機関誌「あきた経済」
創業支援による移住促進の新たな動き
地方創生においては、首都圏から地方への人の流れを創り出すことが課題となっているが、本県において、地域に根ざした創業を支援することにより首都圏等からの移住を促進する新しい動きがみられる。本稿では、秋田県や五城目町で取り組んでいる「人と人のつながり」を活かした地方での創業支援による移住促進、地域活性化の動きについて紹介する。
1 創業支援による移住促進の動き
(1) 「地方創生」と地方へのひとの流れ
政府が打ち出した「まち・ひと・しごと創生」の政策では、「東京圏への人口の過度の集中を是正」することを1つの目的としている。その目的を達成するため、「地方における安定した雇用を創出する」ことや「地方への新しいひとの流れをつくる」ことを基本目標としている。
我が国では、長年に渡って人口の東京一極集中の状況が続いてきた。その最大の要因は、地方の若年層が進学、就職の際に地元を離れ、首都圏へ流出することである。したがって、「地方への新しいひとの流れをつくる」という目標を達成するためには、いかにして地方で若年層の受け皿となる雇用を確保するかがポイントであり、「まち・ひと・しごと創生法」に基づき現在進められている各地方自治体の人口ビジョン、総合戦略の策定に関しても、地域における産業振興、雇用の創出が重要な課題とされている。
(2) 本県における雇用確保の取組み
全国一人口減少のペースが速い本県においても、人口減少に歯止めをかけるためには若年層、壮年層の受け皿となる雇用の確保が最重要課題である。この課題解決のため、秋田県では長年に渡り企業誘致、創業支援など様々な取組みを行っている。その一例として、県商業貿易課が実施している「起業支援補助金(Aターン起業・移住起業枠)」がある。これは、県外在住者が本県にAターン又は移住して新規起業を目指す場合に、起業に要する経費の一部を最高200万円まで助成するものである。
政府が打ち出した「まち・ひと・しごと創生」の政策では、「東京圏への人口の過度の集中を是正」することを1つの目的としている。その目的を達成するため、「地方における安定した雇用を創出する」ことや「地方への新しいひとの流れをつくる」ことを基本目標としている。
我が国では、長年に渡って人口の東京一極集中の状況が続いてきた。その最大の要因は、地方の若年層が進学、就職の際に地元を離れ、首都圏へ流出することである。したがって、「地方への新しいひとの流れをつくる」という目標を達成するためには、いかにして地方で若年層の受け皿となる雇用を確保するかがポイントであり、「まち・ひと・しごと創生法」に基づき現在進められている各地方自治体の人口ビジョン、総合戦略の策定に関しても、地域における産業振興、雇用の創出が重要な課題とされている。
(2) 本県における雇用確保の取組み
全国一人口減少のペースが速い本県においても、人口減少に歯止めをかけるためには若年層、壮年層の受け皿となる雇用の確保が最重要課題である。この課題解決のため、秋田県では長年に渡り企業誘致、創業支援など様々な取組みを行っている。その一例として、県商業貿易課が実施している「起業支援補助金(Aターン起業・移住起業枠)」がある。これは、県外在住者が本県にAターン又は移住して新規起業を目指す場合に、起業に要する経費の一部を最高200万円まで助成するものである。
2 田舎発、事業創出プログラム
(1) 創業支援の新しい動き
これまで継続してきた企業・生産拠点の誘致や起業支援の施策に加え、最近、地域に根ざした「土着ベンチャー(ドチャベン)」の創業を支援することにより県内への移住を促進しようとする新しい施策が打ち出されている。
(2) プログラムの内容
県人口問題対策課では、「田舎発、事業創出プログラム」と銘打ち、本県での起業と移住を促進する「起業家育成プログラム」を実施する。対象者は、本県での居住歴が36か月未満で、横手市または五城目町に移住し起業する意思のある人であり、事業内容は次のとおりである。
(3) プログラムの目的、特徴
このプログラムの誕生に至った発想は次のようなことであった。
現在、地方での起業をテーマとする雑誌が出版されるなど、大企業に勤務する人を含め首都圏等に住む30代位の年代で地方での起業を考える人が増加している。一方で、地方においても様々な起業支援が行われているものの、実際に起業するとなると、その地域のイメージが分からないなどの問題点がある。そこで、起業支援の熱意のある市町村と提携し、地域住民との交流などで地域の環境を実際に体験してもらうこと等により、地方での起業を実現するための支援を充実させるプログラムが設計された。
