機関誌「あきた経済」
発酵食品による地域産業振興の取組
発酵食品の価値が見直されている。秋田県では伝統的に清酒や味噌、醤油、漬物ほか、発酵技術を利用した食物作りが盛んで、これら発酵食品類を多く持つことが食文化の一つの特徴になるとともに、製造販売は長い間地場産業の主力の一角を担ってきた。しかし、近年は人口減少や食生活の多様化等を背景にこれら食品の需要は減る傾向にあり、事業所数も年々減少している。そのような折、発酵食品が「機能性食品」として注目されるとともに、一部ではブームの様相さえみせだした。もともと発酵技術の蓄積を強みとする本県でも、改めてその振興に注力している。
1 秋田県と発酵文化
秋田県は、良質・豊富な食材と多彩な郷土料理、伝統料理等を擁し、従前から「食の宝庫」とも呼ばれてきた。また、その食文化は素朴さと多様性に富むことのほか、とりわけ米や麹等を用いた「発酵食品」の多いことも特徴の一つで、実際、県内では清酒や味噌、醤油のほか、漬物、納豆、しょっつる等々、発酵技術を利用した食品を、古くから盛んに作ってきた経緯にある(*1)。
因みに発酵食品とは、一言でいえば食材に微生物(酵母、菌類、カビ等)の働きを作用させ新たに生成した食物(*2)のことで、そのようにして出来上がった食品には、元の食材になかった独特の旨みや風味が備わる。その上、そこには保存性を向上させる機能のほか、発酵による酵素の働きで新陳代謝や消化吸収の促進、高血圧予防や老化防止等、人間の健康を増進させる各種のパワーも新たに加わる。
本県では、昔から農作物の収穫に恵まれた事情を背景に、主にそれらの余剰となった部分を冬期用に保存する目的で、発酵食品を作ってきた(*3)。その際、特に収量のあった米を使用しての麹作りが盛んになったが、それはまた麹を多用する味噌、醤油、漬物、甘酒、日本酒その他の発酵食品類を、自ずと食生活に広く取り入れる土壌になった。さらに、雪深く湿り気の多い長い冬は、単に食物を保存する機能のみならず、それをじっくりと味わい深いものに醸す技術も発展させる役割を果たした。秋田県の特色ある発酵文化(*4)は、このような環境と食習慣の中で育まれるとともに、長い年月をかけヴァリエーションの拡大が図られてきたものである。
折しも本県では、長期計画である「ふるさと秋田元気創造プラン」で推進する産業政策の柱の1つに食品産業の振興を掲げ、その具体的施策の中に、これら発酵食品文化を活用した商品開発や販売促進の取組等を組み入れている。東北他県に比べても事業基盤がやや脆弱な本県食品産業の振興に、秋田県の強みの1つであるこれら発酵関連の技術と文化も、積極的に活用していこうとの趣旨である。
因みに発酵食品とは、一言でいえば食材に微生物(酵母、菌類、カビ等)の働きを作用させ新たに生成した食物(*2)のことで、そのようにして出来上がった食品には、元の食材になかった独特の旨みや風味が備わる。その上、そこには保存性を向上させる機能のほか、発酵による酵素の働きで新陳代謝や消化吸収の促進、高血圧予防や老化防止等、人間の健康を増進させる各種のパワーも新たに加わる。
本県では、昔から農作物の収穫に恵まれた事情を背景に、主にそれらの余剰となった部分を冬期用に保存する目的で、発酵食品を作ってきた(*3)。その際、特に収量のあった米を使用しての麹作りが盛んになったが、それはまた麹を多用する味噌、醤油、漬物、甘酒、日本酒その他の発酵食品類を、自ずと食生活に広く取り入れる土壌になった。さらに、雪深く湿り気の多い長い冬は、単に食物を保存する機能のみならず、それをじっくりと味わい深いものに醸す技術も発展させる役割を果たした。秋田県の特色ある発酵文化(*4)は、このような環境と食習慣の中で育まれるとともに、長い年月をかけヴァリエーションの拡大が図られてきたものである。
折しも本県では、長期計画である「ふるさと秋田元気創造プラン」で推進する産業政策の柱の1つに食品産業の振興を掲げ、その具体的施策の中に、これら発酵食品文化を活用した商品開発や販売促進の取組等を組み入れている。東北他県に比べても事業基盤がやや脆弱な本県食品産業の振興に、秋田県の強みの1つであるこれら発酵関連の技術と文化も、積極的に活用していこうとの趣旨である。
