(※)工業統計調査の産業分類改定に伴い、平成20年調査以降、旧分類の「繊維工業」と「衣服・その他の繊維製品製造業(以下、「衣服製造業」)」が統合され、「繊維工業」となった。このため、事業所数、従業者数、製造品出荷額等の時系列比較については、19年までは、旧分類の「繊維工業」と「衣服製造業」の合計値を、20年以降は新分類の「繊維工業」の数値を使い、比較を行った。
機関誌「あきた経済」
本県繊維工業の現状
繊維工業は、人件費の安い中国や東南アジアなどへの生産移転が進んだ結果、事業所数や製造品出荷額の減少が続いている。本県においても、全国と同様に減少傾向にある。加えて、本県繊維工業は小規模事業所が多く、そのほとんどが下請加工形態を取っているため受身の経営にならざるを得ず、業況は発注元や親会社の動向に左右されやすい環境にある。しかし厳しい状況下でも、秋田から優れた製品を発信する企業は少なからず存在しており、こうした先への取材を通じて、本県繊維工業が取り組むべき課題を探った。
1 全国の繊維工業の動向
全国の繊維工業の事業所数は、減少傾向が続いている。平成24年は15,010か所で、10年前(14年27,271か所)と比較して、45.0%減少した。これにともない、従業者数も10年間で37.9%減少した。
裁断・縫製・仕上げなどの各工程は、従前に比べ機械化されたとはいえ人手が必要で、製造工程においては、人件費の安い国がメーカーに好まれる傾向にある。このため、多くの繊維工業で、日本に比べて人件費の安い中国や東南アジアなどへの生産移転や、現地法人設立が進んだ結果、事業所数の減少が続いている。
製造品出荷額等(以下、出荷額)は、平成24 年に3兆9,228億円となり、10年前(14年5兆1,295億円)に比べて23.5%減少した。
また、衣服縫製品の国産品販売額と輸入額の推移をみると、平成6年までは、国産品販売額が輸入額を上回っていたが、7年に逆転し、以降、その差は拡大している。
平成25年の国産品販売額は3,010億円、輸入額は3兆2,480億円で、国産品販売額の10倍超であった。
平成25年の輸入相手国をみると、中国が74.6%と最も高く、次いでベトナム(7.3%)、インドネシア(2.5%)と続く。10年前との比較では、中国の割合が低下する一方、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、カンボジア、タイ、マレーシアなど東南アジアの割合が上昇している。これは、中国において人件費の高騰が続き、より製造コストが割安な東南アジアに生産を移管する企業が増えたためである。しかし、近年は、東南アジアでも現地の経済成長にともなって賃金が引き上げられ、バングラデシュやインドなどでの製造も行われている。
縫製技術においては、海外工場新設時の徹底した指導により、中国、東南アジア諸国の技術レベルが向上し、基本的な加工技術は日本とそれほど遜色のないレベルまで到達している。しかし、見た目では分からない細かな部分の縫製やアイロンがけなど、細部にまで気を配った日本のモノづくりには一日の長があり、消費者の信頼も厚い。
服作りは製造工程が多く、工程数は150~200にのぼる。縫製技術者は、各工程に関する専門的な知識を習得し、素材を知り尽くしたうえで、機材を使いこなす技能が必要となる。特に「高品質」な製品の製造においては、見た目だけでなく、着心地の良さに繋がる縫製や仕上げの細かさなど高度な技術が要求され、製造工程は200を超える。多数の工程を経て仕上げられた製品には、長く着れば着るほど感じられる上質感があるという。
㈱博報堂がアジアと欧米の主要34都市で実施しているオリジナル生活者調査『Global HABIT』(平成24年)によると、日本製品に対するイメージ・評価は、「高品質な」が64.6%、「安心/安全な」が36.0%、「価格に見合う価値がある」が34.2%となった。「活気や勢いを感じる」は35.4%と、韓国(36.3%)を0.9ポイント下回ったが、「高品質な」については、アメリカやヨーロッパよりも20ポイント、韓国よりも40ポイント高くなった。
日本製品は、グローバル市場において、品質面、安全面での評価が高く、価格は高めに設定されているが、値段相応の価値があると世界に認められた製品といえる。
