平成26年度下期(26年10月~27年3月)における県内企業の業況判断(実績見込)は、業績全般BSIが26年度上期(26年4月~26年9月)に比べて、8ポイント上昇の▲9となった。県内企業の業況感は、国内の設備投資増加の動きを受けた機械金属の生産増、運輸での燃料価格下落による採算面での改善などを背景に、改善する結果となった。
平成27年度上期(27年4月~27年9月)の業績全般BSI(見通し)は、26年度下期に比べて6ポイント上昇の▲3となっている。酒造で生産・販売が堅調であることに加え、観光で東北六魂祭の開催による観光客の大幅増加などにより、県内企業の業況感は引き続き改善する見通しとなっている。
平成27年度の設備投資計画額は、生産が回復している電子部品での増加などを受けて、前年度実績比13.8%増の407億64百万円となる見込み。
円安の影響については、「とても良い影響がある」と「良い影響がある」が計15.7%にとどまったのに対し、「悪い影響がある」と「かなり悪い影響がある」が計36.8%となった。一方、燃料価格下落の影響については、「とても良い影響がある」と「良い影響がある」が計68.1%であったのに対し、「悪い影響がある」と「かなり悪い影響がある」が計6.1%にとどまった。円安と燃料価格下落が同時に進んだ状況の全体的影響については、「とても良い影響がある」と「良い影響がある」が計42.2%であったのに対し「悪い影響がある」と「かなり悪い影響がある」が計28.5%と、全体としては良い影響があるとの回答が多くなった。
機関誌「あきた経済」
第92回 県内企業動向調査(平成27年3月調査)
〈調査要領〉
1 調査方法 郵送によるアンケート方式
2 調査時期 平成27年3月上旬~中旬、調査は年2回(3月、9月)実施
3 調査対象 県内に事業所のある企業351社
4 回答企業数 269社(回答率76.6%)
5 調査項目
(1)業況判断 ~平成26年度下期(26年10月~27年3月)実績見込
平成27年度上期(27年4月~27年9月)見通し
(2)設備投資について ~26年度実績見込および27年度計画
設備投資の目的
設備投資の対象
(3)経営上の問題点
(4)平成27年4月入社の新卒採用について
(5)消費税増税に伴う駆け込み需要の反動について
(6)円安・燃料価格安の影響について
2 調査時期 平成27年3月上旬~中旬、調査は年2回(3月、9月)実施
3 調査対象 県内に事業所のある企業351社
4 回答企業数 269社(回答率76.6%)
5 調査項目
(1)業況判断 ~平成26年度下期(26年10月~27年3月)実績見込
平成27年度上期(27年4月~27年9月)見通し
(2)設備投資について ~26年度実績見込および27年度計画
設備投資の目的
設備投資の対象
(3)経営上の問題点
(4)平成27年4月入社の新卒採用について
(5)消費税増税に伴う駆け込み需要の反動について
(6)円安・燃料価格安の影響について
(注)BSI(ビジネス・サーベイ・インデックス)とは企業の業況判断を指数化したもの。「上昇」、「増加」等と回答した企業の割合から「下降」、「減少」等と回答した企業の割合を差し引いた値である。具体的には次のとおりに算出。
(「上昇」等と回答した企業数)-(「下降」等と回答した企業数)/回答企業数×100
(「上昇」等と回答した企業数)-(「下降」等と回答した企業数)/回答企業数×100
1 業況判断
(1)業績全般BSI
26/下(26年10月~27年3月)実績見込
全産業の業績全般BSI(前期比「上昇」割合-「下降」割合)をみると、平成26年度下期(以下、「26/下」)の実績見込は、平成26年度上期(以下、「26/上」)に比べ8ポイント上昇の▲9となった。26/上は▲17と前期比27ポイントの低下となっていただけに、業況感は大きく好転した形である。
産業別にみると、製造業では、電子部品で円安の影響などから生産が回復しているほか、機械金属でも国内的な設備投資の増加により生産が増加し、全体として8ポイント改善した。
非製造業でも、運輸で燃料価格の下落により採算性が大きく改善したほか、建設でも公共事業の発注が順調であることから好調を維持し、全体として同じく8ポイント改善した。なお、地域別(全産業)では、県南は▲21と14ポイント低下したものの、県北が▲2と18ポイント上昇、県央も▲6と13ポイント上昇した。