(*1)発酵食品製造の盛んな地域は、東北、関東、中部、北陸地方に多い。
(*2)生産者は元の食材に含まれるたんぱく質や澱粉を、酵母、菌類、カビ等の微生物に分解(発酵)させることにより素材と異なる性格の食品を生成する。
(*3)昔は地主や豪農が、小作から収められた収納米、大豆等の余分量の利用策として、味噌や酒等の発酵食品を作ったケースが多かった。
(*4)秋田県の発酵食品の主なものには、清酒、納豆、味噌、醤油、しょっつる(魚醤)、漬物、麹、ハタハタずし(飯ずし)、たまり、醤油の実などがある。秋田県の発酵食品の特徴は、「米どころ」を反映し「米麹」を大量に使用すること、及び、それと同時に塩も多く使うこと、である。麹については特に県南地域での製造が盛んで、昭和30年代までは横手盆地内に麹専門店が140余り存在。これは日本一の集積であったことから、横手地域はいわば日本麹発酵文化圏の中心地だったともいわれる。因みに、「秋田みそ」は他地域のものと比べ米麹の割合の大きい贅沢なみそで、穏やかな香りと甘味のあるのが特徴。また、清酒は低温長期発酵によるキメ細かな味わいが特徴。「しょっつる」は日本3大魚醤の1つとして知られる。漬物は「いぶりがっこ」が有名だが、全般に種類が豊富で県民のソウルフードでもある。納豆は、本県が発祥地であるほか消費量全国2位。
2 発酵食品産業の現状
(1)全国の動向
(2)秋田県の動向
もとより発酵食品類は、本県のみならず広く日本人の食生活に浸透している状況を背景に、国全体における関連産業の市場は数兆円もの規模に上るといわれる。しかし、伝統的な発酵食品の多くは、自家消費のほか各地場の需要に見合う範囲で作られてきたという歴史的経緯から、それらの製造・販売事業については現在も地域の比較的小規模な酒造会社、味噌・醤油会社、漬物製造会社その他により営まれるケースが多く、実際、数の面ではこれら企業が大半を占めている。その一方、1社で数千億円からの売り上げを持つナショナルブランド企業群も存在し、新商品や広告を大規模に投入しての営業展開の下、大きな販売シェアをさらに拡大させつつある(*5)。従って、後者のような一部大手先を除けば大方のメーカーにとっての市場は必ずしも大きなものではなく、業界の全体像としては、むしろ限られたエリアに中小・零細規模の企業が多く集中する厳しい状況、というのが実情である。
加えて、人口減少や食生活の洋風化、外食志向拡大など食を巡る環境の変化を背景に、近年は市場自体も規模の縮小傾向を余儀なくされている。因みに、経産省「工業統計表」によると、主な発酵食品のうち清酒と味噌、醤油、漬物を合計(*6)した場合の平成24年・製造品出荷額等は約1兆559億円で、これは10年前に比べ約31%の減少、また、それにつれ当該事業先数も、この間に5,230先から4,144先に21%減少している。市場が縮小しつつある上に大手による寡占化も進む状況下、発酵食品業界は古くからの食習慣や地場消費に立脚する従来の営業方式を踏襲することがもはや困難となり、目下、新たな事業展開の方向を真剣に模索している。
加えて、人口減少や食生活の洋風化、外食志向拡大など食を巡る環境の変化を背景に、近年は市場自体も規模の縮小傾向を余儀なくされている。因みに、経産省「工業統計表」によると、主な発酵食品のうち清酒と味噌、醤油、漬物を合計(*6)した場合の平成24年・製造品出荷額等は約1兆559億円で、これは10年前に比べ約31%の減少、また、それにつれ当該事業先数も、この間に5,230先から4,144先に21%減少している。市場が縮小しつつある上に大手による寡占化も進む状況下、発酵食品業界は古くからの食習慣や地場消費に立脚する従来の営業方式を踏襲することがもはや困難となり、目下、新たな事業展開の方向を真剣に模索している。
(*5)例えば、清酒では白鶴、月桂冠、味噌ではマルコメやハナマルキ、醤油ではキッコーマンやヤマサ等。清酒や味噌では上位10社、醤油では上位5社で全体の半分前後の販売シェアを占めている。
