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経営随想

オフィスの生産性向上へのお役立ちによりお客様との「信頼の絆」を結ぶ

渡部 尚男
(株式会社渡敬 代表取締役社長)

・「はじめに」

 私の祖父、渡部敬次郎が「渡敬商店」の屋号で昭和8年に洋品小売店として創業いたしました。主に、傘、ネクタイ、靴下などを販売しており、洋品の販売比率は80%で、当時は文房具類を補助的に取り扱っている程度でした。
 その後、幾多の「時代の流れと環境の変化」に対応すべく変革と挑戦の歩みを続け、昨年、お陰様で創業80周年を迎えることができました。この間、お取引先メーカー様、そして多くのお客様に支えて頂きましたことを心より感謝を申し上げます。

・「第2の創業」

 2代目である私の父が大学を卒業後、洋品の販売だけでは衰退をするという危機感から、数年間事務機メーカーで修業を積んだ後、家業の洋品小売から事務機の販売に転換しました。昭和43年、それまで個人営業であった「渡敬商店」を法人化し、(株)渡敬商店を設立、本格的に事務機器販売に乗り出しました。いわゆるマシンの取り扱いは県内では当社が一番早かったと思います。私自身実物を拝見したことのない電卓の前身と言われる「機械式の手回し計算機」や複写機・測量機器が当時の販売の主力でした。
 洋品店当時の商品は今でも横手市四日町の文具小売店舗の中に残しており、品数はほんの僅かですが取り扱っております。

・「創業の精神」

 当時の事務機は今では想像もつかない程故障率が高く、先代は昼夜なくお客様へ訪問しそれこそ油まみれになりながら修理・保守に奔走しておりました。メーカー任せにせず、自ら工具を携え三輪トラックに機械を積んで山奥のダムの現場に納品していた姿を、未だに鮮明に記憶しております。
 当時、先代がよく口癖のように言っていた言葉があります。それは「サービスできない商品は販売しない」ということです。まさしくこの言葉が当社の経営の礎・経営理念となっております。これは、自社でサービスできないメーカー任せの単品販売だけでは付加価値をつけることができにくく、いずれは価格競争に巻き込まれてしまうことを意味します。
 現在、取扱商品は多岐に渡っておりますが、その全てを自社完結型のワンストップでお客様にご提供すべく日々努力を続けております。

・「ターニングポイント」

 高度成長期の時代には、事務機は、単体そのものの性能や使い勝手の面で非常にお客様への訴求力が高く、明らかに導入するとお客様の事務効率向上に間違いなく寄与できるという明確なポイントを見いだせる商品でした。マシン本体のスペック・価格面において競合は激化の一途を辿りましたが、好況下で市場が拡大していきましたので、お陰様で当社の業績も順調に推移することができた時代でもありました。
 当社は、事務機の他に、オフィスコンピュータ(オフコン)も早くから事業部制の体制を組み、自社でのソフトの開発・販売・メンテナンスを手掛けておりました。時代の転換点は、市場がオフコンからクライアントサーバーシステムに変化してきたときでした。パソコンがオフィスに登場し、まさにネットワーク重視の時代になりました。ハードとソフトを組み合わせ「ソリューション」を販売することが重要になった訳です。
 今、現在全ての事務機器がネットワークに繋がる時代になりました。当社がお客様に「ワンストップ」でソリューションをご提供し、安心してご利用いただきオフィスの生産性向上にお役立ちできることこそが、差別化を図れる最大の強みであると考えております。
 オフコンを販売していた頃からハードの販売に限らず必ずサポートできる体制を組み、ソフトを含めたトータルなサービスを提供してノウハウとして蓄積されてきたことが、時代の潮目を読み、うまく変化に対応できた重要なポイントになったと感じております。
 平成3年、オフコン事業部は、情報機器の需要拡大や取扱商品ならびにサービスの特殊性を考慮しコンピュータ事業に特化した渡敬情報システム(株)を設立しました。同社では、自社開発のシステムの販売ならびにコンピュータのネットワーク設計のサービス業務を行っており、事業活動を円滑にするためのコンピュータを用いた「しくみづくり」でお客様のどのような要求にも対応するべく事業展開をしております。

