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冬のボーナス支給見通し

 平成27年冬のボーナス支給見通しについて、「支給する」と回答した企業の割合は26年冬の調査を4.3ポイント上回る59.3%となった。一方、「支給しない」とする企業は1.2ポイント低下の9.3%となった。
 1人当たり支給額については全体の69.0%が「変わらない」と答えたものの、「増加する」と答えた企業が増加し、一方で「減少する」と答えた企業が減少したため、「ボーナスDI」は前回調査比7ポイント上昇の12に改善し、ボーナス支給に前向きな姿勢を示す傾向が強まった。

ボーナス支給予定企業の割合は59.3%

 当研究所では、平成27年冬のボーナス支給見通しについて、県内の347事業所を対象にアンケート調査を行った。
 回答のあった290社のうち、「支給する」とした企業は59.3%(172社)で、26年冬の調査(以下、「前回調査」)と比べて4.3ポイント上昇した。18年に調査方法を変更して以来、19年冬(61.5%)に次いで2番目に高くなった。「支給しない」は9.3%(27社)で、前回調査と比べて1.2ポイント低下し、初めて1割を下回った。「未定」は31.4%(91社)で、同3.1ポイント低下した。

1人当たりの平均支給額、「変わらない」が69.0%

 冬のボーナスを「支給する」と回答した企業の1人当たり支給額の見通し(前年比増減)をみると、「変わらない」が最も多く、69.0%(前回調査比5.7ポイント低下)を占めた。「増加する」は同6.3ポイント上昇し21.6%となった。一方、「減少する」と答えた企業は同0.7ポイント低下の9.4%となった。

ボーナスDI

 この結果、1人当たりの支給額の増減見通しについて、「増加する」と回答した企業の割合から「減少する」とした企業の割合を差し引いた「ボーナスDI」は前回調査に比べて7ポイント上昇し、12となった。ボーナスDIは、平成24年以降、4年連続で改善し、また、18年に調査方法を改め、DI調査となってから最も高くなった。
 産業別にみると、製造業は前回調査比6ポイント上昇の9と改善したほか、非製造業も同8ポイント上昇の15と改善する結果となった。

業種別DI

製造業
 製造業の業種別DIでは、「酒造」で付加価値の高い日本酒の販売が堅調となったことから前回調査比19ポイント上昇の「30」と大きく改善した。また、生産の国内回帰にともない受注・生産ともに好調な「衣服・縫製」を含む「その他製造業」では、同10ポイント上昇の「10」と改善したほか、「機械金属」でも同7ポイント上昇の「27」となった。一方、「電子部品」は、新興国での販売不振、コスト増の影響から同11ポイント低下の「△19」と悪化した。また、市況の低迷が続く「木材・木製品」でも同25ポイント低下の「0(ゼロ)」となり、大きく落ち込んだ。

非製造業
 非製造業では、東北六魂祭などイベント開催による効果から需要が増加した「観光」や、マイナンバー制度導入によるシステム需要が増加した「情報サービス」を含む「その他非製造業」で、前回調査比26ポイント上昇の「33」と大きく改善した。また、公共工事の受注が安定している「建設」でも同3ポイント上昇の「13」となった。一方、商品価格の上昇などから個人消費の冷え込みが続く「卸・小売」では、同3ポイント低下の「3」となった。

【参考】
 1人当たりの平均支給予定金額および平均支給月数
 併せて、1人当たりの平均支給予定金額および平均支給月数、支給人数をうかがい、以下の企業より回答をいただいた。

①1人当たりの平均支給予定金額は31.2万円
 回答いただいた55社(うち、製造業28社、非製造業27社)の1人当たりのボーナス支給予定金額(加重平均)は312,400円で、前年比で大幅にアップした昨年冬(315,900円)と比べて3,500円の減少となった。なお、最高は76.5万円、最低は3.7万円となった。昨年に比べ、平均支給予定金額は減少したものの、最高額、最低額ともに上昇し、県内企業のボーナス支給金額の底上げがはかられたことがうかがえる。

②1人当たりの平均支給月数は1.40か月
 回答いただいた67社(うち、製造業36社、非製造業31社)の1人当たりの平均支給月数(単純平均)は1.40か月となり、昨年冬(1.46か月)と比べて0.06か月の減少となった。なお、最高は3.8か月、最低が0.3か月であった。
 加重平均:ボーナス支給人数を考慮した平均
 単純平均:1企業当たりの平均

まとめ

 27年冬のボーナス支給見通しは、業況の改善にともない、ボーナスを「支給する」企業の割合が前年に比べて増加し、支給予定企業の割合は、過去10年間で二番目に高くなった。また、1人当たりのボーナス支給額が「増加する」とした企業が2割を超え、ボーナス支給に前向きな姿勢を示す傾向が強まった。
(佐藤 由深子)
あきた経済

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