(*6)発酵関連で最も業界規模の大きなものはビール(24年度売上高:約2兆6千億円)であるが、大手のシェアが突出して大きいため、本稿ではコメント対象としない。
(2)秋田県の動向
伝統的発酵文化を擁する秋田県も、実態は全国と同様、事業面には年々厳しさが募っている。秋田県「工業統計」によると、清酒と味噌、醤油、漬物を合わせた平成24年の製造品出荷額等は約198億円で、これは10年前に比べ33%の減少、20年前に比べると実に56%もの減少となる。また、事業先数もこの10年間に164先から120先に27%減少している。出荷額、事業先数とも全国を上回る速度での減少であり、これらの状況は、本県の発酵食品作りが産業として地場の中でも急速に後退しつつある様子を窺わせる。全国と同様に食生活の多様化が進行していることに加え、本県では人口減少が他を上回るスピードで進み地域需要量が急減していること、等が主な要因であろう。
なお、本県の発酵食品関連事業については、地場の伝統的主力産業の一つという割に、産物の取扱規模が、必ずしも大きなものではない点にも留意する必要がある。生産や出荷の量・金額で比較した県産品の全国順位は、清酒が5位と上位にあるほかは味噌、醤油、漬物等何れも中位の「並」クラスに並んでいる。同じく発酵食品作りが盛んと言われる他の地域では、例えば「信州味噌」や「野沢菜漬け」等の生産で名高い長野県の場合、その全国順位は味噌と漬物の出荷額が全国でそれぞれ1位と2位、また、清酒も10位と全般に高いランクに位置している。加えて、実際の取扱規模でも清酒と味噌、醤油、漬物を合わせた製造品出荷額等が889億円(平成24年)となり、これは本県の同出荷額の4.5倍に上るなど、発酵食品作りが地域の一つの産業としても大きな存在である様子を示している。
以上の状況は、本県の発酵文化が特色深くかつ技術面でも優れたものであるとはいえ、生産・販売に係る事業については清酒を除けば長い間地場内での取り扱いに終始し、産業として地域圏を超えるレベルまで発展させ得ないまま現在に至った、という内情を示唆している。発酵関連に限らずしばしば食品産業全般に指摘されるところであるが、保有するせっかくの良質素材や蓄積技術を商売拡大に結び付ける工夫、努力において、本県にはこれまで他地域に1歩譲る部分のあったことは否めないであろう。
なお、本県の発酵食品関連事業については、地場の伝統的主力産業の一つという割に、産物の取扱規模が、必ずしも大きなものではない点にも留意する必要がある。生産や出荷の量・金額で比較した県産品の全国順位は、清酒が5位と上位にあるほかは味噌、醤油、漬物等何れも中位の「並」クラスに並んでいる。同じく発酵食品作りが盛んと言われる他の地域では、例えば「信州味噌」や「野沢菜漬け」等の生産で名高い長野県の場合、その全国順位は味噌と漬物の出荷額が全国でそれぞれ1位と2位、また、清酒も10位と全般に高いランクに位置している。加えて、実際の取扱規模でも清酒と味噌、醤油、漬物を合わせた製造品出荷額等が889億円(平成24年)となり、これは本県の同出荷額の4.5倍に上るなど、発酵食品作りが地域の一つの産業としても大きな存在である様子を示している。
以上の状況は、本県の発酵文化が特色深くかつ技術面でも優れたものであるとはいえ、生産・販売に係る事業については清酒を除けば長い間地場内での取り扱いに終始し、産業として地域圏を超えるレベルまで発展させ得ないまま現在に至った、という内情を示唆している。発酵関連に限らずしばしば食品産業全般に指摘されるところであるが、保有するせっかくの良質素材や蓄積技術を商売拡大に結び付ける工夫、努力において、本県にはこれまで他地域に1歩譲る部分のあったことは否めないであろう。
3 発酵食品の新たな可能性
しかし、以上のように発酵食品を巡る事業が全般に厳しさを増しつつある中にも、一方では取り巻く環境に明るい材料も出始めている。まず指摘すべき点は、安全性のほか、栄養補給や健康・美容促進効果等の「食品機能」に対する消費者の関心が年々高まっている状況下、旨みと併せ、発酵食品が持つ素材の天然性や高機能性が改めて見直されだしたことである。特に、高齢化や生活習慣病の増加等を背景に国民の健康志向が高じ、その面でも健康機能に富む食品の一つとしての発酵食品に注目が集まっている。これら諸々の点を理由に、塩麹やヨーグルト、甘酒等の人気が目下全国的に急上昇していることは周知のとおりであり、さらに近頃は納豆、味噌へも再評価の波が及び始めるなど、食品の世界では発酵食品ブームといった様相さえ一部で呈するに至っている。
