経営随想
秋田のイメージを売り込め!!
(財務省東北財務局秋田財務事務所 所長)
今年初め秋田県のイメージアップ作戦の一つであるキャッチコピーが「あきたびじょん あんべいいな秋田県」に決まった。人によって感じ方は違うと思うが、私にはすっと心に入り込んできたフレーズであり気に入っている。
一昨年7月に北海道から秋田県に赴任して1年半が経過した。これまでに感じた秋田の魅力・課題について観光を中心に触れてみたい。
<秋田は魅力の宝庫>
こちらに来る前の秋田のイメージは、「秋田美人」に「なまはげ」、「きりたんぽ」に「竿燈」だろうか。もちろん米どころ、酒どころとして有名なのは言うまでもない。そしてこちらに来てみてわかったのは、伝統文化が県内至る所に満ち溢れていることである。秋田は重要無形民俗文化財が日本一多い県であると知って驚いた。毎朝新聞を開くたびに各地の伝統的な祭りや行事の記事のオンパレードであり、祭り好きの私としては、職員や仕事での訪問先からも情報を仕入れ、県内各地の祭りに出歩いた。
筆頭はやはり秋田の竿燈であろう。あの50キロ近くもある竿燈を見事に操る姿は勇壮そのものである。竿燈大通りに稲穂に見立てた提灯が一斉に上がる光景は壮観であり、何とも言えない趣がある。技術を競う妙技会もあり、ひいきのチームの演技の時はハラハラドキドキし、結果に一喜一憂する。そんな住民参加型の祭りだという点も他にはない魅力になっているのではないか。
ほかにも「大曲の花火」、「鹿角の花輪ばやし」、「羽後町の西馬音内の盆踊り」、「横手のかまくら」等々、夏も冬も魅力的な行事がいっぱいあり、出かけては都度豊かな気分にさせてくれるものばかりである。
また、こちらに来て県民歌というものがあることを知った。確か大曲の花火大会でも耳にしたし、おらほのバスケットチームであるハピネッツの試合でも聞いた。その中で「山水皆これ詩の国秋田」、「黄金と実りて豊けき秋田」と秋田の素晴らしさがうたわれている。全国的に公共の場で県民歌がうたわれることは少ないのではないか。郷土を大切にする気持ちの表れだと新鮮に感じた。こんな素晴らしい秋田へ是非とも多くの人々に訪れていただきたいものである。そのためには国内外への情報発信、PRは大変重要である。
<雇用確保の一つとして>
ところで秋田県においては、毎年人口が減り続け、少子高齢化が進む日本のフロントランナーであるといわれており、その動向が注目されている。県としての魅力を発揮し、地域が一体となって若者が定住できる雇用の確保に取り組まなければならない。若者が減少すれば、伝統文化も継承できなくなってしまう。そのためには即効性のある対策と中・長期的な対策を織り交ぜ、長い目で効果のある対策が必要となっている。その一つとして観光を育て、人との交流による流れを作り出すことにより雇用の創出につなげていきたいものである。
<全国ブランドでPR>
観光にはPRが欠かせないが、秋田は有形無形の全国ブランドの財産がたっぷりあり、PRの題材には事欠かない。秋田県の代名詞ともいえる「秋田美人」、昨年仙北市で行った年齢を問わず自薦他薦で公募した秋田美人100人による観光PRキャンペーンの活動が観光庁から表彰を受けた。集客にあえぐ秋田内陸線の愛称も「あきた美人ライン」に決まった。かようにこの言葉の持つ魅力は想像以上に大きく、この先も秋田のイメージアップに大きく貢献することは間違いないと思う。
秋田弁も無形の財産であり、PRの材料として役立つであろう。何とも言えない響きと温かみを感じるアクセント。近くで聞いているとほっとしたものを感ずるのは私だけではないと思う。秋田のイメージ戦略に欠かせないものである。
また、秋田に赴任したばかりの頃、羽後町では美少女キャラを使って「あきたこまち」の販売が伸びたという話をそれに携わった方から聞いた。それは若者が実際にやって来て・見て・食して本当のよさを知り、それが口コミ(ネット)で全国に発信されPRされることになったというもので、これも重要なツールであり、PRの方法は多種多様にあることがわかる。
<一丸となって>
昔、北海道の観光の特徴を例える時に、「自然は一流、施設は二流、料理が三流でサービス四流、現状を変えるべき関係者の意識は五流」という言葉が使われた時がある。ひるがえって秋田ではどうだろうか。観光を売りにしていく以上、この先も秋田の一流の自然を守りつつ、施設も料理もおもてなしの心も、そして関係者の意識も一流であり続ける努力を怠ってはならない。一度来た人がまた来てみたいと思えるように。
折りしも秋田には追い風が吹いている。3月に「東北観光博」がスタートし、5月には東北六魂祭が盛岡で開催される。今年そして来年とJRによる全国的なキャンペーンがあり、再来年には「国民文化祭」の開催が決まっている。この流れに乗って、京都・奈良等の観光都市へ少しでも近づくべく、全国・世界に「あきたけん」を売り込む好機であり、県民、出身者がこぞって秋田をPRしていくという息の長い取組みになっていくことを望む。
ある所で20代の若者が話をしてくれた。「秋田がマスコミに取り上げられ、ほめられることはめちゃくちゃ気持ちがいい!!」と、そんな気持ちがいいことをみんなで味わわない手はないと思っている。
財務省東北財務局秋田財務事務所
〒010-0951秋田市山王7-1-4秋田第二合同庁舎
TEL:018-862-4191 FAX:018-864-1765