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県内経済(12月号)

概況県内経済は、持ち直しの動きが続いている

 電子部品、機械金属の生産は堅調に推移しているほか、木材も持ち直しの動きが続いている。建設は、住宅着工が前年を上回ったほか、公共工事も堅調に推移している。個人消費は持ち直しの動きが足踏みしている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種で人手不足感の強い状況が続いている。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、EV向けなど自動車関連の増勢が続いているほか、スマートフォン向けの受注も増加し、6か月連続で前年を上回った。機械金属の生産額は、輸送機械で北米向けの自動車部品の増勢が続き、18か月連続で前年を上回った。木材は普通合板(9月)が生産量、出荷量ともに6か月連続で前年を上回った。公共工事請負額は3か月ぶりに増加し、年度累計でも前年度比3.4%増と増加に転じた。地元大手(12社)の建設受注額は、民間工事、官公庁工事とも増加し、2か月ぶりに増加した。住宅着工は2か月ぶりに前年を上回った。個人消費は、新車販売台数が前年並みに推移しているものの、大型小売店販売額(9月)が10か月連続で前年を下回ったほか、家電販売額(9月)も前年を下回り、全体として持ち直しの動きが足踏みしている。
 有効求人倍率は前月比0.02ポイント上昇し、過去最高の1.39倍となった。新規求人数は前年比0.5%増となり、3か月連続で増加した。事業主都合離職者数は4か月ぶりに前年を下回った。
 企業倒産件数は4件、負債総額は1億4,600万円であった。

電子部品持ち直しの動き続く

 10月の生産額は前年比5.2%増と6か月連続で前年実績を上回った。EV向けなどの自動車関連の増勢が続いているほか、北米大手スマートフォンメーカーの新モデル向けの受注などもあり、高めの水準で推移している。
 主力のセラミック・コンデンサや、インダクタに再び持ち直しの動きがみられるほか、車載向けの半導体素子は増加傾向が続いている。また、産業機器向けの液晶パネルも堅調に推移している。

機械金属生産額、前年対比とも続伸

 10月の生産額は前年比10.8%増と18か月連続で前年実績を上回った。ウエイトの高い輸送機械は北米向けの自動車部品が依然として好調で増勢を強めているほか、国内向けも新型車等で底堅い動きがみられる。
 輸送機械以外の民需関連では、製鋼品では依然として低調な生産が続いているものの、金型は電子部品向けが好調で増加傾向が続いているほか、建機部品も国内外の好調な需要を背景に堅調に推移している。公共工事関連では、橋梁・鉄骨は横這い傾向にあるものの、水道部品は増加に転ずるなど持ち直しの兆しがみられる。

木材業普通合板は堅調だが製材品は低調推移

 全国的には、やや弱いながらも次第に秋需が盛り上がり、普通合板、製材品とも生産量、出荷量は堅調に推移しているが、県内では依然として製材品の低調推移が続いている。
 9月の普通合板は、生産量が前年比18.2%増、出荷量も同13.4%増と、ともに6か月連続で前年実績を上回り、伸び率も前月に引き続き二桁台となった。在庫量も、同24.7%増と3か月連続で増加した。
 10月の製材品は、生産量が前年比16.0%減と11か月連続、出荷量も同15.4%減と10か月連続で、前年実績を下回った。

酒造業出荷量、5か月ぶりに前年比増加

 10月の清酒出荷量は、前年比0.6%増と5か月ぶりに前年を上回った。出荷先別では、県内向けは同2.1%減と振るわなかったが、県外向けが同2.0%増と伸びた。県外の主な出荷先別では、北海道は同2.5%減となったが、東京が同1.7%増、東北5県も同3.7%増と前年を上回った。種類別では、普通酒は同4.6%減と落ち込んだものの、特定名称酒が同9.5%増と大幅に増加した。
 仙台国税局が10月に開催した平成29年東北清酒鑑評会で、本県から出品された80点のうち29点が優等賞を受賞(前年比1点減)し、前年に続いて東北6県で最多となった。

