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県内経済(3~4月)

概況県内経済は、東日本大震災の影響により、一部を除いて大幅に悪化している

 震災の影響により、電子部品、機械金属、建設など県内の主要産業は前年同月を下回ったほか、雇用情勢も、急速に悪化している。一方、木材では復興に向けた合板増産の動きが見られる。個人消費は、一部生活必需品への需要は増加したが、不要不急な消費支出を抑える動きが強まり、消費マインドが低下している。県内経済は、震災の影響により、一部を除いて大幅に悪化している。

  産業の動向では、電子部品の生産額は原材料・部品調達や電力供給の制約などを受け、減少幅が急拡大した。機械金属の生産額は完成車メーカーの生産停止により輸送機械が急減したほか、公共工事関連も再び減少に転じ、2か月ぶりに前年を下回った。製材は全国の住宅着工の回復傾向を受け低水準ながらも堅調に推移。合板は底堅い。清酒出荷量は4か月連続で前年比減少。建設受注額は官公庁工事が増加した一方、民間工事が大幅に減少したため、2か月ぶりに前年を下回った。住宅着工は住宅資材の調達難から、2か月ぶりに前年を下回った。個人消費は、不要不急な消費支出を抑える動きが強まり、衣料品等の売れ行きが鈍化した一方、一部飲食料品や日用品に買いだめ需要が発生した。新車販売台数は物流ルートの寸断や工場の被災等により新車の輸送が困難な状況に陥ったため、大幅な落ち込みとなった。
 新規求人数は前年比1.8%増と、14か月連続で増加したものの、震災後は急減している。事業主都合離職者数は4か月ぶりに増加に転じた。
 企業倒産は、件数15件と1年9か月ぶりの高水準。負債総額は21億300万円。

電子部品大幅に減速

 3月の生産額は前年比24.5%減と3か月連続で減少し、減少幅も前月(4.2%)に比べ急拡大した。当月発生した大震災の影響により、原材料・部品調達や電力供給の制約、納入先の生産停止・減産などを受けて、調査事業先全てで大幅な減産を余儀なくされた。なお、1─3月期は前年同期比11.2%減少したが、22年度通年度では同10.6%増加した。
 主力のセラミック・コンデンサや半導体では、大震災以降、工場の稼働制約のもとで、生産が滞った自動車向けを中心に大きく落ち込んだほか、液晶画面も生産拠点の集約化効果が一巡しつつある中、部材等の調達難により大幅に減少した。

機械金属輸送機械、大きく落ち込む

 3月の生産額は前年比9.3%減(※)と2か月ぶりに前年を下回った。民需関連は一部製品目で増加が続くものの輸送機械が完成車メーカーの生産停止により前月比でも急減したほか、公共工事関連も再び減少に転じた。なお、1─3月期は前年同期比5.1%、22年度通年度は5.7%それぞれ増加した。
 民需関連では、金型や建機部品で増加傾向が続いているものの、輸送機械が大震災の影響により大きく落ち込んだほか、公共工事関連では、水道部品、橋梁・鉄骨とも減少に転じた。
※調査先に会計基準を見直した先があり、生産額は大幅な増加となっている。そのため、前年比較が出来ず、前年比は当該先を除いての比較。

木材業合板の生産、底堅さ増す

 製材品は、3月の生産量は20千立方メートルで、前年比17.6%の増加となった。全国の持家や分譲を中心とした住宅向け需要の持ち直しから、生産・出荷とも低水準ながら堅調に推移した。
 普通合板は、2月の生産量は50,652立方メートルで、前年比16.2%の増加となった。出荷は、全国の住宅着工の回復基調により緩やかな増加が続き、生産も底堅さを増した。なお、震災による岩手・宮城両県の合板供給力低下で全国的に品薄感が強まるなか、県内メーカーでは足許フル生産が続いている。
 製材の輸入額(3月)は、1,466百万円(前年比32.5%増)と、14か月連続で前年比増加となった (秋田船川税関支署調べ)。

酒造業出荷量、4か月連続で前年比減少

 3月の清酒出荷量は、県内が前年同月比7.5%減と前月よりも減少幅が拡大し、県外向けも同5.1%減と前年割れに転じたことから、全体では同6.0%の減少となった。4か月連続で前年を下回っており、落ち込み幅は前月よりも拡大している。
 県外の主な出荷先の内訳は、東京は前年同月比3.8%増で、東日本大震災発生後、交通網の混乱や燃料不足が生じて、卸業者に在庫確保の動きがみられたため、堅調となった。北海道も同2.2%増で前年を上回ったが、東北5県が同13.9%減と、大きく落ち込んだ。