また、折から国でも「機能性」の面で発酵食品が持つポテンシャルの高さに着目し、わが国食品産業の対外競争力向上策の一つとして、発酵技術の開発・育成と市場開拓に一層努めていく方向を打ち出している(*7)。このように、発酵食品は従来からの深い味わいを持つ「伝統食品」という性格に「機能性食品」としての装いを加え、さらに、近頃の「日本食」に対する国内外の関心の高まりといった状況とも相俟って、これら新たな趨勢を踏み台に次代の扉を開き得る可能性も広がりだしている。
また、折から国でも「機能性」の面で発酵食品が持つポテンシャルの高さに着目し、わが国食品産業の対外競争力向上策の一つとして、発酵技術の開発・育成と市場開拓に一層努めていく方向を打ち出している(*7)。このように、発酵食品は従来からの深い味わいを持つ「伝統食品」という性格に「機能性食品」としての装いを加え、さらに、近頃の「日本食」に対する国内外の関心の高まりといった状況とも相俟って、これら新たな趨勢を踏み台に次代の扉を開き得る可能性も広がりだしている。
(*7)農水省「農林水産業・食品産業等先端産業技術開発事業」
4 秋田県の発酵食品産業の振興
(1)発酵産業振興の方向
(2)売れるものづくり
(3)売る努力
このような状況下、本県では関連産業振興の取組を総合計画「ふるさと秋田元気創造プラン」に組み込み推進していることは先述のとおりであり、また、技術面の要である秋田県総合食品研究センター等も「発酵技術の研究」を中長期計画での重点推進分野(*8)の一つに掲げ、新商品の開発や地元ブランド育成に繋がる技術開拓等に努めている。加えて、地域圏においては横手市が先に「発酵のまち」を宣言する傍ら、「全国発酵食品サミット」をはじめとする様々な行事開催や、「よこて発酵文化研究所」を設立しての新商品開発と情報発信を行うなど、発酵食品産業振興を柱の一つに据えた町づくりに鋭意取り組んでいる。
その他にも、新たな技術開発、商品開発など各種の取組が県内各地及び企業により進められているが、何れにしても本県全体としては、これまでの地場消費主体の事業体制から抜け出し、今後は首都圏ないし海外市場まで睨んだ販路開拓に乗り出すなど、産業として一段の発展・拡大を図る方向を展望していく必要があろう。そのために重要となる点は、一つは「売れるものづくり」の取組促進であり、また、他の一つが「売る努力」の取組強化であることは、改めて言うまでもない。
その他にも、新たな技術開発、商品開発など各種の取組が県内各地及び企業により進められているが、何れにしても本県全体としては、これまでの地場消費主体の事業体制から抜け出し、今後は首都圏ないし海外市場まで睨んだ販路開拓に乗り出すなど、産業として一段の発展・拡大を図る方向を展望していく必要があろう。そのために重要となる点は、一つは「売れるものづくり」の取組促進であり、また、他の一つが「売る努力」の取組強化であることは、改めて言うまでもない。
(*8)地域資源を活用した新商品開発研究、発酵技術を活用した新商品開発研究、食品加工関連技術・バイオファイナリーに関する研究、の3項目
(2)売れるものづくり
「売れるものづくり」については、これまで本県が県産品拡販のための重要テーマとして取り組んできたところであるが、今後についても同様、消費者の嗜好変化に沿った新技術開発、商品開発等に、官民共同で注力していくことが引き続き必要であろう。わけても、先行きは健康食品分野が有望視される折から、その方面での県産品の競争力強化が急務であり、そのためには、減塩化促進など食品機能改良に効果的な発酵法の開拓・改善に努めることや、さらなる生産性向上技術の開発促進を図ること等が、今後のポイントになると思われる。