起業にかかるビジネススクールやビジネスプランコンテストは、従来も全国の自治体等で行われているが、本プログラムの特徴は、起業経験者や支援機関(秋田銀行など)等のメンターによるきめ細かな指導や、起業の場となる自治体(横手市、五城目町)との連携により地域の環境をより詳しく知ってもらうことにある。
県人口問題対策課では、本プログラムに関して「地域資源を活かし地域のためになりたいと考える人が、人と人とのつながりにより秋田に集まることを目指している」と説明している。
これまで継続してきた企業・生産拠点の誘致や起業支援の施策に加え、最近、地域に根ざした「土着ベンチャー(ドチャベン)」の創業を支援することにより県内への移住を促進しようとする新しい施策が打ち出されている。
(2) プログラムの内容
県人口問題対策課では、「田舎発、事業創出プログラム」と銘打ち、本県での起業と移住を促進する「起業家育成プログラム」を実施する。対象者は、本県での居住歴が36か月未満で、横手市または五城目町に移住し起業する意思のある人であり、事業内容は次のとおりである。
a オリエンテーション
東京と秋田で、プログラム全体の説明会を実施する。その際、横手市、五城目町からも支援内容等のプレゼンテーションを行う。 b セミナー・現地プログラム
本年の7月から9月にかけ、東京、秋田、仙台およびサテライト会場等において、地方での起業に関して学ぶ全6回のローカルビジネススクールを開催する。
また、現地プログラムとして、参加者が実際に横手市や五城目町に足を運び地元の住民と触れ合うことなどにより、この地で実際に起業できるかという感触を確かめる。
c ビジネスプランコンテスト
11月下旬、横手市・五城目町で起業するベンチャー向けのビジネスプランコンテストを開催し、各地域の1位に賞金100万円を贈呈する。
d 起業家育成プログラム
ビジネスプランコンテストで選抜されたチーム(各地域1~3チーム程度)が参加するプログラムであり、平成28年3月にかけて実施される。地方で起業した経営者など起業の各分野に精通したメンター(指導者、助言者)による指導により課題を一つ一つ解決することや、各自治体におけるオフィスの優遇提供等を通じて、事業開発・起業準備を支援する。
東京と秋田で、プログラム全体の説明会を実施する。その際、横手市、五城目町からも支援内容等のプレゼンテーションを行う。 b セミナー・現地プログラム
本年の7月から9月にかけ、東京、秋田、仙台およびサテライト会場等において、地方での起業に関して学ぶ全6回のローカルビジネススクールを開催する。
また、現地プログラムとして、参加者が実際に横手市や五城目町に足を運び地元の住民と触れ合うことなどにより、この地で実際に起業できるかという感触を確かめる。
c ビジネスプランコンテスト
11月下旬、横手市・五城目町で起業するベンチャー向けのビジネスプランコンテストを開催し、各地域の1位に賞金100万円を贈呈する。
d 起業家育成プログラム
ビジネスプランコンテストで選抜されたチーム(各地域1~3チーム程度)が参加するプログラムであり、平成28年3月にかけて実施される。地方で起業した経営者など起業の各分野に精通したメンター(指導者、助言者)による指導により課題を一つ一つ解決することや、各自治体におけるオフィスの優遇提供等を通じて、事業開発・起業準備を支援する。
(3) プログラムの目的、特徴
このプログラムの誕生に至った発想は次のようなことであった。
現在、地方での起業をテーマとする雑誌が出版されるなど、大企業に勤務する人を含め首都圏等に住む30代位の年代で地方での起業を考える人が増加している。一方で、地方においても様々な起業支援が行われているものの、実際に起業するとなると、その地域のイメージが分からないなどの問題点がある。そこで、起業支援の熱意のある市町村と提携し、地域住民との交流などで地域の環境を実際に体験してもらうこと等により、地方での起業を実現するための支援を充実させるプログラムが設計された。
