㈱日経リサーチが最近まとめた地域ブランド調査によると、都道府県を総合評価したブランド力指数(PQ)で、秋田県は26位となった。都道府県ランキングの上位には、北海道、京都府、沖縄県など人気の観光地や物産を多く抱える都道府県が並んでいる。本稿では「地域ブランド戦略サーベイ 2013 地域編」(㈱日経リサーチ)より、地域ブランド戦略における全国および秋田県の特徴点を幾つか紹介する。
機関誌「あきた経済」
地域ブランド力都道府県ランキング‐秋田県は全国26位‐
1 「地域ブランド戦略サーベイ」とは
「地域ブランド戦略サーベイ」は、㈱日経リサーチが2006年から隔年で行っている調査で、地域ブランドに対する「受け手」である消費者の評価を把握する調査である。調査は2つの編に分かれており、「地域編」では都道府県名や市名などの地域名が持つブランド力を測定している。また本稿では触れていないが、「名産品編」では農水畜産物や土産品、ご当地料理など地域の産品が持つブランド力を測定している。
ブランド力は複数の評価質問を用いて測定し、それらを合計した総合指標として「ブランド力指数(PQ)」を算出している。地域が持つブランド力を多角的に測定した調査となっており、都道府県等の行政機関において地域ブランド力を示す客観データとして広く活用されているほか、新聞やテレビ等のマスメディアでも大きく取り上げられるなど、注目度の高いデータになっている。
ブランド力は複数の評価質問を用いて測定し、それらを合計した総合指標として「ブランド力指数(PQ)」を算出している。地域が持つブランド力を多角的に測定した調査となっており、都道府県等の行政機関において地域ブランド力を示す客観データとして広く活用されているほか、新聞やテレビ等のマスメディアでも大きく取り上げられるなど、注目度の高いデータになっている。
2 地域ブランド力都道府県ランキング
地域ブランド力の都道府県順位をみると、北海道、京都府、沖縄県、東京都の上位4位までは前回調査と同じ順位となった。また、香川県は前回調査の24位から14位へと上昇したほか、島根県(前回46位から35位)、鳥取県(同43位から38位)も大きく順位を上げている。
東北地方では、宮城県、岩手県が順位を上げたが、本県は1つ順位を下げ26位となった。
東北地方では、宮城県、岩手県が順位を上げたが、本県は1つ順位を下げ26位となった。
3 「うどん県」に改名で成功した香川県
2011年10月、香川県は県名を「うどん県」に改名するというPR戦略を始めた。県出身の人気俳優を起用した「改名」記者会見のプロモーションビデオをネット上で公開したところ、アクセスが殺到し、一時は接続困難な状態になるほどの反響を呼んだ。大胆かつシンプルな「うどん県」というネーミングや、「うどん県それだけじゃない香川県」といった“うどん以外”の資源への興味をひくキャッチコピーは、多くの人が視聴可能なネット動画の活用により、県内外に様々な相乗効果を生んでいる。
香川県では、「うどん県」の成功にあやかり、「骨付鳥市」(丸亀市)、「いりこだ市」(観音寺市)のように市の名称を地域の名産品にして売り込む動きが起こるなど、地元と一緒になって県外に香川県の魅力をPRしようという機運が高まっている。また県外からのファン獲得にも力を注いでおり、県内観光地を巡るスタンプラリーや飲食店の割引券が付く「うどん県パスポート」の発行、うどん以外の魅力を打ち出す「うどん県=アート県」としてのイベント開催など、キャンペーンと連動したプロモーション活動を次々と展開している。
こうした取り組みが功を奏して、現在香川県に住んでいる人による県民評価は、「独自性」「愛着度」「購入意向」「居住意向」の4項目すべてにおいて前回の評価を上回った。全国評価においても、「独自性」が前回調査から10.3ポイント上昇し、「購入意向」や「訪問意向」の高まりにも繋がり、地域ブランド力の順位を全都道府県中14位まで押し上げる要因となっている。
香川県では、「うどん県」の成功にあやかり、「骨付鳥市」(丸亀市)、「いりこだ市」(観音寺市)のように市の名称を地域の名産品にして売り込む動きが起こるなど、地元と一緒になって県外に香川県の魅力をPRしようという機運が高まっている。また県外からのファン獲得にも力を注いでおり、県内観光地を巡るスタンプラリーや飲食店の割引券が付く「うどん県パスポート」の発行、うどん以外の魅力を打ち出す「うどん県=アート県」としてのイベント開催など、キャンペーンと連動したプロモーション活動を次々と展開している。
こうした取り組みが功を奏して、現在香川県に住んでいる人による県民評価は、「独自性」「愛着度」「購入意向」「居住意向」の4項目すべてにおいて前回の評価を上回った。全国評価においても、「独自性」が前回調査から10.3ポイント上昇し、「購入意向」や「訪問意向」の高まりにも繋がり、地域ブランド力の順位を全都道府県中14位まで押し上げる要因となっている。
4 「自虐」PRで大躍進した島根県
