経営随想
The Next Challenge
(東電化工業株式会社 代表取締役社長)
≪はじめに≫
弊社は昭和57年に県の誘致で、秋田県唯一の電子部品表面処理専門のめっき専業社として設立し、お陰様で設立30周年を迎える事ができました。この間、多くの方々に支えて頂き感謝を申し上げます。私自身は秋田に来て11年目を迎え、昨年6月に代表取締役に就任致しました。
日本の製造業(特に中小企業)を取り巻く環境は年々悪化しており、「企業30年」と言われる時代に企業を永続させていく事は今まで以上に困難である事は明白ですが、お客様・協力会社様のサポート、そして弊社従業員の力を集結して社業に取り組む所存です。
≪“めっき”は古くて新しい技術≫
めっきは古くから装飾品や金属の防錆目的で製品に使われてきましたが、そのめっき技術の原理・原則の多くは今でも活用されています。
時代とともに化学が進歩し多くのめっき手法が生み出されて、金属表面のみならず、あらゆる材料に『めっき』が施されようとしています。
現在ではめっき被膜に機能を持たせるめっき技術も年々開発され、テレビやハードディスクレコーダー等の家電、自動車、パソコンやスマートフォン等の情報通信機器、多くの製品・分野にめっきは使用され、製造業の中でも『めっきはなくならない技術』とも言われています。
しかしながら、その『なくならない技術』が、今、日本からなくなろうとしています。
≪皮肉な話≫
弊社は秋田県電子工業振興協議会の会員企業でもあり、今年6月に『東南アジア産業視察』に参加させて頂き、東南アジアの『ものづくり』に対するエネルギーを強く感じました。周知の通り、昨今、日本での製造業は円高による発注元企業の海外流出・国内消費の減少等、多くの要因にて大変厳しい局面をむかえています。
一方、東南アジアでは人口増を背景に、インフラ整備による携帯電話・自動車等の普及が急速に進んでおり、又、労務費を中心とした低コスト生産が可能な事から、日系企業にとっても魅力のある市場・生産拠点である事は十分に理解できます。
しかしながら、秋田県経済の発展と言う観点から見れば漠然たる驚異にしかならず、今後、日本(秋田県)での製造業の在り方を深く考えさせられました。
東南アジア諸国は日本や韓国を含む先進国の技術力やノウハウを活用し発展途上国からの脱却を目指しています。この姿は、日本が終戦直後から約40年間歩んできた高度経済成長期の軌跡と似ているようだが、インターネットや情報技術の発展により、その発展速度は数倍速いと感じました。事実、東南アジアに進出している日系の中小企業は既に、現地企業との競争激化で、数年前まで最貧国と言われた、ラオス・カンボジア・ミャンマー等への再進出を検討する段階まで来ているとの事です。各国の製造業がこの『スピード』で発展を続ければ、東南アジアを含むアジア全体を飽和状態にするのは時間の問題で、日本の製造業はどうなるのか?大きな不安を感じるところです。
≪原点回帰と研究開発≫
その時、日系企業が選択をする道は、更なる他地域への進出か、日本への原点回帰の選択肢になると考えています。日本への原点回帰が進む頃には、各国の『モノづくり』の技術も発展しており、単なる製造業では生き残れない時代になっていると思います。その時の為に、今から『生産性の改善』や『技術力の蓄積』に注力し、【日本でしか出来ないモノづくり】を構築しておく必要があると強く感じました。
≪The Next Challenge≫
前述した通り、めっき業界を含め製造業の中小企業は発注元企業が生産や調達を海外にシフトしている事などで受注が不安定になり易いと言う課題があります。安定的な受注の確保を図る為に、国内市場での営業力を強化し、8年ほど前から、関東、名古屋地区に3名の営業専門スタッフを配置しています。秋田は遠いと言うイメージを払拭させ、専門スタッフによる定期的な顧客訪問とそれによる逸早い顧客ニーズの把握によって当社の技術革新とお客様の新製品開発に寄与したいと考えています。
弊社では約7年前より会社の経営資源を技術開発に注力し、今までの請負型加工業に加え、お客様が困っている問題や研究課題に対して提案をする『提案型企業』に舵を取りました。特にLED製品に関して研究を進め、平成20年には、経済産業省主管の戦略的基盤技術高度化支援事業に採択され、『情報家電に搭載されるLED及びチップ部品等の製造に適しためっき技術の開発』という研究開発をさせて頂き、最終的には弊社独自のめっき被膜を開発して大手家電メーカー様に採用をして頂いた経緯もあります。
時代の流れに合わせていれば、いつかは衰退してしまう。弊社で取り組んでいる事項は他にもたくさんありますが、総じて『The Next Challenge』という名の、キャッチコピーのもとで日々邁進しています。
≪“人財”人こそ財産≫
この言葉は、創業者、先代社長から弊社に引き継がれている言葉です。文字通り、“材”ではなく、あくまでも“財”であります。
厳しい市況を乗り越え、更なる企業発展に必要不可欠な要素は“人財”と考えています。
特にめっきの技術は職人技や経験則が大きな利点となります。その技術を確実に継承し、確かな生産品質を維持し、それを革新していくためには、“人づくり”こそが重要になってくるのではないのでしょうか。来客者に対する社員の適切な接遇も不可欠と考え、数年前より『いらっしゃいませ、こんにちは』の挨拶を励行するように指導しており、今ではお客様から高評価を得ています。
人財は重要なファクターであり、自分を見つめ返し、気づき、改める事が出来る従業員を育てる事が今後の厳しい時代を乗り越えられる最後の切り札と信じています。その人財の育成が私の重要な仕事の一つであると確信しています。
会 社 概 要
| 1 社 名 | 東電化工業株式会社 |
|---|---|
| 2 代表者名 | 代表取締役社長 若泉 裕明 |
| 3 所 在 地 | 〒019-2401 秋田県大仙市協和船岡字善知鳥14番地1 |
| 4 電話番号 | 018-892-3411 |
| 5 Fax番号 | 018-892-3413 |
| 6 設立年月 | 平成11年6月(分社時) |
| 7 資本金 | 94百万円 |
| 8 年商 | 996百万円(平成23年度決算) |
| 9 従業員数 | 70名(平成24年8月1日現在) |
| 10 事業内容 | 電子部品・プリント基板の表面処理 |
| 11 特色 | 提案型VE活動を展開し、技術とノウハウの蓄積に努め高精度高品質のめっき加工を提供します |




