経営随想
サービスを中核とした「企業文化」を築き、育む
(株式会社かねひろ 代表取締役社長)
私が経営の指針を考える時、いつも思い出す言葉があります。「真のライバルは、時の流れと、環境の変化である」大洋漁業の創業者である中部謙吉氏の言葉です。一般には競合先は、目の前の同業者と思いがちですが、むしろ師であり、相談相手であるべきと思います。私どもの競合先は、異業種であり、ネット通販・ホームセンター・ディスカウンター・商社、あるときは味方であるはずのメーカーだったりします。当社は、3年後おかげさまで創業50周年を迎えますが、創業当時とは、がらりと環境が変わってしまいました。きびしい環境ですが、時の流れと、大きく変わる環境の変化をつかみ、荒浪を乗り切って行いけたらと考えます。
当社は、昭和39年に、父の会長(86歳)が割り箸や経木を取り扱うことで商売が始まりました。土田の家は豊島町で祖父の時代以前から、折り箱や経木・割り箸など木に関わる商売を生業としてきたそうです。「この商売はいつの時代になっても廃れることはない」と祖母が言っていたと父から聞いたことがあります。今では、木製品から石油化学製品や紙で作られた商品へと素材は変わりましたが、食べ物に関わる包装資材ということで、扱う商品は基本的に変わってはおりません。
会長は、真珠の紙と言われた発砲スチロールで作られた舟皿や弁当容器をいち早く取り入れて販売しました。また、昭和40年代ころからセルフサービスのスーパーマーケットが徐々に広まってきました。それに伴いトレー・ラップ・レジ袋の取り扱うことで、スーパーさんとの取引が始まり、飛躍的に売上を伸ばすことができました。また昭和58年横手営業所、昭和60年には大館営業所を開設することで、県内一円と青森県の方まで商圏が広がりました。
平成元年に「パッケージプラザ かねひろ」をオープンさせました。この店は、事業所・小売店が必要とする包装資材はもちろんですが、ラッピング用品、クリスマス用品、パーティーグッズ、文具なども揃え、一般の方も気楽に買える店を目指しました。「あそこの店に行けば何かおもしろいモノがある」と言われるようなお店になるよう努力しております。
平成8年には、DTPによる印刷物、パッケージの企画デザインを目的とした有限会社ナビを設立しました。メーカーの作った商品を販売するだけではなく、お客様のオーダー要望に応えられるパッケージの企画、デザインを提案する体制を整えました。これにより、秋田の様々な特産品のパッケージ企画をお客様と一体となって進め、県外にも売れる商品のパッケージ作りをお手伝いしております。少しでも「秋田の元気」にお役に立てればと思っています。
インターネットを知った頃から、ウェブを使って包装資材が販売できないか探っておりました。平成16年、自社で包装資材・食品容器などのオンラインカタログ見積もり販売サイト「パックウェブ.ビズ(Packweb.biz)」を立ち上げました。クイックレスポンス&クイックデリバリーをコンセプトに「Face to Face(買い手と売り手の顔の見える)」をモットーとしています。昨年9月にはデータベースを基盤に検索機能を充実させ、マイページ機能を持ち、より便利で使いやすい、親しみやすいサイトを目標にリニューアルしました。現在3万5000点のアイテムで、全国のお客様にパッケージを買っていただいております。
当社の業態は「卸業」ですが、小売り店舗、パッケージの企画販売、ウェブの販売などの「新しいサービス」を創りあげることで大きく変わってきました。これらは、当社の「サービス業」への変化であります。私どもの企業目的は、単にモノ(商品、包装資材)を売ることではありません。サービスを中核とした「企業文化」を築き、育みたいと考えております。渡り鳥がV字連隊をつくり何千キロを渡れるのは、体内に同じDNAが内在するからだそうです。社員が同じサービスのDNAを持つことで、社員一人ひとりがお客様と友人となり、お客様の急場を救い、お客様と喜びと楽しみを共有し共感でき、さらにお客様に期待以上(思いがけない)のサービス、感動サービスを提供していきたいと考えております。社員一人ひとりが「work(与えられた仕事こなすだけ)」から、「Good Job(いい仕事をしていますね)」と言われ、生き生きと働いている元気のある会社でなければ良いサービスは生まれてきません。これからも、全社一丸となって、社会に貢献でき、そしてお客様に喜んでいただける新しいサービスやシステムを作り出して行きます。
最後に、今まで、当社を支えてきた社員、お得意様、お取引先様、地域の皆様に感謝申し上げます。感謝、喜び、尊ぶ、を形に表し、来る50周年を迎えたいと考えております。
会 社 概 要
1 社名 | 株式会社かねひろ |
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2 代表者名 | 代表取締役社長 土田博美 |
3 所在地 | 〒010-0802 秋田市外旭川字三千刈147-1 |
4 電話番号 | 018-862-6481(代) |
5 FAX番号 | 018-862-6483 |
6 URL | https://www.e-kanehiro.com/ |
7 設立年月 | 昭和39年2月 |
8 資本金 | 1,000万円 |
9 年商 | 10億円 |
10 従業員数 | 40名(関連会社・パート含む) |
11 事業内容 | 包装資材、食品容器の卸・小売業 パッケージの企画販売 |