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県内経済(8月号)

概況県内経済は、消費増税による影響を受けながらも、総じて緩やかな回復傾向が続いている

 電子部品、機械金属はともに前年を上回っているほか、木材も高水準の生産が続いている。また、建設は、住宅着工が消費増税に伴う駆け込み需要の反動減が続いているが、公共工事は堅調に推移している。個人消費は、駆け込み需要の反動から、全体としてやや弱い動きとなっている。雇用情勢は、緩やかな改善が続いている。
 産業別の動向では、電子部品の生産額は、スマートフォンや車載向けが好調を維持し、10か月連続で前年を上回った。機械金属の生産額は、12か月連続で前年を上回ったものの、輸送機械で消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響もあり、前月対比では横ばい圏内で足踏み状態となっている。木材は、消費増税を受け荷動きが鈍化しているが、堅調な公共工事向け需要などを下支えに、高水準の生産が続いている。公共工事請負額は3か月連続で増加した。地元大手(12社)の建設受注額も官公庁工事が大幅に増加し、2か月ぶりに増加した。住宅着工は駆け込み需要の反動減が続き、5か月連続で減少。個人消費は、大型小売店販売額(5月)が2か月ぶりに前年実績を上回ったものの、自動車販売台数が3か月連続で前年を下回ったほか、家電販売も低調に推移し、全体としてやや弱い動きとなっている。
 有効求人倍率は前月と同水準の0.90倍であった。新規求人数は前年比13.8%増となり、3か月連続で増加した。事業主都合離職者数は3か月ぶりに前年を下回った。
 企業倒産件数は6件、負債総額は5億3,400万円であった。

電子部品高水準で横這い圏内の動き

 6月の生産額は前年比21.9%増と10か月連続で前年実績を上回り、このところ高水準で横這い圏内の動きが続いている。家電などの国内向けは消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動に対応した減産が一部にみられているが、スマートフォン・タブレット端末向けや車載向けでは、堅調な海外需要を背景に好調を維持している。
 主力のセラミック・コンデンサが高い生産水準を保ったほか、インダクタや車載向けの半導体も堅調に推移した。また、産業機器向けの液晶画面も増加に転じた。なお、4?6月は前年同期比25.6%、今年上半期は同27.1%、それぞれ増加した。

機械金属横這い圏内で足踏み

 6月の生産額は前年比3.0%増と12か月連続で前年実績を上回ったが、前月対比では横這い圏内で足踏み状態となっている。ウエイトの高い輸送機械が前年対比で増勢を維持したものの、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響もあり伸び悩んだほか、公共工事関連も振るわなかった。
 輸送機械以外の民需関連では、製鋼品が増加に転じたが、建機部品は中国における建機需要の低迷などにより減少が続いている。また、公共工事関連では、水道部品、橋梁・鉄骨ともに一進一退の動きとなっている。なお、4?6月は前年同期比5.2%、今年上半期も同5.2%、それぞれ同幅増加した。

木材業荷動きは鈍化しているが、高水準の生産が続く

 製材品、普通合板ともに、消費税増税による住宅着工の反動減等から荷動きの鈍化は鮮明になっているが、堅調な公共工事向け需要などを下支えに、高水準の生産が続いている。
 6月の製材品の出荷量は、全国的に住宅着工が落ち込んでいることを受けて前年比4.0%減と2か月連続で減少したものの、生産量は同13.6%増と7か月連続で増加している。
 5月の普通合板の出荷量は、駆け込み需要の反動から前年比21.0%減と大幅に減少した。一方、足元の在庫率が0.7か月程度と適正水準に近づいていることもあり、生産量も同1.5%減と15か月ぶりに減少したが、依然として水準は高い。

酒造業出荷量、3か月ぶりに前年比増加

 6月の清酒出荷量は、県内向けが前年比1.8%減、県外向けは同7.1%増となり、全体では同3.6%増と、3か月ぶりに前年を上回った。主力のレギュラー酒で消費税増税前の駆け込み需要に伴う反動減が解消したことが寄与した。県外向けの内訳では、東京が同4.0%増、東北5県も同3.9%増、北海道は同14.9%減となった。

県内向け出荷量 542kl
県外向け出荷量 928kl
合計出荷量前年比 3.6%

建設業公共工事請負額、3か月連続で前年比増加

 6月の公共工事請負金額は、国、独立行政法人等で減少したものの、県、市町村等が増加したことから、全体では前年比26.3%増の158億円と3か月連続の増加となった。
 また、当研究所調査による地元大手12社の新規受注実績も、前年比18.6%増の41億円と2か月ぶりに増加した。民間工事は建築に大口受注があったものの、大幅増(132.7%増)だった前年(11億円)には及ばず、2か月連続で減少した。しかし、官公庁工事が道路改良など土木で前年比倍増したことにより、2か月連続で増加し、民間工事の減少をカバーした。