起業にかかるビジネススクールやビジネスプランコンテストは、従来も全国の自治体等で行われているが、本プログラムの特徴は、起業経験者や支援機関(秋田銀行など)等のメンターによるきめ細かな指導や、起業の場となる自治体(横手市、五城目町)との連携により地域の環境をより詳しく知ってもらうことにある。
県人口問題対策課では、本プログラムに関して「地域資源を活かし地域のためになりたいと考える人が、人と人とのつながりにより秋田に集まることを目指している」と説明している。
3 五城目町地域活性化支援センターを核とした取組み
(1) 活性化支援センターによる企業誘致
人と人のつながりによる地域活性化に関し、最近、五城目町の取組みが注目を集めている。
五城目町は、平成25年3月に閉校した馬場目小学校、同月に閉園した馬場目保育園を活用し五城目町地域活性化支援センターを開設した。
五城目町では、旧小学校校舎の利用について「夢のある活用方法」という観点から検討し、雇用が生まれる場所として、新たな事業創出の支援、地域産業並びにコミュニティ活動の育成、振興に役立てることを目的として平成25年10月に同センターを設置した。
企業誘致を担当する五城目町まちづくり課では、比較的立地場所を選ばないIT企業を中心に誘致を行っていたが、活性化支援センターへの事業所誘致に関しては、業種にこだわらず、現在は五城目町内、秋田市内や東京から誘致した製造業、情報関連企業、広告代理業など6事業者・団体が入居している。
入居企業の中には東京に本社を置く教育・経営コンサルティング企業のハバタク株式会社がある。同社の入居やIT企業役員、地域活性化コンサルタントなどの人と人との結びつきが五城目町の地域活性化に大きな役割を果たすことになった。ハバタク社長の丑田俊輔氏は奥様が秋田県出身という縁もあり、会社本体を東京に残して家族で五城目町に移住し、活性化支援センターにハバタクラボを設立した。同社は前述の県人口問題対策課の「起業家育成プログラム」では委託を受け事業運営を担当している。
また、五城目町まちづくり課はIT企業・団体等とのつながり等から、岩手県に本社を置きまちづくりやITコーディネート事業を行う株式会社CCL取締役の原亮氏や、高知大学地域協働学部専任講師を務め地域づくりの支援を行っている須藤順氏との人的なつながりを築いた。このつながりの中から地域の住民と一体になって地域を盛り上げる様々な動きが生まれた。
(2) いなかソン
「地域の宝をITで掘り起こせ!田舎×ITサービス開発ワークショップ」(略称「いなかソン」)というプログラムは、株式会社CCLが中心となり活性化支援センターで開催された。
このプログラムは、県内外のIT技術者・デザイナー、まちづくり関係者が五城目町に集まり、1日目はまち歩き、地域住民との交流会等を行い地域の状況を知ったうえで、2日目は、グループに分かれ、IT技術者は地域の課題をITで解決するためのプログラムを考えプロトタイプ(試作品)を作成、まちづくり関係者は地域課題を解決するアイデアをまとめて発表するというイベントである。
「いなかソン」で発表されたITサービスとしては、例えば、馬場目川の渓流釣りができる場所をウェブ上に記載し、実際に釣りをする人に情報を投稿してもらうサービスがある。また、まちづくりのアイデアの例としては、「朝市という素材を使った観光ツアープログラム」が発表された。このプログラムは、観光客自身が山菜の採取や朝市での販売、料理教室での調理などの体験が可能なプログラムである。
1回目の「いなかソン」は、平成25年11月に2日間の日程で開催され、秋田県内だけでなく、東北、首都圏、岐阜県などから35名が参加した。また、平成26年3月には「いなかソン」第2弾が実施された。
人と人のつながりによる地域活性化に関し、最近、五城目町の取組みが注目を集めている。
五城目町は、平成25年3月に閉校した馬場目小学校、同月に閉園した馬場目保育園を活用し五城目町地域活性化支援センターを開設した。
五城目町では、旧小学校校舎の利用について「夢のある活用方法」という観点から検討し、雇用が生まれる場所として、新たな事業創出の支援、地域産業並びにコミュニティ活動の育成、振興に役立てることを目的として平成25年10月に同センターを設置した。
企業誘致を担当する五城目町まちづくり課では、比較的立地場所を選ばないIT企業を中心に誘致を行っていたが、活性化支援センターへの事業所誘致に関しては、業種にこだわらず、現在は五城目町内、秋田市内や東京から誘致した製造業、情報関連企業、広告代理業など6事業者・団体が入居している。