ただし、新商品に限らず、既存の発酵食品の中にも優れたものが本県には数多く存在することを、ここで忘れてはならないであろう。例えば、本県伝統の「寒麹」は、食材の旨みを引き上げる機能で今人気の「塩麹」以上との声価も高く、また、横手の甘酒は必須アミノ酸とビタミン類を豊富に含み、新陳代謝促進や疲労回復に効果のある、いわば「伝統サプリメント」でもある。このように、高い付加価値を持ちながら商品としてはこれまで顧みられることの比較的少なかった食品が、まだ身近に多く残っている。これらについて再発掘を試みるとともに、改良を施すことで付加価値の増嵩を図るといった工夫等も、今後は有効であろう。
ただし、新商品に限らず、既存の発酵食品の中にも優れたものが本県には数多く存在することを、ここで忘れてはならないであろう。例えば、本県伝統の「寒麹」は、食材の旨みを引き上げる機能で今人気の「塩麹」以上との声価も高く、また、横手の甘酒は必須アミノ酸とビタミン類を豊富に含み、新陳代謝促進や疲労回復に効果のある、いわば「伝統サプリメント」でもある。このように、高い付加価値を持ちながら商品としてはこれまで顧みられることの比較的少なかった食品が、まだ身近に多く残っている。これらについて再発掘を試みるとともに、改良を施すことで付加価値の増嵩を図るといった工夫等も、今後は有効であろう。
(3)売る努力
「売る努力」の面については、ブランド化の取組の重要性が一般に叫ばれるが、これについては先の長野県の例も一つ参考になるように思われる。ここでは、「野沢菜漬け」や「わさび漬け」等の漬物の販促PR事業を「温泉観光」と絡め長年推進してきた歴史があり、その間の取組努力の蓄積が、知名度アップと土産品としての安定需要をもたらしたものと伝えられる。また、発酵関連からは外れるが、今や本県ブランド食品の代名詞ともなった「キリタンポ」について例を引くと、全国的に知られるようになった契機は、昭和36年度の秋田国体前後から県をあげ取り組んだ「食の秋田」PR運動にあったと言われる。以降、インターハイや各種イベント開催の都度、ジュンサイやトンブリ等と併せ繰り返し全国への情報発信に努め、漸く現在の知名度を獲得するに至ったものである。
このように食品のブランド化を進めるに際しては、事業内容の工夫はもとより、それに併せた販売・PR努力の不断の積み重ねが不可欠である。目下、本県が進める「いぶりがっこ」の拡販計画その他についても、将来に繋がる成果を期すためには、商品性の改善等とともに「売る努力」をさらに尽くすことが求められよう。
このように食品のブランド化を進めるに際しては、事業内容の工夫はもとより、それに併せた販売・PR努力の不断の積み重ねが不可欠である。目下、本県が進める「いぶりがっこ」の拡販計画その他についても、将来に繋がる成果を期すためには、商品性の改善等とともに「売る努力」をさらに尽くすことが求められよう。
5 最後に
発酵食品は、その歴史的経緯から地域の風土色を濃く帯びるものが多い。大量生産品の流通増で地域性や伝統性が全般に薄れつつある中で、最近はこのローカル性の価値が逆に見直される傾向にあり、このため発酵食品についても観光及び伝統文化と一体のフレームで、地域がPRに注力するケースも増えている。もとより本県でも行政や地域団体等が同様の観点から取組を進めているほか、各企業も観光事業と一層連携しての拡販の方途を模索している。因みにその関連での好例として、伝統製法と品質へのこだわりというコンセプトを地域観光に連携させ、事業拡大を続ける安藤醸造店のような取組もみられる(本誌8月号「注目企業」の記事参照)。
以上のように、発酵食品による産業振興については様々な方面からのアプローチが続いている。発酵文化は本県の強みの一つとする処だけに、各事業が順調に進展し、ひいてはそれらが地域活性化を牽引する一層大きな役割を担うことになるよう期待したい。
以上のように、発酵食品による産業振興については様々な方面からのアプローチが続いている。発酵文化は本県の強みの一つとする処だけに、各事業が順調に進展し、ひいてはそれらが地域活性化を牽引する一層大きな役割を担うことになるよう期待したい。
(高橋 正毅)