裁断・縫製・仕上げなどの各工程は、従前に比べ機械化されたとはいえ人手が必要で、製造工程においては、人件費の安い国がメーカーに好まれる傾向にある。このため、多くの繊維工業で、日本に比べて人件費の安い中国や東南アジアなどへの生産移転や、現地法人設立が進んだ結果、事業所数の減少が続いている。
製造品出荷額等(以下、出荷額)は、平成24 年に3兆9,228億円となり、10年前(14年5兆1,295億円)に比べて23.5%減少した。
また、衣服縫製品の国産品販売額と輸入額の推移をみると、平成6年までは、国産品販売額が輸入額を上回っていたが、7年に逆転し、以降、その差は拡大している。
平成25年の国産品販売額は3,010億円、輸入額は3兆2,480億円で、国産品販売額の10倍超であった。
平成25年の輸入相手国をみると、中国が74.6%と最も高く、次いでベトナム(7.3%)、インドネシア(2.5%)と続く。10年前との比較では、中国の割合が低下する一方、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、カンボジア、タイ、マレーシアなど東南アジアの割合が上昇している。これは、中国において人件費の高騰が続き、より製造コストが割安な東南アジアに生産を移管する企業が増えたためである。しかし、近年は、東南アジアでも現地の経済成長にともなって賃金が引き上げられ、バングラデシュやインドなどでの製造も行われている。
縫製技術においては、海外工場新設時の徹底した指導により、中国、東南アジア諸国の技術レベルが向上し、基本的な加工技術は日本とそれほど遜色のないレベルまで到達している。しかし、見た目では分からない細かな部分の縫製やアイロンがけなど、細部にまで気を配った日本のモノづくりには一日の長があり、消費者の信頼も厚い。
服作りは製造工程が多く、工程数は150~200にのぼる。縫製技術者は、各工程に関する専門的な知識を習得し、素材を知り尽くしたうえで、機材を使いこなす技能が必要となる。特に「高品質」な製品の製造においては、見た目だけでなく、着心地の良さに繋がる縫製や仕上げの細かさなど高度な技術が要求され、製造工程は200を超える。多数の工程を経て仕上げられた製品には、長く着れば着るほど感じられる上質感があるという。
㈱博報堂がアジアと欧米の主要34都市で実施しているオリジナル生活者調査『Global HABIT』(平成24年)によると、日本製品に対するイメージ・評価は、「高品質な」が64.6%、「安心/安全な」が36.0%、「価格に見合う価値がある」が34.2%となった。「活気や勢いを感じる」は35.4%と、韓国(36.3%)を0.9ポイント下回ったが、「高品質な」については、アメリカやヨーロッパよりも20ポイント、韓国よりも40ポイント高くなった。
日本製品は、グローバル市場において、品質面、安全面での評価が高く、価格は高めに設定されているが、値段相応の価値があると世界に認められた製品といえる。
2 本県の繊維工業の現状
本県繊維工業の事業所数は、全国同様、減少傾向にある。平成24年は346か所で、10年前(14年500か所)に比べて30.8%減少した。これにともない、従業者数も13,024人から8,194人に37.1%減少した。かつて、本県の繊維工業は、企業誘致により事業所数の増加が続き、多くの女性労働力を吸収してきたが、現在も従業者の85%が女性である。
出荷額は、平成24年に424億円となり、10年前(14年634億円)に比べて33.1%減少した。
本県製造業における繊維工業のシェア(平成24年)をみると、事業所数は17.3%(全国6.9%)で食料品に次いで2位、従業者数は13.1%(同3.9%)で電子部品・デバイスに次いで2位であるが、製造品出荷額は3.8%(同1.4%)で7位となっている。出荷額は電子部品・デバイスが突出しており、他業種はシェア一桁台であるものの、繊維工業は雇用面におけるシェアが高く、貢献するところが大きい。
事業所数(平成24年)を従業者規模別にみると、従業者4~9人の事業所が31.2%、10~19人が30.1%となっており、4~19人の小規模事業所が6割超となっている。しかし、出荷額では、従業者4~19人の事業所は15.4%にとどまる一方、50人以上の事業所は53.9%を占め、出荷額では中・大規模事業所の存在感が大きいことが分かる。