27/上(27年4月~27年9月)見通し
平成27年度上期(以下、「27/上」)の全般的な業績BSIは、全産業では26/下に比べて6ポイント上昇の▲3と、引き続き改善する見通し。
産業別にみると、製造業では、木材・木製品で建材等の販売状況が改善するほか、酒造でも高付加価値の商品を中心に販売が堅調であり、全体では11ポイント上昇の2と、改善基調が続く見通し。
非製造業でも、建設で資材価格の高騰などから業況がやや落ち込むものの、観光で東北六魂祭の開催により多くの集客が見込まれ業況が大きく回復し、全体では2ポイント上昇の▲6と改善が続く見通し。
なお、地域別(全産業)では、県北が▲7と5ポイント低下するものの、県央が1と7ポイント上昇、県南が▲6と15ポイントの上昇となった。
26/下(26年10月~27年3月)実績見込
全産業の業績全般BSI(前期比「上昇」割合-「下降」割合)をみると、平成26年度下期(以下、「26/下」)の実績見込は、平成26年度上期(以下、「26/上」)に比べ8ポイント上昇の▲9となった。26/上は▲17と前期比27ポイントの低下となっていただけに、業況感は大きく好転した形である。
産業別にみると、製造業では、電子部品で円安の影響などから生産が回復しているほか、機械金属でも国内的な設備投資の増加により生産が増加し、全体として8ポイント改善した。
非製造業でも、運輸で燃料価格の下落により採算性が大きく改善したほか、建設でも公共事業の発注が順調であることから好調を維持し、全体として同じく8ポイント改善した。なお、地域別(全産業)では、県南は▲21と14ポイント低下したものの、県北が▲2と18ポイント上昇、県央も▲6と13ポイント上昇した。
27/上(27年4月~27年9月)見通し
平成27年度上期(以下、「27/上」)の全般的な業績BSIは、全産業では26/下に比べて6ポイント上昇の▲3と、引き続き改善する見通し。
産業別にみると、製造業では、木材・木製品で建材等の販売状況が改善するほか、酒造でも高付加価値の商品を中心に販売が堅調であり、全体では11ポイント上昇の2と、改善基調が続く見通し。
非製造業でも、建設で資材価格の高騰などから業況がやや落ち込むものの、観光で東北六魂祭の開催により多くの集客が見込まれ業況が大きく回復し、全体では2ポイント上昇の▲6と改善が続く見通し。
なお、地域別(全産業)では、県北が▲7と5ポイント低下するものの、県央が1と7ポイント上昇、県南が▲6と15ポイントの上昇となった。
(2)売上高BSI
26/下実績見込
26/下の売上高BSI(前年同期比「増加」割合-「減少」割合)は、全産業で26/上に比べて14ポイント低下の▲19と悪化した。
27/上見通し
27/上の売上高BSIは、全産業で26/下に比べて15ポイント上昇の▲4と改善する見通し。
26/下実績見込
26/下の売上高BSI(前年同期比「増加」割合-「減少」割合)は、全産業で26/上に比べて14ポイント低下の▲19と悪化した。
27/上見通し
27/上の売上高BSIは、全産業で26/下に比べて15ポイント上昇の▲4と改善する見通し。
(3)経常利益BSI
26/下実績見込
26/下の経常利益BSI(前年同期比「増加」割合-「減少」割合)は、全産業で26/上に比べて2ポイント上昇の▲17とやや改善した。
27/上見通し
27/上の経常利益BSIは、全産業で26/下に比べて8ポイント上昇の▲9と引き続き改善する見通しである。
26/下実績見込
26/下の経常利益BSI(前年同期比「増加」割合-「減少」割合)は、全産業で26/上に比べて2ポイント上昇の▲17とやや改善した。
27/上見通し
27/上の経常利益BSIは、全産業で26/下に比べて8ポイント上昇の▲9と引き続き改善する見通しである。
(4)在庫水準BSI
26/下実績見込
26/下の在庫水準BSI(「過剰」割合-「不足」割合)は、全産業(建設・運輸・観光・サービスを除く)で26/上に比べて7ポイント上昇の11と、過剰感が強まった。
27/上見通し
