機関誌「あきた経済」
道の駅に期待すること-新企画「道の駅だより」の開始にあたって-
本誌では、今月号より県内の道の駅の活動状況等を広く紹介する新企画「道の駅だより」を隔月で掲載していく。道の駅は、平成5年の制度創設以来、全国で1,079か所(平成27年11月5日現在)に広がり、地元特産品の販売や観光情報の提供などにより、地域経済を活性化させる重要な役割を担っている。また、本年1月には、国土交通省が地方創生の核となる道の駅を重点的に支援する「重点『道の駅』制度」を創設するなど、新たな注目を集めている。本稿では、「道の駅だより」の開始にあたって、道の駅の概要等についてまとめてみた。
1 道の駅制度創設の経緯
道の駅のはじまりは、平成2年1月に広島市で開催された「中国地域づくり交流会」のシンポジウムのなかで、「鉄道に駅があるように、道路にも駅があってもよいのではないか」という提案がなされたことがきっかけとなった。3年10月から翌年4月にかけて、山口県、岐阜県、栃木県の3つの地域において仮設の休憩・案内施設を利用した道の駅の社会実験が行われ、「地域のコミュニティが活性化された」「地元の特産物をPRすることができた」等、様々な効果が報告された。
この実験結果を踏まえ、国土交通省では5年度より始まった第11次道路整備5か年計画の施策の一環として道の駅の設置を推進し、初年度は全国で122か所の道の駅が登録された。その後も登録数は順調に伸び続け、27年11月5日現在の登録数は1,079か所となっている。また、全国の道の駅の年間購買者数は2億1,000万人、年間売上高は約2,100億円に上る(平成24年度)。この売上高は大手コンビニチェーンに匹敵する規模にまで拡大している。
この実験結果を踏まえ、国土交通省では5年度より始まった第11次道路整備5か年計画の施策の一環として道の駅の設置を推進し、初年度は全国で122か所の道の駅が登録された。その後も登録数は順調に伸び続け、27年11月5日現在の登録数は1,079か所となっている。また、全国の道の駅の年間購買者数は2億1,000万人、年間売上高は約2,100億円に上る(平成24年度)。この売上高は大手コンビニチェーンに匹敵する規模にまで拡大している。
2 道の駅とは
道の駅は、ドライバーが24時間無料で利用できる駐車場やトイレなどの「休憩機能」、道路や観光、緊急医療など地域の情報を提供する「情報発信機能」、文化教養施設、観光レクリエーション施設などの地域振興施設で地域との交流を図る「地域連携機能」の3つの機能を基本コンセプトとし、これらの機能による相乗効果から「地域とともにつくる個性豊かな賑わいの場」を創出することが求められている。例えば、道の駅には、特産物販売所、温泉施設、展示施設、キャンプ場などが設置されているが、そうした施設の特徴を活かしながら、趣向を凝らしたイベントを開催し、利用者と地域の人々がふれあう賑わいの場を提供している。
また、近年はこれらの機能に加えて、災害時における「防災拠点機能」への期待が高まっており、一部の道の駅には災害時の「避難所」、物資の輸送拠点等を想定した「非常用電源」「非常用トイレ」「貯水タンク」などが整備されている。東日本大震災の際に、道の駅が災害復旧に大きな役割を果たしたことは記憶に新しい。
また、近年はこれらの機能に加えて、災害時における「防災拠点機能」への期待が高まっており、一部の道の駅には災害時の「避難所」、物資の輸送拠点等を想定した「非常用電源」「非常用トイレ」「貯水タンク」などが整備されている。東日本大震災の際に、道の駅が災害復旧に大きな役割を果たしたことは記憶に新しい。
3 重点「道の駅」制度
本年1月、国土交通省は道の駅を、経済の好循環を地方に行き渡らせる成長戦略の強力なツールと位置づけ、地方創生の核となる特に優れた取り組みを行っている道の駅を選定し、重点的に支援を行う「重点『道の駅』制度」を立ち上げた。重点「道の駅」のタイプは、地域外から活力を呼ぶ「ゲートウェイ型」と地域の元気を創る「地域センター型」の2種類に大別され、「全国モデル」6か所、「重点」35か所、「重点候補」49か所が選定された。
「ゲートウェイ型」は、地域の魅力ある観光資源を前面に打ち出し、国内外の観光客を取り込み、地域の活性化につなげている道の駅を指す。インバウンド観光促進のため、免税店の設置や無料公衆無線LAN環境の整備を行い、外国人観光客の受け入れ体制を整えている道の駅もあれば、地方移住やふるさと納税の窓口を設けるところもあり、その機能は多様化している。「全国モデル」の道の駅に選定された「川場田園プラザ(群馬県川場村)」「もてぎ(栃木県茂木町)」「とみうら(千葉県南房総市)」などは、観光総合窓口として地域外から活力を呼ぶゲートウェイ型の代表的な道の駅である。