県内向け出荷量 686kl
県外向け出荷量 1,201kl
合計出荷量前年比 -6.0%

建設業大手、民間工事の減少が大きく2か月ぶりの前年割れ

 3月の公共工事請負金額は国、市町村等で減少したが、県、独立行政法人等で増加しており、前年同月比4.4%増の125億円と2か月連続で増加した。22年度累計では、市町村、独立行政法人等で増加したものの、国、県等が減少したことから、全体では1,312億円と、前年度比7.5%の減少となった。
 当研究所調査による地元大手12社の新規受注実績は、官公庁工事は3か月連続で増加したが、民間工事の大幅減をカバーできず、前年同月比16.4%減と2か月ぶりに減少した。22年度累計は前年度比4.5%減少した。官公庁工事の第3四半期までのマイナスと、民間工事の後半からの失速が響いた。

金融倒産件数、1年9か月ぶりの高水準

 3月末の県内銀行の預金は、前月末比713億円増加した。前年同月比では2.7%増加し、前年を上回る水準で推移している。貸出金は、前月末比287億円増加した。前年同月比では1.5%増加し、3か月連続で前年を上回った。
 3月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は15件で1年9か月ぶりの高水準となった。負債総額は21億300万円(前年同月比173.1%増)。企業倒産は抑制傾向が続いていたが、金融支援策等を受けながらも返済難に陥る企業が増加している。東日本大震災による影響も幅広い業種に広がっており、企業倒産は今後高水準で推移する可能性がある。

住宅着工下振れ懸念強まる

 3月の県内新設住宅着工戸数は、308戸(前年比15戸減、4.6%減)であった。貸家は増加したものの、主力の持家が減少に転じたため、全体戸数は2か月ぶりに前年を下回った。
 利用関係別では、持家が174戸(前年比58戸減)、貸家が102戸(同43戸増)、分譲住宅が32戸(同横這い)、給与住宅が0戸(同横這い)となっている。
 持家は、先月まで4か月連続で前年を上回って推移していたが、震災で住宅資材の物流がストップした影響により着工の遅れがみられた。
 このところ持家を中心に持ち直しの動きがみられていたが、震災の影響による下振れ懸念が強まった。

商況低調に推移

 商況は、大型小売店販売額が4か月ぶりに前年を上回ったものの、家電販売が低調な推移となり、新車販売も7か月連続で前年実績を下回るなど、低調に推移した。
 2月の大型小売店販売額は前年比1.2%増と4か月ぶりに前年を上回った。3月以降は東日本大震災の影響により消費と物流が混乱し、不要不急の買い物が控えられる一方、一部飲食料品や日用品に買いだめ需要が発生した。
 このため、販売額については販売商品の種類によって、前年を上回った店舗と下回った店舗に分かれた。
 3月の新車総販売台数(軽自動車を含む)は、新車登録台数が前年比49.5%減、軽自動車も同48.4%減といずれも前年を下回り、総体では同49.0%の大幅減となった。震災による物流ルートの寸断および工場等の被災などから、自動車の調達が困難な状況になったため、販売が大幅に落ち込んだ。

雇用新規求人数 震災後に二桁の減少

 3月の新規求人数は、前年同月比1.8%増と増加幅は縮小したものの、22年2月以降、14か月連続で増加した。
 製造業では、木材・木製品が増加に転じたほか、電子部品・デバイス・電子回路で二桁の増加となったが、情報通信機械、電気機械器具で大幅に減少して、製造業総体で前年同月比1.2%の減少となった。
 非製造業では、宿泊,飲食サービス、サービス、建設で二桁の減少となったほか、情報通信、運輸,郵便、卸売,小売も減少に転じたが、求人数の多い医療,福祉で二桁の増加となり、非製造業総体では前年同月比2.0%の増加となった。
 1か月間の新規求人数について、東日本大震災前と後の期間にわけてみると、3月1~11日までは前年同月比26%増となったが、震災後の12~31日では、同23%の減少となった。宿泊,飲食サービスなどで募集を控える動きがあったほか、雇用調整助成金の申請に関する相談件数も増加しており、今後も雇用面への影響が懸念される。
 新規求職者数は、前年同月比12.3%減と6か月連続で前年を下回り、有効求職者数も同10.1%減と、引き続き前年を下回っている。

 有効求人倍率は一般が0.39倍、パートタイムが0.80倍となった。季節調整値は前月と同倍率の0.50倍となった(全国平均0.63倍)。
 都道府県別では、福井(1.05倍)が最も高く、沖縄(0.31倍)が最も低かった。本県は宮城県と同率で、沖縄、青森(0.39倍)、北海道(0.45倍)、岩手、神奈川(0.47倍)、に次いで、全国で6番目に低い倍率となった。
 事業主都合離職者数は849人。前年同月比28.8%増と、4か月ぶりに増加に転じた。
 地域別雇用状況をハローワーク管内別にみると、新規求人数は、県南で二桁の増加となったが、県北、県央で減少に転じた。有効求人倍率は、県北で0.53倍と最も高く、県央が0.50倍、県南で0.48倍となった。

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