入居企業の中には東京に本社を置く教育・経営コンサルティング企業のハバタク株式会社がある。同社の入居やIT企業役員、地域活性化コンサルタントなどの人と人との結びつきが五城目町の地域活性化に大きな役割を果たすことになった。ハバタク社長の丑田俊輔氏は奥様が秋田県出身という縁もあり、会社本体を東京に残して家族で五城目町に移住し、活性化支援センターにハバタクラボを設立した。同社は前述の県人口問題対策課の「起業家育成プログラム」では委託を受け事業運営を担当している。
また、五城目町まちづくり課はIT企業・団体等とのつながり等から、岩手県に本社を置きまちづくりやITコーディネート事業を行う株式会社CCL取締役の原亮氏や、高知大学地域協働学部専任講師を務め地域づくりの支援を行っている須藤順氏との人的なつながりを築いた。このつながりの中から地域の住民と一体になって地域を盛り上げる様々な動きが生まれた。
(2) いなかソン
「地域の宝をITで掘り起こせ!田舎×ITサービス開発ワークショップ」(略称「いなかソン」)というプログラムは、株式会社CCLが中心となり活性化支援センターで開催された。
このプログラムは、県内外のIT技術者・デザイナー、まちづくり関係者が五城目町に集まり、1日目はまち歩き、地域住民との交流会等を行い地域の状況を知ったうえで、2日目は、グループに分かれ、IT技術者は地域の課題をITで解決するためのプログラムを考えプロトタイプ(試作品)を作成、まちづくり関係者は地域課題を解決するアイデアをまとめて発表するというイベントである。
「いなかソン」で発表されたITサービスとしては、例えば、馬場目川の渓流釣りができる場所をウェブ上に記載し、実際に釣りをする人に情報を投稿してもらうサービスがある。また、まちづくりのアイデアの例としては、「朝市という素材を使った観光ツアープログラム」が発表された。このプログラムは、観光客自身が山菜の採取や朝市での販売、料理教室での調理などの体験が可能なプログラムである。
1回目の「いなかソン」は、平成25年11月に2日間の日程で開催され、秋田県内だけでなく、東北、首都圏、岐阜県などから35名が参加した。また、平成26年3月には「いなかソン」第2弾が実施された。
4 シェアビレッジによる古民家活用
(1) 誕生のきっかけ
活性化支援センターを拠点とする人と人との結びつきからは、全国的に注目を集める古民家再生プロジェクトが生まれている。
このプロジェクトは、ハバタクの丑田社長や、五城目町地域おこし協力隊の柳澤龍氏、大潟村松橋ファームの松橋拓郎氏、男前農家集団トラ男を結成した北秋田市出身の武田昌大氏の交流から誕生した。
地域資源の活用に取り組んでいる地域おこし協力隊の柳澤氏は、町内で一軒の古民家を見つけたが、家主に聞くと「近いうちに解体する」という意向だった。もったいないと感じた柳澤氏が中心となり、古民家再生プロジェクト「シェアビレッジ」が開始された。
(2) 「シェアビレッジ」の内容
これは「村があるから村民がいるのではなく、村民がいるから村ができる」という考えのもと、多くの人で一つの家を支える仕組みを構築し、消滅の危機にある古民家を村に見立てて再生させていくプロジェクトである。「村長」には武田昌大氏が就任した。
事業運営に必要な資金は、クラウドファンディングの仕組みを活用して確保した。「クラウドファンディング」とは、資金を調達したい起業家などが、プロジェクトの目的、内容、資金の必要額、出資に対する見返りなどの情報をネット等に掲載し、プロジェクトに共感した複数の支援者が一定期間内に少額ずつの資金を出資・支援し、起業家等は集まった資金を元手にプロジェクトを実行する仕組みである。
「シェアビレッジ」では、「年貢」と呼ばれる年会費3,000円を払えば誰でも「村民」になることができる。村民になると自分の好きな時に村へ行き、1泊3,000円で村に宿泊することができる。また、村民は田舎体験をしたり、村民同士で楽しんだり、のどかな環境で仕事や制作活動を行うことができる。
村に行くことが難しい村民でも都市部で集まることができる飲み会「寄合(よりあい)」を定期的に開催し、村について話し合う場とする。また、都市部の村民たちが実際に自分たちの村に遊びに行くため、お花見、蛍鑑賞、紅葉狩り、囲炉裏で鍋を囲むなど様々な企画を「里帰(さとがえり)」として実施する。村民は「寄合」、「里帰」などの各種イベント・体験プログラムに1,500円~3,000円程度で参加することができる。