また、1事業所あたりの従業者数は、平成14年から24年までの10年間で26.0人から23.7人に2.3人減少しているほか、同10年間で従業者4~9人の事業所割合が上昇しており、より零細性が強くなっている。
本県の繊維工業は小規模事業所が多く、近年はより零細性が強くなっているほか、そのほとんどが下請加工形態を取っているため受身の経営にならざるを得ず、受注が不安定になりやすいなどの問題点がある。
県内でも、親会社の倒産に連鎖して倒産する企業や廃業に追い込まれる企業もみられるほか、従業者の高齢化、若年労働者の不足などにより技術継承が難しいため、事業継続自体が難しくなる事業所もある。
また、近年の業況低迷の背景には、中国や東南アジア諸国からの安価な輸入製品の急増により販売価格が下落したほか、不況の影響により消費者の洋服等への支出低下が続いたことなどがある。
生産面では、原材料価格や電気料金、物流経費などの値上がりから、各工場の負担が大きくなり、コスト削減や生産性向上は限界に近付きつつあるとも言われており、業況は厳しい。
経済センサスによると、平成21年から24年までの3年間の新設、廃業の状況についてみると、新設13か所、廃業95か所で、廃業が新設を大幅に上回った。また、秋田県企業倒産状況(株式会社東京商工リサーチ)によると、26年上半期の企業倒産件数11件のうち、5件が繊維工業であった。これにより、県内では多くの雇用が失われた形となっており、地域経済に与える影響は大きいといえる。
県内では、前述のとおり繊維工業事業所の淘汰が進んだが、厳しい状況を勝ち抜いてきた事業所が製造する縫製品は、品質面、安全面で評価が高い。真面目で勤勉な県民性を活かして、細部にまで気を配り製造された秋田の縫製品は、広く認められており、また、技術レベルを長年維持してきたことで、メーカーおよび消費者からの信頼を得ている。
出荷額は、平成24年に424億円となり、10年前(14年634億円)に比べて33.1%減少した。
本県製造業における繊維工業のシェア(平成24年)をみると、事業所数は17.3%(全国6.9%)で食料品に次いで2位、従業者数は13.1%(同3.9%)で電子部品・デバイスに次いで2位であるが、製造品出荷額は3.8%(同1.4%)で7位となっている。出荷額は電子部品・デバイスが突出しており、他業種はシェア一桁台であるものの、繊維工業は雇用面におけるシェアが高く、貢献するところが大きい。
事業所数(平成24年)を従業者規模別にみると、従業者4~9人の事業所が31.2%、10~19人が30.1%となっており、4~19人の小規模事業所が6割超となっている。しかし、出荷額では、従業者4~19人の事業所は15.4%にとどまる一方、50人以上の事業所は53.9%を占め、出荷額では中・大規模事業所の存在感が大きいことが分かる。
また、1事業所あたりの従業者数は、平成14年から24年までの10年間で26.0人から23.7人に2.3人減少しているほか、同10年間で従業者4~9人の事業所割合が上昇しており、より零細性が強くなっている。
本県の繊維工業は小規模事業所が多く、近年はより零細性が強くなっているほか、そのほとんどが下請加工形態を取っているため受身の経営にならざるを得ず、受注が不安定になりやすいなどの問題点がある。
県内でも、親会社の倒産に連鎖して倒産する企業や廃業に追い込まれる企業もみられるほか、従業者の高齢化、若年労働者の不足などにより技術継承が難しいため、事業継続自体が難しくなる事業所もある。
また、近年の業況低迷の背景には、中国や東南アジア諸国からの安価な輸入製品の急増により販売価格が下落したほか、不況の影響により消費者の洋服等への支出低下が続いたことなどがある。
生産面では、原材料価格や電気料金、物流経費などの値上がりから、各工場の負担が大きくなり、コスト削減や生産性向上は限界に近付きつつあるとも言われており、業況は厳しい。
経済センサスによると、平成21年から24年までの3年間の新設、廃業の状況についてみると、新設13か所、廃業95か所で、廃業が新設を大幅に上回った。また、秋田県企業倒産状況(株式会社東京商工リサーチ)によると、26年上半期の企業倒産件数11件のうち、5件が繊維工業であった。これにより、県内では多くの雇用が失われた形となっており、地域経済に与える影響は大きいといえる。