金融上半期の企業倒産、負債総額は平成年代最少

 6月末の県内銀行の預金は、前月末比156億円増加し、前年比でも0.8%増加となった。預金は、前年を上回る水準で推移しているが、前月までに比べ伸び率は鈍化した。貸出金は、前月末比309億円減少したものの、前年比では5.2%増となった。貸出金は、平成24年9月以降、前年を上回って推移している。
 6月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は6件(前年比1件増)、負債総額は5億3,400万円(同61.3%増)であった。件数が依然一桁台であるなど小康状態を維持している。なお、上半期の倒産件数は前年同期比6件増の35件、負債総額は同42.5%減の31億8,300万円と平成年代に入り最少であった。

住宅着工着工戸数、5か月連続で前年比減少

 6月の県内新設住宅着工戸数は、372戸(前年比103戸減、21.7%減)であった。持家、貸家、分譲住宅、給与住宅の全てが前年を下回り、総戸数は5か月連続で前年比減少となった。
 利用関係別では、持家が250戸(前年比66戸減)、貸家が105戸(同9戸減)、分譲住宅が16戸(同6戸減)、給与住宅が1戸(同22戸減)となっている。
 持家は4か月連続で前年を下回り、依然として消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減が続いている。貸家は前年に大館市と能代市で一般向け賃貸住宅の着工が急伸した反動から6か月連続で前年を下回った。
 地域別では、県北・県央・県南の全地域とも前年比減少となった。県北は貸家と給与住宅の着工が減少、県央と県南は持家の着工が減少し、前年を下回った。

商況やや弱い動き

 大型小売店販売は2か月ぶりに前年実績を上回ったものの、新車販売台数が3か月連続で前年を下回ったほか、家電販売も低調な推移となり、全体としてはやや弱い動きとなっている。
 5月の大型小売店販売額は、前年比1.2%増となり、2か月ぶりに前年実績を上回った。衣料品は、春夏物が振るわず、2か月連続で前年実績を下回った。飲食料品は、消費税増税前に買いだめの多かった調味料や酒類など一部の商品で反動減の影響が残るものの、野菜や精肉、総菜のほか、物産展も好調となり、前年を上回った。
 6月の新車販売台数は、前年比7.1%減となり、消費税増税前の駆け込み需要の反動から、3か月連続で前年実績を下回った。内訳をみると、登録車は前年比6.9%減、軽自動車も同7.2%減となった。
 家電販売は、パソコンはWindowsXPのサポート終了に伴う買い替え特需が一服したほか、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電も駆け込み需要の反動から低調に推移している。

雇用有効求人倍率、高水準を維持

 雇用情勢は、緩やかな改善が続いている。6月の有効求人倍率(全数)は前月と同じ0.90倍と平成4年3月以来の高水準を維持した。ただし、職種ごとに需給のバラツキがみられ、現状、人手は全体では足りているものの、建設・建築関係や接客サービスなどの職種で逼迫気味となっている。
 新規求人数は、前年比13.8%増の8,118人と3か月連続で増加した。産業別にみると、製造業では同31.2%増の829人となった。「繊維」で縫製工場新設に伴う新規求人があったほか、「電気機械器具」でも生産が堅調となったことから増加した。また、非製造業でも同12.2%増の7,289人となった。「宿泊,飲食サービス」で広域展開している一部企業で大量求人があったほか、「運輸,郵便」でもバスやタクシー会社の求人が増加、「医療,福祉」もスタッフの拡充を行っている事業所が多く求人増となった。
 新規求職者数は前年比2.1%減の5,159人と、11か月連続で減少した。
 事業主都合離職者数は前年比20.8%減の224人と、3か月ぶりに減少した。
 地域別雇用状況をハローワーク管内別にみると、新規求人数(パートを含む常用)は県北で前年比減少となったものの、県央と県南で増加した。有効求人倍率(臨時・季節を除く)は県北が最も高く0.83倍、県央が0.80倍、県南が0.73倍となった。
 秋田県が発表した平成26年春季賃上げ要求・妥結状況調査によると、集計可能な県内59組合の妥結額(加重平均)は5,507円であった。妥結額は前年実績を1,045円上回り、平成11年以来15年ぶりの高水準となった。業種別では、「運輸業」が7,220円と最も高い。妥結額は東日本大震災や歴史的な円高が影響した平成24年に過去最低となった後、2年連続で上昇した。

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