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冬のボーナス見通し

ボーナス支給予定企業は54.4%

 当研究所では、平成22年冬のボーナス支給計画について、県内の297事業所を対象にアンケート調査を行った。
 回答のあった230社のうち「支給する」とした企業の割合は54.4%(125社)で、21年冬の調査(以下、「前回調査」)に比べて3.4ポイント上昇した。一方、「支給しない」は同0.7ポイント低下して17.8%(41社)となった。なお、「未定」は同2.7ポイント低下して27.8%(64社)であった。

1人当たり支給額は「増加する」が19.7%

 冬のボーナスを「支給する」と回答した企業の1人当たり支給額(前年比増減)見通しについてみると、「変わらない」とした企業が最も多く66.4%を占めた。「増加する」とした企業は前回調査と比べて14.1ポイント上昇して19.7%となった。一方、「減少する」とした企業は13.9%で、同31.3ポイントも低下した。
 前回調査では、企業業績の悪化を背景にボーナスを支給する企業が減少し、支給する企業でも、支給額が「減少する」と回答した企業が増加していた。しかし今回調査では、当研究所が行った「第82回県内企業動向調査」(本誌10月号掲載)において、22年度上期に電子部品や機械金属を中心に製造業で受注が回復したことや政府による消費刺激策の効果などから、各業種の業況判断が改善し、冬のボーナス支給企業の増加や1人当たり支給額の増加に繋がったと考えられる。

ボーナスDI 前年に比べ大幅に改善

 1人当たり支給額の増減見通しについて、「増加する」と回答した企業の割合から「減少する」と回答した割合を引いてボーナスDI※を算出したところ、全産業では6となった。
 ボーナス支給見通しについては、平成18年にDI調査方式としてから今回で5回目となる。20年冬の調査では△21、翌21年冬は△40と2年連続で二桁の大幅なマイナスとなっていたが、今回調査ではプラス6と、大きく改善した。
 製造業DIは8と4年ぶりにプラスに転じたほか、非製造業DIも3と、調査方法変更以来、初めてプラスとなるなど、いずれも前回調査に比べて大幅な改善がみられた。3 今後は何で稼ぐか

業種別DI

製造業
 製造業の業種別では、電子部品が前回調査の△67(「減少する」が10社/15社)から131ポイント上昇して64(「増加する」が9社/14社)となり、全業種中で最も回復幅が大きく、明るい支給見通しとなった。次いで木材・木製品(△40→20)、機械金属(△73→0(ゼロ))でも改善がみられた。
 また、酒造は前回調査の△36から22ポイント上昇して△14、衣服縫製を含むその他製造業でも△23から8ポイント上昇して△15と、マイナス幅が縮小した。しかし、販売の低迷などから、DIは引き続き二桁のマイナスとなっており、厳しい支給見通しとなっている。

非製造業
 非製造業を業種別にみると、建設では前年度からの繰越工事や民間工事の増加などが影響して前回調査の△17から0(ゼロ)となった。卸・小売では、消費刺激策の影響から小売を中心に販売が回復して△27から0(ゼロ)へ改善した。また、運輸、観光、サービスを含むその他非製造業では、21年冬の△46から54ポイント上昇して8となるなど、いずれの業種でも回復がみられた。

まとめ

 ボーナスDIは、平成18年の調査開始以来、厳しい支給見通しが続いてきた。
 22年冬のボーナス支給見通しについては、全産業DIは、前回調査に比べて大幅な改善がみられ、調査方法変更以来、初めてDIがプラスになるなど、明るい支給見通しとなった。
 業種別では、製造業の一部に厳しさが残るなど、回復の度合いは業種によって明暗が分かれたものの、全体としては、前年を上回る見通しである。

(佐藤 由深子)

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