県内では、前述のとおり繊維工業事業所の淘汰が進んだが、厳しい状況を勝ち抜いてきた事業所が製造する縫製品は、品質面、安全面で評価が高い。真面目で勤勉な県民性を活かして、細部にまで気を配り製造された秋田の縫製品は、広く認められており、また、技術レベルを長年維持してきたことで、メーカーおよび消費者からの信頼を得ている。
3 繊維工業の最近の動向と今後の課題
東北には、繊維工業に携わる企業が多数あり、日本のモノづくりを支える縫製品の集積地となっている。
事業所数や製造品出荷額の減少が続き、厳しい業況が続くなか、秋田から優れた製品を発信する企業への取材を通じて、業界の最近の動向と、本県繊維工業が取り組むべき課題を探った。
(1)消費者嗜好、「安さ」から「質重視」へ変化の兆し
事業所数や製造品出荷額の減少が続き、厳しい業況が続くなか、秋田から優れた製品を発信する企業への取材を通じて、業界の最近の動向と、本県繊維工業が取り組むべき課題を探った。
(1)消費者嗜好、「安さ」から「質重視」へ変化の兆し
総務省「家計調査報告」によると、平成25年の1世帯あたりの洋服およびシャツ・セーター類(以下、洋服等)への支出金額は全国が77,440円、秋田市は68,924円であった。20年から25年までの5年間の変化をみると、全国は9千円(10.6%)減少し、秋田市は1.5万円(18.2%)減少した。消費支出に占める割合は、同5年間で全国が2.8%から2.6%へ、秋田市は2.8%から2.4%へ、いずれも低下したものの、20年以降の支出金額の推移をみると、秋田市は23年を底に2年連続で増加し、全国も24年を底に増加した。
ファストファッションが台頭して久しいが、最近では、多少高くても、上質な服を求める消費者も増えはじめている。首都圏を中心に、大手百貨店では、オーガニックコットン(有機栽培綿)を使ったTシャツや、希少性の高い生地を使ったスーツをブランド化するなど、一部では、高価格帯商品販売への積極的な取組がみられ、消費者の嗜好は「安さ」から「質重視」へ変化の兆しもみられる。
(2)人材育成の重要性 ~技術力、対応力を磨く
ファストファッションが台頭して久しいが、最近では、多少高くても、上質な服を求める消費者も増えはじめている。首都圏を中心に、大手百貨店では、オーガニックコットン(有機栽培綿)を使ったTシャツや、希少性の高い生地を使ったスーツをブランド化するなど、一部では、高価格帯商品販売への積極的な取組がみられ、消費者の嗜好は「安さ」から「質重視」へ変化の兆しもみられる。
消費者嗜好が「質重視」へ変化の兆しもみられるなか、高品質品が注目を集めると同時に、丁寧で細かな作業の積み重ねにより仕上げられた「Made in Japan」への注目も高まりつつある。
広く認められた高品質な製品を製造し、「Made in Japan」への信頼を維持するためには、これまで培った伝統的な縫製技術を維持し、知識、経験などを若い世代に受け継ぐための仕組みづくりが重要となる。
生産工程の改善、多能工の育成、新素材や機材の研修会開催など、工場で取り組み改善してきた点は多く、こうした改善の努力によって確立された技術力の高さや柔軟な対応力は、世界に通じる製品づくりに繋がるものである。
また技術者については、新規雇用して即戦力となることは難しく、育成には多くの時間を要する。自社の製造する製品に誇りをもてる社員を育成し、勤続年数が長く、離職率の低い事業所となるための環境整備や、従業者の8割超を占める女性にとって働きやすい職場づくりなども、品質を安定させる大きな要素となろう。
(3)連携の強化
広く認められた高品質な製品を製造し、「Made in Japan」への信頼を維持するためには、これまで培った伝統的な縫製技術を維持し、知識、経験などを若い世代に受け継ぐための仕組みづくりが重要となる。
生産工程の改善、多能工の育成、新素材や機材の研修会開催など、工場で取り組み改善してきた点は多く、こうした改善の努力によって確立された技術力の高さや柔軟な対応力は、世界に通じる製品づくりに繋がるものである。
また技術者については、新規雇用して即戦力となることは難しく、育成には多くの時間を要する。自社の製造する製品に誇りをもてる社員を育成し、勤続年数が長く、離職率の低い事業所となるための環境整備や、従業者の8割超を占める女性にとって働きやすい職場づくりなども、品質を安定させる大きな要素となろう。
近年、技術力の向上、対応力強化に関する問題点や課題などを業界内で共有し、連携を強化する取り組みも活発化している。