島根県は都道府県ランキングで35位をマークし、前回調査の46位から11位アップの大躍進となった。近年、様々なマスメディアで「縁結び」や「パワースポット」など神話のゆかりとなる場所やエピソードが取り上げられているが、2012年には古事記編纂1300年のイベントである「神話博しまね」が開催された。島根県内のこうした話題を目にする機会が増え、若い女性を中心に幅広い年齢層での注目度が上がっている。
また、2007年に放送されたテレビ番組で「場所がどこにあるか分からない都道府県」のワースト1位が「島根県」という調査結果が紹介された。認知度アップのため島根県では、「島根は鳥取の左側です!」とプリントされた島根県応援Tシャツを販売したほか、「日本で47番目に有名な県。負けるな!島根県」「いいえ、砂丘はありません」などといったキャッチコピーを盛り込んだ「島根県自虐カレンダー」を販売するなど、「自虐」をPRすることによって認知度向上に繋げている。
こうした取り組みにより、島根県の全国評価は「独自性」「愛着度」「購入意向」「訪問意向」「居住意向」の5項目すべてで前回のスコアを上回った。
また、2007年に放送されたテレビ番組で「場所がどこにあるか分からない都道府県」のワースト1位が「島根県」という調査結果が紹介された。認知度アップのため島根県では、「島根は鳥取の左側です!」とプリントされた島根県応援Tシャツを販売したほか、「日本で47番目に有名な県。負けるな!島根県」「いいえ、砂丘はありません」などといったキャッチコピーを盛り込んだ「島根県自虐カレンダー」を販売するなど、「自虐」をPRすることによって認知度向上に繋げている。
こうした取り組みにより、島根県の全国評価は「独自性」「愛着度」「購入意向」「訪問意向」「居住意向」の5項目すべてで前回のスコアを上回った。
5 購入意向の全国評価が高い秋田県
秋田県のブランド力評価をみると、全国評価は「独自性」「購入意向」の項目で前回のスコアを上回った。特に「購入意向」は全都道府県中8位となり、秋田県産品への評価が高い。郷土料理「きりたんぽ」やブランド米「あきたこまち」の認知度が全国的に高く、トップ10入りに繋がったものとみられる。
一方、本県に住んでいる人による県民評価は「独自性」が前回調査比▲10.9ポイントとなったほか、「愛着度」「購入意向」も前回スコアを下回った。順位も大幅に下がり、すべて40位台となっている。「独自性」については、全国的に「県民評価」が「全国評価」のスコアを上回り、自県を高く評価する傾向にあるが、本県は「県民評価」の方が低い結果となっている。
また、本県と香川県の県民評価について比較してみると、本県は「居住意向」を除く3項目で前回よりスコアを下げているのに対し、香川県はすべての項目で前回のスコアを上回っており、地域ブランド戦略の取り組みの成果が、地元の住民に浸透していることが窺われる。2010年調査における香川県のブランド力順位は本県と同様に中位(24位)に位置していたが、こうした県民評価の上昇が同県のブランド力順位アップにも繋がっており、本県は県民評価の底上げが課題として考えられる。
一方、本県に住んでいる人による県民評価は「独自性」が前回調査比▲10.9ポイントとなったほか、「愛着度」「購入意向」も前回スコアを下回った。順位も大幅に下がり、すべて40位台となっている。「独自性」については、全国的に「県民評価」が「全国評価」のスコアを上回り、自県を高く評価する傾向にあるが、本県は「県民評価」の方が低い結果となっている。
また、本県と香川県の県民評価について比較してみると、本県は「居住意向」を除く3項目で前回よりスコアを下げているのに対し、香川県はすべての項目で前回のスコアを上回っており、地域ブランド戦略の取り組みの成果が、地元の住民に浸透していることが窺われる。2010年調査における香川県のブランド力順位は本県と同様に中位(24位)に位置していたが、こうした県民評価の上昇が同県のブランド力順位アップにも繋がっており、本県は県民評価の底上げが課題として考えられる。
6 「秋田県イメージアップ戦略」
秋田県では2011年3月に「秋田県イメージアップ戦略」(観光文化スポーツ部観光戦略課イメージアップ推進室)を策定し、以下の目標を掲げて秋田の売り込み、PRに取り組んでいる。
今年度がその活動期間の最終年度となっており、折しも来月には男鹿市を中心に「海フェスタ」が開催されるほか、秋にはデスティネーションキャンペーンが始まる。また、来年10月には「国民文化祭」が開かれるなど、秋田の魅力を国内外にアピールする絶好の機会が続く。まずもって、県民一人ひとりが郷土秋田に愛着と誇りを持ち、同時に秋田を大いにPRして、ブランド力の向上に繋げていかねばならない。
今年度がその活動期間の最終年度となっており、折しも来月には男鹿市を中心に「海フェスタ」が開催されるほか、秋にはデスティネーションキャンペーンが始まる。また、来年10月には「国民文化祭」が開かれるなど、秋田の魅力を国内外にアピールする絶好の機会が続く。まずもって、県民一人ひとりが郷土秋田に愛着と誇りを持ち、同時に秋田を大いにPRして、ブランド力の向上に繋げていかねばならない。