(3) 村民募集の実績
第1期募集期間の平成27年2月27日から4月17日までの間に、39都道府県から862人がクラウドファンディングに応じ「村民」となった。関東圏からの参加が522人、うち東京は約3百人であった。集まった金額は571万7千円であり、当初目標の100万円を大きく上回った。
活性化支援センターを拠点とする人と人との結びつきからは、全国的に注目を集める古民家再生プロジェクトが生まれている。
このプロジェクトは、ハバタクの丑田社長や、五城目町地域おこし協力隊の柳澤龍氏、大潟村松橋ファームの松橋拓郎氏、男前農家集団トラ男を結成した北秋田市出身の武田昌大氏の交流から誕生した。
地域資源の活用に取り組んでいる地域おこし協力隊の柳澤氏は、町内で一軒の古民家を見つけたが、家主に聞くと「近いうちに解体する」という意向だった。もったいないと感じた柳澤氏が中心となり、古民家再生プロジェクト「シェアビレッジ」が開始された。
(2) 「シェアビレッジ」の内容
これは「村があるから村民がいるのではなく、村民がいるから村ができる」という考えのもと、多くの人で一つの家を支える仕組みを構築し、消滅の危機にある古民家を村に見立てて再生させていくプロジェクトである。「村長」には武田昌大氏が就任した。
事業運営に必要な資金は、クラウドファンディングの仕組みを活用して確保した。「クラウドファンディング」とは、資金を調達したい起業家などが、プロジェクトの目的、内容、資金の必要額、出資に対する見返りなどの情報をネット等に掲載し、プロジェクトに共感した複数の支援者が一定期間内に少額ずつの資金を出資・支援し、起業家等は集まった資金を元手にプロジェクトを実行する仕組みである。
「シェアビレッジ」では、「年貢」と呼ばれる年会費3,000円を払えば誰でも「村民」になることができる。村民になると自分の好きな時に村へ行き、1泊3,000円で村に宿泊することができる。また、村民は田舎体験をしたり、村民同士で楽しんだり、のどかな環境で仕事や制作活動を行うことができる。
村に行くことが難しい村民でも都市部で集まることができる飲み会「寄合(よりあい)」を定期的に開催し、村について話し合う場とする。また、都市部の村民たちが実際に自分たちの村に遊びに行くため、お花見、蛍鑑賞、紅葉狩り、囲炉裏で鍋を囲むなど様々な企画を「里帰(さとがえり)」として実施する。村民は「寄合」、「里帰」などの各種イベント・体験プログラムに1,500円~3,000円程度で参加することができる。
(3) 村民募集の実績
第1期募集期間の平成27年2月27日から4月17日までの間に、39都道府県から862人がクラウドファンディングに応じ「村民」となった。関東圏からの参加が522人、うち東京は約3百人であった。集まった金額は571万7千円であり、当初目標の100万円を大きく上回った。
5 まとめ
現在は五城目町活性化支援センターに入居した事業所等の常駐職員は数名程度であり、当初目的とした「雇用が生まれる」という面では、まだ大きな成果とはなっていない。ただし、同町まちづくり課の説明によると、活性化支援センターを訪問する人は年間3千人、地域づくり協力隊のメンバーに会いに来る人は同5百人に上る。また、活性化支援センター等のフェイスブックに「いいね!」をする人数が増加し、「移住」をテーマとする雑誌でも町での取組みが全国に紹介されるなど、五城目町の交流人口、情報発信の面では、大きな効果が現れている。
企業誘致に関しては、規模の大きな企業、工場の誘致は雇用など地域経済に与える効果が大きい。同時に、人と人のつながりを活かした地域に根ざした創業の支援は、情報発信や地域住民を巻き込んだ活性化の面で地域に大きなインパクトを与え、継続的な移住促進の契機となる。人と人のつながりを活かした移住促進の動きに今後も注目していきたい。
(荒牧 敦郎)
企業誘致に関しては、規模の大きな企業、工場の誘致は雇用など地域経済に与える効果が大きい。同時に、人と人のつながりを活かした地域に根ざした創業の支援は、情報発信や地域住民を巻き込んだ活性化の面で地域に大きなインパクトを与え、継続的な移住促進の契機となる。人と人のつながりを活かした移住促進の動きに今後も注目していきたい。