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県内経済(7月号)

概況県内経済は、消費増税による影響を受けながらも、総じて緩やかな回復傾向が続いている

 電子部品、機械金属はともに前年を上回っているほか、木材も高水準の生産が続いている。また、建設は、住宅着工が消費増税に伴う駆け込み需要の反動減が続いているが、公共工事は堅調に推移している。個人消費は、駆け込み需要の反動から、全体としてやや弱い動きとなっている。雇用情勢は、緩やかな改善が続いている。
 産業別の動向では、電子部品の生産額は、スマートフォンや車載向けの部品受注が増加し、9か月連続で前年を上回った。機械金属の生産額は、11か月連続で前年を上回ったものの、輸送機械で消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響がみられ、前月対比では大幅に減少した。木材は、消費増税を受け荷動きの鈍化傾向が強まっているが、生産は在庫が低水準なため増産が続いている。公共工事請負額は2か月連続で増加した。地元大手(12社)の建設受注額は、民間工事が振るわず、4か月ぶりに減少した。住宅着工は駆け込み需要の反動により、4か月連続で減少。個人消費は、大型小売店販売額(4月)が3か月ぶりに前年実績を下回り、自動車販売台数も2か月連続で前年を下回った。駆け込み需要の反動から、全体としてやや弱い動きとなっている。
 有効求人倍率は前月比0.02ポイント上昇の0.90倍と22年ぶりの高水準となった。新規求人数は前年比4.6%増となり、2か月連続で増加した。事業主都合離職者数は2か月連続で前年を上回った。
 企業倒産件数は4件、負債総額は3億6,700万円であった。

電子部品生産額、高水準を保つ

 5月の生産額は前年比28.7%増と9か月連続で前年実績を上回り、このところ高い生産水準を保っている。家電やパソコンなどの国内向けは消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動に対応した減産が一部にみられているが、スマートフォン・タブレット端末向けや車載向けでは、引き続き中国を中心とする海外からの受注増加を背景に、好調を維持している。
 主力のセラミック・コンデンサが高い生産水準を保ったほか、インダクタや車載向けの半導体も堅調に推移したものの、産業機器向けの液晶画面は減少に転じた。

機械金属輸送機械の生産額が前月比大幅減

 5月の生産額は前年比1.5%増と11か月連続で前年実績を上回ったものの、増加幅は前月に比べ大幅に縮小した。ウエイトの高い輸送機械で消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響もあり前月を大きく下回ったほか、公共工事関連も伸び悩んだことなどが響いた。
 民需関連では、輸送機械は前年対比では増勢を維持したが、製鋼品や金型で減少が続いたほか、建機部品も中国における建機需要の低迷などにより大きく落ち込んでいる。一方、公共工事関連では、水道部品が堅調に推移したものの、これまで好調だった橋梁・鉄骨は減少に転じた。

木材業生産の高水準は続いている

 製材品、普通合板ともに、消費税増税を受けて荷動きの一服傾向は強まっているが、公共工事向け需要の先行き堅調見通しや、在庫手当て等もあって、生産の高水準は続いている。
 5月の製材品の出荷量は、全国的な住宅着工の落ち込みなどから前年比4.0%減と6か月ぶりに減少したものの、生産量は同4.0%増と6か月連続で増加している。
 4月の普通合板の出荷量は、駆け込み需要の反動もあり前年比8.4%減と2か月連続で減少した。ただ、依然として在庫率が0.5か月程度と低水準のため、在庫手当に向けた動きは続いており、生産量は同1.5%増と14か月連続で増加した。

酒造業出荷量、2か月連続で前年比減少

 5月の清酒出荷量は、県内向けが前年比22.5%減、県外向けは同4.3%増となり、全体では同6.5%減と、2か月連続で前年を下回った。レギュラー酒が消費税増税前の買いだめに伴う反動により落ち込んだことが影響した。県外向けの内訳では、東京が同7.9%増、東北5県は同2.1%減、北海道も同0.8%減となった。
 本年7月、秋田県で「秋田の酒による乾杯を推進する条例」が制定される見通しである。同様の条例は、平成25年1月に京都市で初めて施行されて以来全国に広がり、県内ではこれまで、美郷町、大館市、大仙市、湯沢市で施行されている。

県内向け出荷量 465kl
県外向け出荷量 934kl
合計出荷量前年比 -6.5%

建設業公共工事請負額、2か月連続で前年比大幅増加

 5月の公共工事請負金額は、前月に引き続き主要発注者の国、県、市町村で増加したことから、前年比40.6%増の152億円と2か月連続の増加となった。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の新規受注実績は、前年比11.7%減の23億円と4か月ぶりに減少した。官公庁工事は学校給食センター建築などで増加したものの、民間工事に大口受注がなく、件数も伸びなかった。当月の減少は、大幅増だった前年(63.1%増、26億円)の反動減とみられるが、受注総額20億円超えは、一昨年まで10億円台が続いていた5月単月としては、前年に続く高水準といえる。

