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「第29回国民文化祭・あきた2014」の経済波及効果

 当研究所では、文化の祭典「第29回国民文化祭・あきた2014」(実施期間:平成26年10月4日~11月3日・以下、「国文祭あきた」と表記)の経済波及効果を推計した。
 その結果、事業費支出による効果14億400万円と、観客および出演者の消費支出による効果119億5,100万円を合わせた全体の経済波及効果(総合効果)は133億5,500万円と算出された。

1 国民文化祭とは

 国民文化祭は、全国各地で様々な文化活動に親しんでいる個人や団体が、活動成果や実力を披露し、交流する文化の祭典で、昭和61年から毎年開催されている。第29回となる「国文祭あきた」では、全25市町村を会場に伝統芸能、音楽、舞踊・舞踏、文芸、美術など110の事業を実施した。このほか、併せて実施した市町村独自事業等を含めると232事業を数える。
 経済波及効果の推計では、秋田県や市町村の事業費支出による効果と、観客および出演者の消費支出による効果を対象とし、秋田県観光文化スポーツ部より提供を受けた資料に基づき、秋田県産業連関表(36部門、平成17年版:刊行された中で最新)を用いて計算を行った。

2 事業費支出による効果

(1)直接効果
 人件費を除く秋田県および市町村の開催にかかる事業費は15億2,200万円、これに部門ごとの県内自給率を乗じて算出した県内最終需要増加額(直接効果)は9億800万円となる。

(2)一次波及効果
 この直接効果が県内で支出されると関連する産業に次々に生産が波及していく。これを一次波及効果といい、3億100万円となった。

(3)二次波及効果
 直接効果、一次波及効果によって生産が増加すると雇用者の所得増加に結び付き、その増加分の一部が消費支出に回ることにより、さらに生産が誘発されていく。これを二次波及効果といい、1億9,500万円となった。

(4)総合効果
 以上の直接効果、一次波及効果、二次波及効果の合計は14億400万円となり、これが事業費支出による総合効果となる。
 総合効果の直接効果に対する倍率を示す波及効果倍率は1.55倍となった。

3 観客および出演者の消費支出による効果

(1)直接効果
 「国文祭あきた」の観客数(延べ人数)は、1,029,458人(うち県外137,500人)、出演者は28,849人(うち県外9,424人)であった。平成25年秋田県観光統計の平均訪問地点数、観光消費単価(10月~12月)に基づき推計すると、観客と出演者を合計した実人数は739,923人、その消費支出額は73億2,800万円と算出された。
 この消費支出額が観客および出演者の消費支出による直接効果となる。

(2)一次・二次波及効果、総合効果
 (1)の消費支出による一次波及効果は31億3,600万円、二次波及効果は14億8,700万円、総合効果は119億5,100万円と推計される。波及効果倍率は1.63倍となった。

4 全体の経済波及効果

(1)「国文祭あきた」による全体の効果
 事業費支出による効果と消費支出による効果を合計すると、「国文祭あきた」による全体の直接効果は82億3,600万円、一次波及効果は34億3,700万円、二次波及効果は16億8,200万円と推計され、これらを合計した全体の総合効果は133億5,500万円と算出された。波及効果倍率は1.62倍となった。

(2)産業別の経済波及効果
 産業別の経済波及効果をみると、運輸における効果が30億8,100万円(構成比23.1%)で最も大きく、続いて対個人サービス、商業など、消費による波及効果が大きい業種に多額の生産誘発効果がもたらされている。

(荒牧 敦郎)

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