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経営随想

「あ~三栄機械器具さんね!」

佐藤 伸
(三栄機械器具株式会社 代表取締役社長)

【あ~三栄機械さん。】

 宴席などで名刺交換をすると「あ~三栄機械さんね!」とすぐに分かってもらえるのですが、それは当社のことではなく、由利本荘市にある関連工場のことであります。私もそこの役員をやっていますので、「最近は航空機関連が忙しくて…」と長々と説明したりしますが、この頃は説明するのが面倒なので「三栄機械は当社の親会社で、モノづくりをしている工場でして、当社はモノを販売する商社なのです」ということで終わらせています。
 ある時、そんなことを親会社の齊藤民一社長本人の前で相手方に話していると、「自覚が足りない」とお叱りを受けました。それでも繰り返しそんな感じで説明していると齊藤社長も諦めたみたいで、最近は何も言わなくなりました。確かに先に会社ができたのは当社であり、お客さまの需要の中に製造元の機械や機器をそのまま納入するのではなく、改造や改良といった依頼が増えてきたことに対応するためにできた工場なのですが、三栄機械は今や秋田県の航空機産業を支える一大企業に躍進していることから、その知名度に便乗する方がいいと思い会社案内なども利用させていただいている次第です。

【三栄機械器具とは?】

 では、三栄機械器具とはどのような会社なのかというと、モノを販売している会社なのです。 
昔の言葉で言うと「機械工具屋さん」。一時期は建設機械や住宅関連機材なども取り扱っていたことがあり、その名残でヤマハ発電機や日立電動工具などは今でも販売しており、2011年の大震災のときは発電機を学校や警察といった公共機関に多数納入させていただきました。
 そんな当社の強みはやはり三栄機械という工場があることです。先に書いたとおり、お客さまから注文のあったモノをただ納入するだけではなく、ニーズに合わせて納めていきます。当社の工場は今でこそ航空機や電子部品、機械金属分野では有名になりましたが、設立当時は鉄骨加工から金型、機械・機器の据付、溶接など、なんでもやらなければ成り立ちませんでした。現在の発展、その一翼を担ったのは当社であり、当社からの「これを作ってくれ、あれをやってくれ」といった無茶苦茶な依頼を引き受けて、なんでもやらなければならない企業に育ったのです。そのおかげで、今ではなんでもできる工場として、大学や研究機関、産業技術センターなどから「困ったら三栄機械に行け!」と言われるほど頼られるようになりました。

【新エネルギー産業への進出】

 当社はどうかというと、当社も取り扱い品目をいろいろと増やして「なんでも屋」となっています。最近は新エネルギー産業に関わり、太陽光パネルの販売も行っています。折しも国が再生可能エネルギー等導入推進基金事業(グリーンニューディール基金)の推進を掲げ、全国の自治体に対して補助金を出し、太陽光パネルの設置を促しました。それに伴い、当社も工場に架台を製作させて秋田県内の各庁舎や学校などに太陽光パネルを多く設置させていただきました。中でも大仙市役所や神岡支所に設置させていただいた架台は、太陽光パネル設置面の傾斜角度を30°、40°、60°、90°と真夏の太陽の位置や真冬の積雪の状況に応じて変えることができ、雪国ならではの設計として特許庁から実用新案の登録を受けることができました。
 また、国の再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT制度)を利用して自社の屋上にも太陽光パネルを設置し、その投資効率の良さをお客さまへも提案して多くの企業に採用していただきました。しかし、この頃は買取価格が下がり、投資効果が薄れてきたことから、投資や投機の対象とは考えられなくなりました。そのため、本当にエコを考えている企業や、税制優遇を受けるための設備として捉える企業への提案、また、あと2~3年後にやってくる一般住宅向け小型蓄電池の需要に期待をかけています。
 その受け皿として、5年前に一般社団法人あきた太陽光・小型風力発電協会を奥羽住宅産業㈱の中村瑞樹社長(理事長)や㈱ワタケンの渡部俊省社長(副理事長)、㈱藤健の藤井健社長(副理事長)らと立ち上げ、私自身も専務理事を務めるなかで、太陽光発電や小型風力発電の普及促進に努力しています。

【いろいろな会に属して】

 最後に私自身のことについて書いて終わりにします。趣味はゴルフと読書、ゴルフは月に2~3回程度でスコアは昨年の平均で94.2。「どのぐらいで回りますか?」と聞かれると「95プラスマイナス5ぐらい」と答えています。読書は、小説、経営指南書、業界誌などあらゆるジャンルの本を年間に100冊程度を読みます。自宅に置いて積んでおいたらあまりにも多くなって邪魔になってきたので、家内がブックオフに持って行くと言い出したことから、会社に書庫を作り来訪者に貸し出しを行っています。
 好きな作家は葉室麟と宮本輝。宮本輝の「流転の海」はお薦めです。読んでみてください。
 そして、一番好きなのはお酒を飲んで多くの人と語り合うことです。その為にいろいろな会に入会しています。特に日本酒が大好きで、注いで注がれてついつい飲みすぎてしまいます。翌日まで残っていることもあり、会社までの通勤は万が一の事があってはいけないのと健康のために、30分程度ですが歩いて通っています。「えー往復で1時間も?」と聞かれますが、帰りはほとんど川反からタクシーで帰ってきています。
 また、あまりにも多くの会に属しており、社員からは白い目で見られていますが、以下がその代表的なものです。

①盛和塾(京セラの稲盛名誉会長が主宰する経営者の勉強会。毎年、世界大会が横浜で開催され5,000名以上の会員が集まり経営について学び合う。秋田塾の例会は年に7~8回開催)
②秋田北倫理法人会(企業倫理を学ぶ勉強会。毎週木曜日の朝6時から勉強会が開催され、会独自のセレモニーの後、40分程度の講話を聞く)
③南部地区政治経済懇談会(通称:南部会。秋田市南部の人達で政治経済について懇談する会。今後の秋田を背負う県会議員、市会議員といった政治家や企業経営者、今後活躍しそうな若者と懇談し秋田の今後を語り合う。鈴木雅人会長)
④しんちゃんの会(名前に「しん」がつく人で集まる懇談会。年間2回、新年会と納涼会を開催しお互いの情報交換をする会。七山慎一会長)
⑤大人の読書会(毎月最終月曜日に読んだ本を持ち寄って各自紹介する会。田崎宏明代表)
⑥バーディ会(4~11月、毎月第1日曜日のゴルフの会。当社が事務局を務めており、45年の歴史ある会。場所:秋田CC)
⑦さくら会(4~11月、毎月最終日曜日のゴルフの会。八重樫仁会長。場所:椿台CC)
⑧一般社団法人あきた太陽光・小型風力発電協会(先述。中村瑞樹理事長、私が専務理事を務める太陽光発電や小型風力発電に関する協会)
以上、私が役員やスタッフとして関わる会でして、もし、この会の中に興味がある方がおられましたらご連絡をください…。

 その他、秋田県中小企業家同友会、秋田県電子工業振興協議会、秋田県機械金属工業会、秋田県生産技術研究会、秋田県非破壊検査技術研究会、秋田県表面処理技術研究会などなど、いろいろな方々と語り合うことで次なるビジネスチャンスが生まれる可能性があると思います。
 今後は当社も「あ~三栄機械器具さんね!」とすぐに分かってもらえる会社を目指します。
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