機関誌「あきた経済」
県内経済(1月号)
県内経済は、足踏み状態が続いている
電子部品は高水準の生産が続いているが、機械金属が弱含みで推移しているほか、木材も普通合板で減産の動きが続いている。また、建設は、公共工事が減少傾向にあるほか、住宅着工も消費増税に伴う駆け込み需要の反動減が続いている。個人消費は、弱い動きとなっている。雇用情勢は、緩やかな改善が続いている。
産業別の動向では、電子部品の生産額は、スマートフォンの新製品向けの生産が好調に推移し、15か月連続で前年を上回った。機械金属の生産額は、公共工事関連や輸送機械が振るわず、5か月連続で前年を下回った。木材は、普通合板(10月)の荷動きが鈍化しており、減産の動きが続いている。公共工事請負額は、年度前半の前倒し執行の実施等に伴い、年度累計では前年を上回って推移しているものの、足もとは5か月連続で減少している。地元大手(12社)の建設受注額は官公庁工事、民間工事ともに増加し、4か月ぶりに増加した。住宅着工は消費増税に伴う駆け込み需要の反動減が続いている。個人消費は、大型小売店販売額(10月)が2か月連続で前年実績を下回り、自動車販売台数も8か月連続で前年を下回ったほか、家電販売も低調な推移となり、全体として弱い動きとなっている。
有効求人倍率は前月比0.01ポイント上昇し0.94倍となった。新規求人数は前年比1.5%増となり、8か月連続で増加した。事業主都合離職者数は6か月連続で前年を下回った。
企業倒産件数は5件、負債総額は17億8,500万円であった。
高水準の生産保つ
11月の生産額は前年比16.7%増と15か月連続で前年実績を上回った。依然として前年比二桁台の増加が続いており、高水準の生産を保っている。一部製品によっては前年に消費税増税の駆け込み需要が出始め高水準だった反動の影響から前年割れとなっているが、中国を中心としたスマートフォンの新製品向けの生産が好調に推移し全体を牽引している。
主力のセラミック・コンデンサで生産水準を一段引き上げほぼフル操業状態となっているほか、インダクタも堅調な生産を維持している。一方、これまで好調だった車載向けが中心の半導体や、産業機器向けの液晶画面は減少に転じた。
弱含み
11月の生産額は前年比17.3%減と5か月連続で前年実績を下回り、減少幅も前月に比べ拡大した。このところ公共工事関連の動きが鈍いほか、民需関連でウエイトの高い輸送機械が前年、消費税増税を控え大幅な増産が続いていた反動の影響が出ていることなどが響いている。
輸送機械以外の民需関連では、金型が設備投資需要の増加を受け大幅な増加に転じたものの、製鋼品で減少が続いたほか、建機部品も海外向けの需要が伸び悩んでいることなどから生産水準を引き下げている。また、公共工事関連も、橋梁・鉄骨や水道部品で減少が続いている。
普通合板は荷動きの鈍化が続き、減産の動きが継続している
全国的には、普通合板、製材品ともに、荷動きの鈍化が長引き生産調整が続いている。県内でも合板を中心に同様の動きが継続している。
10月の普通合板は、消費税増税による住宅着工の低調な状況が長引いていること等から、生産量は前年比14.0%減と6か月連続で減少した。出荷量も同13.1%減と8か月連続で減少し、つれて、在庫率も高水準となっている。
11月の製材品は、一部に県外向け受注の堅調な動きが続いたことから、生産量が前年比4.2%増と2か月連続で前年を上回り、出荷量も前年と同水準を維持している。
出荷量、2か月ぶりに前年比増加
11月の清酒出荷量は、県内向けが前年比2.5%減、県外向けは同1.7%増となり、全体では同0.2%増と2か月ぶりに前年を上回った。関東や関西などで本県の物産展が開催され需要が伸びたことが寄与した。県外向けの内訳では、東京が同3.6%減、東北5県は同7.2%減、北海道も同0.1%減となったが、その他が同21.3%増となった。
県は、昨年7月に制定した条例「秋田の酒による乾杯を推進する条例」の周知に向けポスターを作成し飲食店や宿泊施設に配布している。また、県酒造組合は、条例を浸透させ清酒の消費拡大を図るため乾杯用グラスを作成・販売している。
| 県内向け出荷量 | 751kl |
|---|---|
| 県外向け出荷量 | 1,464kl |
| 合計出荷量前年比 | +0.2% |
公共工事請負額、県・市町村等で減少し5か月連続の前年割れ
11月の公共工事請負金額は、国で増加したものの、県、市町村などが減少したことから、全体では前年比6.9%減の41億円と5か月連続の減少となった。