27/上の在庫水準BSIは、全産業で26/下に比べて4ポイント低下の7と、過剰感が緩和する見通し。
26/下実績見込
26/下の在庫水準BSI(「過剰」割合-「不足」割合)は、全産業(建設・運輸・観光・サービスを除く)で26/上に比べて7ポイント上昇の11と、過剰感が強まった。
27/上見通し
27/上の在庫水準BSIは、全産業で26/下に比べて4ポイント低下の7と、過剰感が緩和する見通し。
(5)資金繰りBSI
26/下実績見込
26/下の資金繰りBSI(前期比「好転」割合-「悪化」割合)は、全産業で26/上に比べて4ポイント上昇の▲3と、改善した。
27/上見通し
27/上の資金繰りBSIは、全産業で26/下に比べて3ポイント上昇の0と改善が続く見通し。
26/下実績見込
26/下の資金繰りBSI(前期比「好転」割合-「悪化」割合)は、全産業で26/上に比べて4ポイント上昇の▲3と、改善した。
27/上見通し
27/上の資金繰りBSIは、全産業で26/下に比べて3ポイント上昇の0と改善が続く見通し。
(6)雇用BSI
26/下実績見込
26/下の雇用BSI(「過剰」割合-「不足」割合)は、全産業で26/上に比べて5ポイント低下の▲25と、不足感が強まった。
27/上見通し
27/上の雇用BSIは、全産業で26/下に比べて6ポイント上昇の▲19と、緩和するものの不足感が続く見通し。
26/下実績見込
26/下の雇用BSI(「過剰」割合-「不足」割合)は、全産業で26/上に比べて5ポイント低下の▲25と、不足感が強まった。
27/上見通し
27/上の雇用BSIは、全産業で26/下に比べて6ポイント上昇の▲19と、緩和するものの不足感が続く見通し。
2 設備投資の動向
回答企業269社における平成27年度の設備投資計画額は前年度実績比13.8%増の407億64百万円となっている。産業別にみると、製造業は同27.9%増の311億71百万円となる見込み。一方、非製造業は同16.2%減の95億93百万円となる見通し。
設備投資の主な目的(3つまでの複数回答)をみると、「既存設備の維持・更新」(80.0%)が最も多かった。以下、「生産能力の増強」(29.5%)、「合理化・省力化・効率化」(26.8%)と続いた。
設備投資の主な対象(3つまでの複数回答)をみると、「生産機械・工作機械」(42.6%)が最も多く、「車両」(30.5%)、「ソフトウエア」(22.6%)が上位を占めた。
設備投資の主な目的(3つまでの複数回答)をみると、「既存設備の維持・更新」(80.0%)が最も多かった。以下、「生産能力の増強」(29.5%)、「合理化・省力化・効率化」(26.8%)と続いた。
設備投資の主な対象(3つまでの複数回答)をみると、「生産機械・工作機械」(42.6%)が最も多く、「車両」(30.5%)、「ソフトウエア」(22.6%)が上位を占めた。
3 経営上の問題点について
併せて、最近の経営上の問題点について質問した(2つまでの複数回答)。
全産業で回答が最も多かったものは、「販売量(受注量)の減少」(35.4%)であった。次いで、「人材不足」(31.6%)となった。
産業別にみると、製造業では「販売量(受注量)の減少」(37.2%)、非製造業では「人材不足」(40.1%)が最も多かった。また、本県主力の電子部品では、「原材料・仕入価格の上昇」(38.1%)が最多であった。
経営上の問題点を時系列にみると、「販売量(受注量)の減少」が常態的に大きな問題とされているほか、近年では「人材不足」の割合も高まっている。緩やかながらも景気の回復が進むに従い、優れた人材の確保が次第に大きな問題になりだしている。
全産業で回答が最も多かったものは、「販売量(受注量)の減少」(35.4%)であった。次いで、「人材不足」(31.6%)となった。
産業別にみると、製造業では「販売量(受注量)の減少」(37.2%)、非製造業では「人材不足」(40.1%)が最も多かった。また、本県主力の電子部品では、「原材料・仕入価格の上昇」(38.1%)が最多であった。
経営上の問題点を時系列にみると、「販売量(受注量)の減少」が常態的に大きな問題とされているほか、近年では「人材不足」の割合も高まっている。緩やかながらも景気の回復が進むに従い、優れた人材の確保が次第に大きな問題になりだしている。