東北六県縫製団体連合会では、お互いの工場見学を実施したり、トレンドや新素材の勉強会を開催している。また、東北アパレル産業機器展(東北ミシンショー)を主催している。同ミシンショーは、最新の機器やシステム、関連商品などの情報収集、交流などを目的に開催されるもので、現場のオペレーターが多数訪れるのが特色の全国でも珍しい展示会である。これまで三年間は青森市で開催されていたが、本年は、6月7、8日の両日、横手市の秋田ふるさと村に会場を移して開催された。
技術力の向上、対応力強化に欠かせない機器類の導入については、中小企業庁が実施する「ものづくり補助金(※)」事業の後押しもあり、本県繊維工業界の技術力、対応力の更なる強化への期待が高まる。
また、平成24年11月、秋田県電子工業振興協議会、秋田県機械金属工業会、秋田県アパレル産業振興協議会の3団体により、「あきた工業団体連絡協議会」が設立された。当協議会は、加盟するものづくり企業が業種・業体の枠を越えて連携し、情報交換やビジネス拡大等に繋げることを目的としている。研修の合同開催や先進企業の視察などを行い、ものづくり企業に共通する問題点や課題を共有し、解決の糸口を探る連携機関として、今後の活動が注目される。
東北六県縫製団体連合会では、お互いの工場見学を実施したり、トレンドや新素材の勉強会を開催している。また、東北アパレル産業機器展(東北ミシンショー)を主催している。同ミシンショーは、最新の機器やシステム、関連商品などの情報収集、交流などを目的に開催されるもので、現場のオペレーターが多数訪れるのが特色の全国でも珍しい展示会である。これまで三年間は青森市で開催されていたが、本年は、6月7、8日の両日、横手市の秋田ふるさと村に会場を移して開催された。
技術力の向上、対応力強化に欠かせない機器類の導入については、中小企業庁が実施する「ものづくり補助金(※)」事業の後押しもあり、本県繊維工業界の技術力、対応力の更なる強化への期待が高まる。
また、平成24年11月、秋田県電子工業振興協議会、秋田県機械金属工業会、秋田県アパレル産業振興協議会の3団体により、「あきた工業団体連絡協議会」が設立された。当協議会は、加盟するものづくり企業が業種・業体の枠を越えて連携し、情報交換やビジネス拡大等に繋げることを目的としている。研修の合同開催や先進企業の視察などを行い、ものづくり企業に共通する問題点や課題を共有し、解決の糸口を探る連携機関として、今後の活動が注目される。
(※) 中小企業庁が実施する補助事業で、中小企業が金融機関や公的な支援機関等の認定支援機関と連携しながら実施する試作品の開発および設備投資等に対して、上限を10百万円として、補助対象経費の2/3を補助する制度。
4 Made in Japanを秋田の地から発信
本県は小規模事業所が多いほか、そのほとんどが下請加工形態をとっているため受注が不安定になりやすいなどの問題点がある。しかし、本県の縫製技術に対する評価は高く、その高い技術力と対応力を維持して来たことにより、メーカーや消費者から信頼を得ている。
県内においては、下請け体質からの脱却を目指し、自社で製品の企画・開発に取り組み、物流・販売までを手掛ける企業も少なくない。ただし、今後も世界との厳しい競争が続くなか、秋田で繊維工業を続け、生き残って行くためには、労働集約的色彩の濃い生産拠点ではなく、これまで以上により良いものを生み出すための確かな技術とモノづくりへの強いこだわりを発信し、改善し続ける姿勢が必要不可欠となる。その上で、多様化する消費者ニーズを把握し、商品の企画・開発を行い、物流、販売まで分野を拡げた取り組みを行うことで、いずれは自立経営転換への可能性が広がり、海外への販路拡大にも繋がると考えられる。
県内においては、下請け体質からの脱却を目指し、自社で製品の企画・開発に取り組み、物流・販売までを手掛ける企業も少なくない。ただし、今後も世界との厳しい競争が続くなか、秋田で繊維工業を続け、生き残って行くためには、労働集約的色彩の濃い生産拠点ではなく、これまで以上により良いものを生み出すための確かな技術とモノづくりへの強いこだわりを発信し、改善し続ける姿勢が必要不可欠となる。その上で、多様化する消費者ニーズを把握し、商品の企画・開発を行い、物流、販売まで分野を拡げた取り組みを行うことで、いずれは自立経営転換への可能性が広がり、海外への販路拡大にも繋がると考えられる。
(佐藤 由深子)