一方、当研究所調査による地元大手12社の新規受注実績は、官公庁工事と民間工事が前年9月以来の同時プラスとなり、前年比7.3%増の15億円と4か月ぶりに増加した。官公庁工事は、土木・建築とも小口受注が積み重なって前年比増加した。また、民間工事も、建築では県外の大口受注があったにもかかわらず前年比減少したが、土木に商業施設の造成工事があり大幅増となったことで、総体では前年を上回った。
負債総額、10か月ぶりに10億円超え
11月末の県内銀行の預金は、前月末比448億円増加し、前年比でも1.1%の増加となった。貸出金は、前月末比408億円減少したものの、前年比では5.1%増となった。貸出金は、依然として5%台を維持し、高水準で推移している。
11月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は5件(前年比2件減)、負債総額は17億8,500万円(同214.8%増)となった。倒産件数は24年11月以降、一桁台で推移し小康状態が続いているものの、負債総額は横手市のキャンピングカー製造業の負債額15億3,700万円が押し上げ、10か月ぶりに10億円を超えた。
着工戸数、前年比減少幅が拡大
11月の県内新設住宅着工戸数は、289戸(前年比89戸減、23.5%減)であった。総戸数は、主力である持家のほか、貸家も減少した影響から、10か月連続で前年を下回り、減少幅も前月に比べ拡大した。
利用関係別では、持家が166戸(前年比90戸減)、貸家が87戸(同13戸減)、分譲住宅が35戸(同13戸増)、給与住宅が1戸(同1戸増)となっている。
持家は9か月連続で前年を下回り、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減が依然として続いている。貸家は前年に秋田市などで一般向け賃貸住宅の着工が急伸した反動から5か月ぶりに前年を下回った。
地域別では、県北は貸家と分譲住宅の着工が増加し、前年を上回った。県央と県南は持家と貸家の着工が減少し、前年を下回った。
弱い動き
大型小売店販売は2か月連続で前年を下回り、新車販売も8か月連続で前年を下回ったほか、家電販売も低調な推移となり、全体としては弱い動きとなっている。
10月の大型小売店販売額は、前年比1.7%減となり、2か月連続で前年実績を下回った。衣料品は、前年より気温が高めに推移したため、秋冬物の販売が振るわず、前年実績を下回った。飲食料品も、円安の影響により食料品価格の値上げが相次いだことから販売が減少し、前年を下回った。
11月の新車販売台数は前年比11.8%減となり、4月以降、前年割れが続いている。内訳をみると、登録車は同16.6%減となり、2か月連続で二桁の減少となった。軽自動車は同7.7%減となり、8か月連続で前年を下回った。消費税増税前の駆け込み需要の反動が続いており、前月に比べ減少幅も拡大した。
家電販売は、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電に消費税増税前の駆け込み需要の反動が残り、全体としては低調に推移している。
有効求人倍率、前月比0.01ポイント上昇の0.94倍と高水準で推移
雇用情勢は、緩やかな改善が続いている。11月の有効求人倍率(全数)は前月より0.01ポイント上昇の0.94倍と、高水準での推移となった。
新規求人数は前年比1.5%増の7,015人と、8か月連続で増加した。産業別にみると、製造業では同17.4%減の616人となった。「食料品」で前月のギフト品関連の求人前倒しの反動により落ち込んだほか、「電子部品・デバイス・電子回路」でも派遣関連の求人が伸び悩んだ。一方、非製造業では同3.8%増の6,399人となった。「医療,福祉」で人手不足により大規模な求人があったほか、「運輸,郵便」でも農作物の収穫時期に合わせて求人が増加、「卸売,小売」もスーパーやコンビニで幅広い求人があった。
新規求職者数は前年比8.5%減の4,752人と、16か月連続で減少した。
事業主都合離職者数は前年比28.2%減の296人と、6か月連続で減少した。
地域別雇用状況をハローワーク管内別にみると、新規求人数(パートを含む常用)は県南で前年比減少したものの、県北、県央で増加した。有効求人倍率(臨時・季節を除く)は、県北が最も高く1.01倍、県央が0.97倍、県南が0.81倍であった。
秋田労働局が発表した「平成27年3月新規高校卒業者の職業紹介状況(11月末現在)」によると、県内就職希望者数は前年比2.7%増の1,624人に対し、県内求人数は同26.6%増の3,236人となった。その結果、求人倍率は1.99倍と前年に比べて0.37ポイント上昇した。求人を産業別にみると、製造業が最も多く901人、建設業が660人、サービス業が456人、卸売・小売業が370人と続いた。