4 新卒採用の有無について
平成27年4月入社の新卒採用の有無については、「新卒採用がある」と回答した企業の割合は54.1%(145社)、一方、「新卒採用はない」は45.9%(123社)であった。
次に、「新卒採用がある」とした企業に対し、新卒採用者数が前年と比べて増加・減少したかを伺った。「増加」と回答した企業は全体の44.1%(64社)、一方「減少」は14.5%(21社)であった。また、「変わらない」は41.4%(60社)となった。
新卒採用者数増加の理由については、「退職者の増加に備えて」(38.7%)が最も多かった。減少の理由については、「採用基準に見合う学生の減少」(50.0%)が最多であった。
次に、「新卒採用がある」とした企業に対し、新卒採用者数が前年と比べて増加・減少したかを伺った。「増加」と回答した企業は全体の44.1%(64社)、一方「減少」は14.5%(21社)であった。また、「変わらない」は41.4%(60社)となった。
新卒採用者数増加の理由については、「退職者の増加に備えて」(38.7%)が最も多かった。減少の理由については、「採用基準に見合う学生の減少」(50.0%)が最多であった。
5 消費税増税による駆け込み需要の反動減
また、消費税増税による駆け込み需要の反動減の有無についても伺った。その結果、反動減が「あった」と回答した企業は41.5%(110社)、一方、「なかった」とした企業は58.5%(155社)であった。反動減により減少した売上高の割合は、「前年同期比▲6~10%」(50.0%)が最多で半数を占めた。
当初の想定と比較した反動減の減収幅について伺うと、「想定どおり」が46.4%で最も多かったものの、「想定よりも大きかった」も40.9%とかなりの回答割合を占めた。
また、反動減が落ち着いた(あるいは落ち着く)時期については、「27年4月以降」(24.6%)が最多で、「わからない」(20.5%)も次に多かった。当初の想定と比較した反動減が落ち着いた(あるいは落ち着く)時期については、「想定よりも遅かった」(47.0%)に対し、「想定よりも早かった」(8.0%)であった。消費税増税の影響が依然色濃く残っている企業は少なくない。
当初の想定と比較した反動減の減収幅について伺うと、「想定どおり」が46.4%で最も多かったものの、「想定よりも大きかった」も40.9%とかなりの回答割合を占めた。
また、反動減が落ち着いた(あるいは落ち着く)時期については、「27年4月以降」(24.6%)が最多で、「わからない」(20.5%)も次に多かった。当初の想定と比較した反動減が落ち着いた(あるいは落ち着く)時期については、「想定よりも遅かった」(47.0%)に対し、「想定よりも早かった」(8.0%)であった。消費税増税の影響が依然色濃く残っている企業は少なくない。
6 円安・燃料価格安の影響について
最後に、円安と燃料価格安の影響についても伺った。円安については、「とても良い影響がある」と「良い影響がある」が計15.7%にとどまったのに対し、「悪い影響がある」と「かなり悪い影響がある」が計36.8%となった。一方、燃料価格下落の影響については、「とても良い影響がある」と「良い影響がある」が計68.1%であったのに対し、「悪い影響がある」と「かなり悪い影響がある」が計6.1%にとどまった。
円安と燃料価格下落が同時に進んだ状況の全体的影響については、「とても良い影響がある」と「良い影響がある」が計42.2%であったのに対し「悪い影響がある」と「かなり悪い影響がある」が計28.5%と、全体としては良い影響があるとの回答が多くなった。また、同項目での経常利益に対する影響については、「50~100万円未満のプラス」とする回答が最多(14.5%)であった。
円安と燃料価格下落が同時に進んだ状況の全体的影響については、「とても良い影響がある」と「良い影響がある」が計42.2%であったのに対し「悪い影響がある」と「かなり悪い影響がある」が計28.5%と、全体としては良い影響があるとの回答が多くなった。また、同項目での経常利益に対する影響については、「50~100万円未満のプラス」とする回答が最多(14.5%)であった。
(片野 顕俊)