金融預金、貸出金、ともに前年比プラスが続く

 5月末の県内銀行の預金は、前月末比80億円減少したものの、前年比では2.7%増加し、前年を上回る水準で推移している。貸出金は、前月末比176億円増加し、前年比でも5.0%の増加となった。貸出金は、平成24年9月以降、前年を上回って推移しており、前月やや鈍化した伸び率は再び上昇した。
 5月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は4件(前年比2件増)、負債総額は3億6,700万円であった。倒産件数は19か月連続で一桁台となり、平穏な状態が続いている。 負債総額は、前年同月の負債額が1億円台と少なかったため、前年比193.6%増と大幅に増加した。

住宅着工着工戸数、前年比減少幅が拡大

 5月の県内新設住宅着工戸数は、306戸(前年比115戸減、27.3%減)であった。持家、貸家、分譲住宅、給与住宅の全てが前年を下回り、総戸数は4か月連続で前年比減少となった。
 利用関係別では、持家が245戸(前年比99戸減)、貸家が38戸(同8戸減)、分譲住宅が23戸(同5戸減)、給与住宅が0戸(同3戸減)となっている。
 持家は3か月連続で前年を下回り、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減が続いている。貸家は前年に秋田市などで一般向け賃貸住宅の着工が大きく伸びた反動から5か月連続で前年を下回った。
 地域別では、県北・県央・県南の全地域とも前年を下回った。県北と県央は持家と貸家の着工が減少、県南は持家と分譲住宅の着工が減少したため、前年を下回った。

商況やや弱い動き

 大型小売店販売は3か月ぶりに前年実績を下回り、新車販売台数も2か月連続で前年を下回ったほか、家電販売もやや低調な推移となった。消費税増税前の駆け込み需要の反動から、全体としてはやや弱い動きとなっている。
 4月の大型小売店販売額は、前年比7.4%減となり、3か月ぶりに前年実績を下回った。飲食料品は、消費税増税前に買いだめの多かった調味料や酒類などが不振で前年を下回った。衣料品も春物衣料や肌着などが不振となり、前年実績を下回った。
 5月の新車販売台数は、前年比4.7%減となった。消費税増税前の駆け込み需要の反動から、2か月連続で前年実績を下回ったが、前月に比べ減少幅が縮小し、駆け込み需要の反動減は和らいでいる。
 家電販売は、パソコンはWindowsXPのサポート終了に伴う買い替え特需で堅調を維持しているが、冷蔵庫や洗濯機などの大型家電は、消費税増税前の駆け込み需要の反動から、低調に推移している。

雇用有効求人倍率、22年ぶりの高水準

 雇用情勢は、緩やかな改善が続いている。5月の有効求人倍率(全数)は前月より0.02ポイント上昇の0.90倍と平成4年3月以来、22年ぶりの高水準となった。このうち、一般は0.62倍、パートタイムは1.01倍。都道府県別にみると、愛知が1.57倍と最も高く、沖縄が0.63倍と最も低い。全国平均は1.09倍で、本県の全国順位は36位であった。
 新規求人数は、前年比4.6%増の6,995人と2か月連続で増加した。産業別にみると、製造業では同17.9%増の789人となった。「繊維」で縫製工場の操業開始に伴う新規求人があったほか、「電気機械器具」でも生産が堅調となったことから増加した。また、非製造業でも同3.1%増の6,206人となった。「運輸,郵便」でバスやタクシーの乗務員の求人が増加したほか、「卸売,小売」でもスーパーの店舗新設に伴い求人が大きく増加、「医療,福祉」も開設予定の事業所があることから求人増となった。
 新規求職者数は前年比7.5%減の6,220人と、10か月連続で減少した。
 事業主都合離職者数は前年比7.2%増の388人と、2か月連続で増加した。
 地域別雇用状況をハローワーク管内別にみると、新規求人数(パートを含む常用)は県央で前年比減少となったものの、県北と県南で増加した。有効求人倍率(臨時・季節を除く)は県北が最も高く0.80倍、県央が0.76倍、県南が0.64倍となった。
 来春卒業予定の高校生を対象にした求人票の受け付けが、6月20日から県内8か所のハローワークで始まった。秋田労働局がまとめた初日の求人数は、前年に比べて360人多い850人であった。また、求人票を提出したのは289事業所で、前年より114事業所増加した。求人を地域別にみると、県北が234人、県央が379人、県南が237人となった。県内就職を希望する高校生は1,580人で、前年同期比122人の減少。県外就職希望者は154人減の861人であった。

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