.03ポイント低下したものの、31か月連続で1倍台となり高水準が続いている。常用の内訳では、一般は前月比0.05ポイント上昇の1.18倍、パートは同0.08ポイント上昇の1.41倍となった。
 新規求人数は前年比9.5%減となり、7か月ぶりに前年を下回った。産業別にみると、製造業は同7.8%増となった。「繊維」、「食料品」で減少したが、「情報通信機械」で大幅に増加したほか、「木材・木製品」、「電気機械器具」などでも二桁の増加率となった。非製造業は同11.4%減となった。「生活関連サービス,娯楽」では、県南地域で遊技場の出店による求人が増加したほか、「建設」などでも二桁の増加率となったが、「宿泊,飲食サービス」、「情報通信」などで減少した。
 新規求職者数は前年比5.1%減と、48か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比52.0%増となり、2か月ぶりに前年を上回った。
 地域別雇用状況(パートを含む常用)をみると、新規求人数は県南で二桁の増加率となったが、県北、県央で減少した。有効求人倍率は県北が最も高く1.46倍、県南が1.26倍、県央は1.19倍となった。

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