一方、「地域センター型」は、地域の交流拠点となる道の駅を指す。地域の特産品によるオリジナル商品開発や地元農産物を活用した6次産業化のための加工施設の設置など、地域の産業振興に取り組んでいる道の駅もあれば、診療所や役場機能、高齢者への宅配サービス機能などを設け、地域住民へのサービス拠点となっているところもある。また、災害時に自衛隊、警察、消防などの広域支援部隊が参集する後方支援拠点となる道の駅もあり、有事の際の高度な防災機能を兼ね備えている。「全国モデル」の「萩しーまーと(山口県萩市)」「内子フレッシュパークからり(愛媛県内子町)」は地域産業の振興を核として、「遠野風の丘(岩手県遠野市)」は防災施設を核として、地域の元気を創る地域センター型の代表的な道の駅である。
「ゲートウェイ型」は、地域の魅力ある観光資源を前面に打ち出し、国内外の観光客を取り込み、地域の活性化につなげている道の駅を指す。インバウンド観光促進のため、免税店の設置や無料公衆無線LAN環境の整備を行い、外国人観光客の受け入れ体制を整えている道の駅もあれば、地方移住やふるさと納税の窓口を設けるところもあり、その機能は多様化している。「全国モデル」の道の駅に選定された「川場田園プラザ(群馬県川場村)」「もてぎ(栃木県茂木町)」「とみうら(千葉県南房総市)」などは、観光総合窓口として地域外から活力を呼ぶゲートウェイ型の代表的な道の駅である。
一方、「地域センター型」は、地域の交流拠点となる道の駅を指す。地域の特産品によるオリジナル商品開発や地元農産物を活用した6次産業化のための加工施設の設置など、地域の産業振興に取り組んでいる道の駅もあれば、診療所や役場機能、高齢者への宅配サービス機能などを設け、地域住民へのサービス拠点となっているところもある。また、災害時に自衛隊、警察、消防などの広域支援部隊が参集する後方支援拠点となる道の駅もあり、有事の際の高度な防災機能を兼ね備えている。「全国モデル」の「萩しーまーと(山口県萩市)」「内子フレッシュパークからり(愛媛県内子町)」は地域産業の振興を核として、「遠野風の丘(岩手県遠野市)」は防災施設を核として、地域の元気を創る地域センター型の代表的な道の駅である。
4 秋田県内の道の駅
秋田県内の道の駅は、平成5年4月に「たかのす」が第1号の登録を受け、22年8月の「大館能代空港」まで18年間で30か所が登録を受けている。都道府県別では、北海道(117か所)が最も多く、次いで岐阜県(54か所)、長野県(42か所)と続き、本県は9番目に多い。
県内では、「象潟」(にかほ市)が前述したゲートウェイ型の「重点」道の駅に選定され、由利本荘市内にある道の駅5か所との連携で「環鳥海エリア」の活性化が期待されている。同駅の敷地内に観光拠点センターを建設し(28年春オープン予定)、環鳥海エリアの観光情報を発信するほか、秋田空港や秋田駅と同駅を高速バスなどで結んで二次交通の拠点化を図り、パーク&ライド方式で近隣観光名所を周遊するミニ周遊観光の提供が計画されている。
県内では、「象潟」(にかほ市)が前述したゲートウェイ型の「重点」道の駅に選定され、由利本荘市内にある道の駅5か所との連携で「環鳥海エリア」の活性化が期待されている。同駅の敷地内に観光拠点センターを建設し(28年春オープン予定)、環鳥海エリアの観光情報を発信するほか、秋田空港や秋田駅と同駅を高速バスなどで結んで二次交通の拠点化を図り、パーク&ライド方式で近隣観光名所を周遊するミニ周遊観光の提供が計画されている。
5 道の駅に期待すること
道の駅は制度創設から20年以上が経過し、「休憩」「情報発信」「地域連携」の3つの機能を持つだけでなく、近年は「防災拠点」としての役目を果たすなど、今や地域の活性化に欠かせない社会インフラとなった。発足当初から行政主導ではなく、地域住民や民間企業、第3セクターなどが主体となり、地域の創意工夫で進化を見せている。道の駅では、地方特産品のブランド化、6次産業化、スタンプラリー、道の駅相互連携によるイベントの開催など様々な取り組みが行われているが、こうした取り組みの積み重ねが地方創生の第一歩となる。
各駅が「特色」を持ち、その道の駅の「魅力」を発信し続け、地域と一体となった道の駅づくりに今後も期待したい。
(山崎 要)
各駅が「特色」を持ち、その道の駅の「魅力」を発信し続け、地域と一体となった道の駅づくりに今後も期待したい。