・「事業領域」と「チャレンジ」

 弊社の事業領域(ドメイン)は「独自性の高い付加価値提供により、オフィスの生産性向上に寄与し、お客様・地域に利益をもたらす」ことです。
 平成22年5月に新規事業として「飲料水の宅配事業」を開始しました。一見、事務機業界からかけ離れた事業に感じられるかもしれませんが、現代の社会背景として「水」は買う時代になったこと・飲料ボトルをリユースすることで「環境・エコ」に十分配慮できるビジネスであること・「水」はオフィスで必ず必要なもので、「便利」がキーワードになりオフィスの生産性に必ず寄与できる事業であると位置付け、平成24年10月には分社化し(株)ウォーターネット秋田を設立いたしました。事務機器販売業の取扱カテゴリーにとらわれず、定めた事業領域の範囲で新しいストックビジネスの柱として着実に成長させていただいております。自ら事業の壁を作らず、常に事業領域に照らし合わせ今後も積極的にチャレンジしていきたいと考えております。

・「絆」

 当社は創業当時から「サービス&サポート」を重視し、幾多の時代の流れと環境の変化に対応しながら事業を展開してまいりました。取扱商品も多岐に渡り、自社完結型のワンストップサービスをお客様へご提供するにあたり、各分野で高い専門性を持つ必要性があります。
 ある事業所さんには、事務機器・文具、基幹系コンピュータ、建設システム、サポートなど、各担当別に複数名でお伺いしております。専門度を高め、メーカーさん任せにせず、あらゆる事柄にレスポンス良く対応しなければなりません。大切なことは、お伺いしている担当者各人が総合窓口であるという意識を常に持ち、お客様の、お困りごと・関心事・当社への期待などを日々情報共有し、真のご要望を把握し、解決することでお客様の利益に繋がるお役立ちをしていくことではないかと考えます。  いい意味で「御用聞き」に徹し、お客様の「用」を聞き、お客様の「声」で会社・組織を変えていく活動を現在進行させております。
 2年前、「信頼の絆」プロジェクトを立ち上げました。ゴールがなかなか見えず、一朝一夕でなかなか結果につながっていくのは難しい活動ではありますが、「お客様のお役にたちたい」という気持ちを常に念頭に置き、全社グループで推進してまいります。
 今後も、「絆」を大切にし、オフィスの生産性を上げる事業を通じて、地域とお客様の利益に繋がる仕事に邁進し、次代に向けての社業の発展に一層努めてまいります。

(会社概要)

1 会社名 株式会社渡敬
2 代表者名 代表取締役社長 渡部尚男
3 所在地 (本社)〒013-0072 秋田県横手市卸町2番2号
 TEL 0182-32-2525(代) FAX 0182-32-7107
(秋田支店)〒010-0061 秋田市卸町3-5-1
(大仙営業所)〒014-0021 大仙市福田町12-58
(大館営業所)〒017-0872 大館市片山町3-2-59
(店舗・文具館)〒013-0022 横手市四日町6-4
4 URL https://www.watakei.co.jp/
5 設 立 昭和43年10月(創業:昭和8年9月)
6 資本金 2千万円
7 年 商 24億1千万円
8 社員数 106名
9 事業内容 ・文具・事務用品、OA機器、測量機器の販売とメンテナンス
・業務処理ソフトの販売とサポート
・オフィスの設計、関連什器の販売、施工
10 経営理念 □創造的個性の尊重
□健康健全な企業文化の創造
□社会価値、自然との調和
11 グループ企業 ・渡敬情報システム株式会社
・株式会社ウォーターネット秋田
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