県内向け出荷量 537kl
県外向け出荷量 1,141kl
合計出荷量前年比 0.6%

建設業公共工事 県、市町村が増加し、3か月ぶりに前年比増加

 10月の公共工事請負金額は、国等が減少した傍ら県、市町村が増加し、前年比53.0%増と3か月ぶりに前年を上回り、年度累計でも前年同期比3.4%増とプラスに転じた。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の10月の新規受注額も、前年比129.7%増の2,508百万円と2か月ぶりに前年を上回った。前年同月が振るわなかったこともあり、民間工事は同129.8%増、官公庁工事は同129.6%増と、いずれも高い伸び率となった。医療福祉関連やごみ処理施設等の大口受注が寄与した。これにともない、年度累計の受注実績でも前年同期比1.4%増と前年を上回った。

金融貸出金、前年比増加率の鈍化傾向続く

 10月末の県内銀行の預金は、前月末比251億円減少したが、前年比では2.6%の増加となった。貸出金も、前月末比239億円減少したが、前年比では0.5%の増加となった。預金、貸出金とも引き続き前年を上回って推移しているものの、貸出金の伸び率は鈍化傾向にある。
 10月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は4件(前年比1件増)、負債総額は1億4,600万円(同100.0%増)となった。倒産件数は平成24年11月以降60か月連続一桁台で推移しており、小康状態が続いている。

住宅着工着工戸数、2か月ぶりに前年比増加

 10月の県内新設住宅着工戸数は、428戸(前年比75戸増、21.2%増)であった。貸家は減少したものの、主力の持家が増加したほか、分譲住宅も大幅に増加し、2か月ぶりに前年を上回った。
 利用関係別では、持家が275戸(前年比50戸増)、貸家が102戸(同9戸減)、分譲住宅が44戸(同27戸増)、給与住宅が7戸(同7戸増)となっている。

 持家は5か月ぶりに前年を上回った。貸家は秋田市で伸びたものの、相続税対策としての需要が一服し、県全体では2か月連続で前年を下回った。分譲住宅は低金利も手伝い小規模戸建の着工が増加し、2か月連続で前年を上回った。
 地域別では、貸家が減少した県北のみが、前年を下回った。県央と県南は、持家と分譲住宅の着工が増加し、前年を上回った。

商況持ち直しの動きが足踏み

 新車販売台数は前年並みとなっているものの、大型小売店販売額が10か月連続で前年を下回ったほか、家電販売も前年を下回り、全体としては持ち直しの動きが足踏みしている。
 9月の大型小売店販売額は、前年比0.4%減となった。衣料品は、紳士服が好調で10か月ぶりに前年を上回ったものの、飲食料品がわずかに前年を下回ったほか、家庭用品も振るわず、全体では10か月連続で前年を下回った。

 10月の新車販売台数は、前年と同水準となった。登録車は、輸入車のほか貨物車、バス等が増加し、前年比1.9%増と2か月ぶりに前年を上回った。軽自動車は、乗用車が増加したもののトラック等が減少し、同1.8%減と7か月ぶりに前年を下回った。
 9月の家電販売は、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が増加したものの、昨年残暑が厳しく好調だったエアコンが反動減により減少したほか、パソコンも振るわず、前年を下回った。

衣類・繊維生産額、7か月連続の前年比減少

 10月の生産額は前年比5.0%減となった。一部冬物に追加生産があったものの、小ロット化傾向が続いており、7か月連続で前年を下回った。
 受注も、春物への切り替えが順次進んでいるものの、アイテムによりばらつきもみられ、2か月連続で前年を下回った。

雇用有効求人倍率は過去最高の1.39倍

 10月の有効求人倍率は前月比0.02ポイント上昇の1.39倍で、過去最高を更新した。1倍台は34か月連続となり高水準が続いている。常用の内訳では、一般は前月比0.01ポイント低下の1.23倍、パートは同0.01ポイント上昇の1.58倍となった。
 新規求人数は前年比0.5%増となり、3か月連続で前年を上回った。産業別にみると、製造業は同0.8%減となった。「情報通信機械」で大幅に増加したものの、「木材・木製品」、「電子部品・デバイス・電子回路」では二桁の減少率となった。非製造業は同0.7%増となった。人手不足が続く「医療,福祉」、「サービス」、「卸売,小売」などで増加したものの、「情報通信」、「運輸,郵便」では前年に大きく増加した反動などから二桁の減少率となった。
 新規求職者数は前年比7.6%減と、2か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比1.4%減となり、4か月ぶりに前年を下回った。
 地域別雇用状況(パートを含む常用)をみると、新規求人数は県南で増加したものの、県北、県央で減少した。有効求人倍率は県北が最も高く1.57倍、県南が1.34倍、県央は1.25倍となった。

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